表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/42

38 金星周回軌道投入

 【金星周回軌道投入 みんなの地球連邦 試験練習船 J―NAS ブリッジ オペレーションAI ボギー】


「>_船体回頭完了。現在、金星の公転軌道外側を通過。周回軌道への投入を開始します_」


「>_船体は、現在、金星重力に引かれています。これより、金星の後方から周回軌道へ入ります。減速開始まで約3時間を予定_」



 船長を回収後、地球から金星の周回軌道投入を目指して航行を続けたJ―NASは、数日前に金星を追い越して金星の公転軌道内側から外側へ抜けた。


 そして現在、金星の重力に影響を受けながら減速しているJ―NASを、今度は金星が後ろから追い越そうとしていた。


 このタイミングで、J―NASの金星周回軌道投入を開始する。


 金星の特徴は、地球よりも太陽に近いために、高温である。

 地球で問題になっている温暖化ガスの代表、二酸化炭素。金星はほとんどを二酸化炭素で構成する。

 地表は900気圧の高圧と460度になる。


 かつて、人類が金星へ投下した地表ランダーは、この高温高圧下で、50分程度しか耐えられなかった。


 大気圏途中には、硫酸の粒。が、地表は高温過ぎて蒸発してしまうので、地表へは降り注ぐことはない。

 そして、秒速100mの暴風。


 そして金星は、他の惑星と大きく違う点がある。


 自転の向きが、他の太陽系惑星と逆方向なのである。


 今回、船長の思うところがあり、金星の自転方向と同一方向へ回ることに決まった。

 そのために、J―NASの惑星周回軌道投入も、金星だけは違うプロセスを踏む必要がある。


「>_これより、減速に入ります。補助エンジンスタンバイ_各員、安全姿勢_軌道シュミレーション開始」


「>_マスターイグニッション起動、逆噴射開始5秒前・・・3、2、1_」

『!<バシューーーー>』



「>_エンジン停止_誤差シュミレーションの範囲を確認_金星への周回軌道投入は成功しました_」


「>_ラジエーターパネル展開_放熱を開始_」



 オペレーターがボギーに指示を出す。

「ボギーさん、船の向きも正面向けといて下さいな」



 間もなく、護衛対象の探査機が金星でスイングバイをかけるタイミングが近づいている。

 いつ頃に、ミケアに出動指示をかけるか思案していた。


 船長は、カレンダーを見た後、オペレーターに尋ねる。


「日本時間の朝8時、あと何時間後だ?」


 オペレーターは、端末を操作して、日本時間を表示させる。


 「あと、ちょうど14分くらいですよ」


 「ちょうど14分・・・? まぁいい、平日か?」


 船長は、ミケアに今のタイミングで指示を出しても、あーだこーだーで動かない恐れがある。


 船長は、タイミングを推し計っていた。


 日本時間の平日朝、8時3分。船長は、このタイミングを見ていた。


「ミケア、発艦準備! いつでも出れるようにしといてくれ」


「お任せあれ!」



 船長は、なぜカレンダーを見たのか。

 なぜ日本時間のこのタイミングを待っていたのか。

 なぜミケアは、この時素直だったのか。


 日本時間の偶然この日、この時間は、給与の振込日。

 朝イチで残高確認をすると踏んで、機嫌の良いこのタイミングを選んだ。


 ちなみに、もっとも機嫌が悪いのは、給与明細が更新された日。

 上がり続ける税金と社会保険で、その日は機関銃のような愚痴が止まらない。




【同 中央デッキ トゥラン整備塔】


 考えられる装備は、一応念の為も含め装備を終えている。

 背中に、もはや艦載機の面影は無くなったスラスター増強のランドブースター。

 ランドブースターに、以前作成した『実戦用実剣』を装備。

 ノーマル状態のアレスティングフックは使用が出来ないので、ランドブースターに着艦時アレスティングフックが新設してある。


 また、背面の面積を増やし、放熱効率も上げてある。


 万が一の高温下での活動も考えて、トゥランと同じくらいの大きさの大型耐熱シールド。

 耐被弾も考えられているが、耐熱の意味が大きい。


 前回よりも軽量、砲塔の短身化をしたパワーランチャー。


 この頃になると、近接作戦用が主なスタイルに落ち着いてきた。


 アメリカの軍部からの要請を受けた日本政府からの依頼ということもあり、今回は探査目的は一切無い。

 親会社とは連絡を密に取りながら行動している。

 惑星間レベルで警戒は、地球のテクノロジーでは未だに遠く及ばない。

 アメリカ軍部が関わるため、今回の行動は外部に公表していない。




【月裏側 母艦オウムアムア ファンド系投資顧問星系探査艦 指揮官ブリッジ 参謀】


「恒星の反対側にセンサーを集中させて下さい。出るとすれば、すでに隠れていると考えていいでしょう。

 恒星を背にされると、さすがに発見は難しいでしょうか」


 オウムアムアのオペレーターが、J―NASからの送信を捉える。


「間もなく、支援機が発進するそうです。なお、今回は、ハムは問題無い、とのことです」


「ハム・・・?」


『絵描きから、物書きへ』を、短文を執筆しました。


>作者名 >作品一覧から参照いただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ