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27 狩猟の新しい歴史

【間もなく火星軌道 みんなの地球連邦 試験練習船 J―NAS

 第二船体 中央メインデッキ】


 狭い穴の中に落ちた、ハムスターの"きなこ"さん。

 一人が、ウエスを下に垂らして、ほら、掴まれっとやってみたが、ハムスターはプイっと背中を向けていた。


「誰か、中に手が入りますか?」


 男連中はそもそも論だし、ミケアも、オペレーターも挑戦してみるが、細くて途中までしか手が入らない。


「キッチンからトング持ってきて、掴めませんかね?」

「いやぁ、無理っしょ」



「閃いた!」

 突然、オペレーターは、居住デッキへ駆けて戻っていった。


『!<ゴォォーーーン!>』

「>_警告。右舷被弾。損傷無し。外装温度上昇_」




【月裏側 母艦オウムアムア ファンド系投資顧問星系探査艦 ブリッジ オペレーター】


「回答来ました。『ハム、行方不明』」


「⋯⋯?」


 参謀がピピッと鳴ったタブレットに気が付く。

「間もなく、追加装備を積んだ艦載機が、子会社母船と接触可能かと⋯⋯」



【間もなく火星軌道 みんなの地球連邦 試験練習船 J―NAS 第二船体中央デッキ】


「待たせたな!(デデン!)」


 なぜ、もっと早く思い付かなかったのか。

 誰も思い付くはずがない、一人を除いて。


 オペレーターの彼女は、自室から釣り竿とマシュマロを持って駆け付けた。


「「おお!」」


 彼女はジギングロッドにシマノ2000番スピニングリール、仕掛けは胴付き仕掛け針無し。重りは3号。ハリスには、マシュマロを括り付けた。

 ハムスター相手に、ブリクラは使えない。


 彼女は、ゆっくり仕掛けを穴の中に垂らし、アタリを待つこと数秒。


 突然、竿先がクイッと曲がる。


「ヒット!」


 普通、海でテトラ等の穴の中の根魚は、ヒットしたらすぐに巻き上げるのが肝要だ。

 でないと、奥に入られてしまう。


 オペレーターの彼女はリールを巻き上げると、仕掛けの先には、マシュマロに必死にしがみつくハムスターが釣れた。


「っダッシャ!」

「ありがと〜! よし、反撃開始だ、野郎ども!」

「「おう!」」




【同、ブリッジ】


「お待たせしました!」


 船長の待つメインブリッジに、オペレーターが駆け付けた。

 竿を立てて仁王立ちである。


「⋯⋯?」




【月裏側 母艦オウムアムア ファンド系投資顧問星系探査艦 ブリッジ オペレーター】


「子会社から入電。『ハム確保。反撃開始』」


「支援機を出させて、装備を受け取らせろ!

そのまま実装。試験も兼ねての本番だ」



 火星と地球との通信誤差は、レーダー通信で三分。

 マーケットを反応させる為に、支援母船の動きは、逐次地球へ送られる。

 民間の探査機ゆえ、情報は比較的オープンである。


 ストラテジストは、日本政府からもらったカレンダーをふと見た。


「明日の金曜日、祝日か」


 モニターで株価をチェックしながら、そろばんを弾いていたマネージャーが食いつく。


「お休みですか? 下へ降りて、食べ歩きとかしますか!」




【間もなく火星軌道 みんなの地球連邦 試験練習船 J―NAS ブリッジ】


「ハッチ、与圧扉開けて、トゥラン発艦待機。追加装備の艦載機の位置は?」


「>_後方、800000の距離。減速を始めています」


 交戦能力、航行能力において、ダウングレードされた試験練習船、J―NAS。

 一方、ワープエンジンのみ封印された、通常エンジンはオリジナルの親会社艦載機は、想定通りか想定よりも早く接触可能な様子。


「60秒後にバリア落とせ。トゥラン出撃。艦載機が見えたら、装備を受け取れ。

 主砲、最低出力で、発艦を援護。威嚇でいい」



『!<ゴォォーーーン!>』

「>_警告。右舷被弾。損傷無し。外装温度なお上昇。徐々に光束出力を上げている模様です」




【同 第二船体中央メインデッキ 実戦用実剣を背面装備 トゥラン コックピット ボギー】


「ミケア様、40秒後に発艦です。周囲クリア。発艦は、許可済み。ミケア様のタイミングで」




【同 作業員退避与圧ルーム ハムスターのあんこさん】


 無事に保護されたハムスターは、一時的に作業員が預かり。

 ハムスターは、作業員のオヤツのアーモンドをカリカリしている。マシュマロは、危険なので没収した。




【同 ブリッジ 船長】


「主砲発射! トゥラン出せ!」




【同 トゥラン ミケア】


「さあ、行こうか、トゥランくん。 うぉ!」

 カタパルトから射出され、加速Gに舌を噛みそうになった。




【月裏側 母艦オウムアムア ファンド系投資顧問星系探査艦 ブリッジ オペレーター】


「子会社、支援機発艦しました。間もなく、艦載機と接触」

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