墓参り
晴れ渡った晴天が妙に眩しかった。ラビールと共に開けた丘に足を踏み入れた。丘の上には墓石が一つだけ佇んでいた。
「サリューサが言ってたんだ。死ぬならここに埋めて、って。…こんなに早く死んでしまうなんて夢にも思わなかった」
丘からは町全体が見渡せた。どうやらこの町は、王都から遠く離れた森の中にある小さな町らしい。
「ここはサリューサのお気に入りの場所でね、僕達の旅の始まりもここだったんだ」
ラビールはそう言いながら、墓の前にしゃがんだ。
墓の前には誰かが置いた白い花束が風に揺れていた。その他にも、きれいな石や木彫りの人形、クッキーみたいな食べ物が置かれていた。
(サリューサちゃんは大聖女だからきっとみんなから慕われてたんだろうな)
ラビールに倣って、墓の前で手を合わせた。
「……天国でも幸せになってください」
ラビールに聞こえない程度で呟いてその場を離れた。ラビールは目を閉じて手を合わせ続けた。
「俺にもチート能力があれば良かったのにな」
(例えば、時間を巻き戻せたり、過去を書き換えられたりできればサリューサちゃんを救えるのに)
「おーい、ラビールー!」
振り返ると、丘を登ってくる三人の姿があった。
「みんな!」
大きく手を振るのは大柄の男。その後ろをエルフの女の人と、小柄な男が歩いている。
「あっ」
挿絵で見たラビールの仲間に似てる。多分、大柄の男は盾役のガルドで、杖を持ったエルフの魔道士がマリー、弓役の小柄な男がトリス。
「おひさー。あっ、有名な子じゃん。昨日コイツから短剣貰ってたでしょ」
「マリー様、この子は僕の弟です。あまりからかわないでくださいよ」
(あっ、そっか。マリーはラビールのパーティーで最年長だし、数少ないエルフの種族だから流石の英雄でも様呼びするんだ)
「エバエルです…。お、お兄ちゃんがお世話になりました?」
「ほお。コイツはラビーと違って『神の加護』は受け取らんのだな。残念だなぁ、ラビーが断った実験に参加させたかったのに」
「だから、からかわないでください」
ラビールが僕の肩を掴んでニコッと微笑むが、その目は笑ってなかった。
「はいはい。…この話はここまででよい」
マリーは杖をさっと振るうと、俺達に背を向けて墓石の前に立ちはだかった。
「若き命が燃えんとせすことを、我々はここで見守らん_」
マリーの杖に嵌められた大きな透明な石が赤く光った。体全体に重圧が掛けられるような振動に包みこまれた。




