どうやら人間をやめてしまっていたようです
「俺は勇者なのにどうして基礎能力値が低いんですか?」
このことが原因で俺はあの王国から追放された、別にあの国に未練があったりするわけでもないが、あの扱いを受けた理由くらいは知っておきたい。
するとアンナさんは答えた
「原因はわかりませんが理由ならわかります。貴方には召喚魔術しか掛けられておらず、勇者としての能力を付与する魔術が掛けられていないのです。なのでイエヒサさん、厳密にいうと貴方は勇者ではありません」
そういうことだったのか、勇者としての能力が付与されていないから、俺は基礎能力値が一般的な人間と変わらない、つまり元の状態から変化していないということか。
「俺がスキルを与えられたときに女神様は補填と言っていました。それもこのことと関係しているんですかね?」
そう言うとアンナさんはとても驚いた顔をしていた
「イエヒサさん!貴方は後天的にスキルを与えられたのですか!?」
「まあ、そうだと思います。元居た世界に魔術はもちろんスキルなんてものは存在していませんでしたから」
アンナさんは力が抜けたように座り込んだ
「イエヒサさん、スキルとは基本的に先天的に与えられるものです。対象の存在が小さくなければ神様にかかる負担が多大なものになるからです。ですが貴方は……まさか!?そういうことでしたか」
話しながらアンナさんは何か気づいた様子だった
「分かりました、神様は貴方の存在を意図的に小さくして後天的にスキルを付与できるようにしたのです。存在の重みが小さい者には自分から基礎能力値を表示することができないので、イエヒサさんがあの時基礎能力値を表示できなかったことも説明できます!」
ひどく興奮している
「存在を小さくするとはどういうことですか?何かデメリットがあるんじゃ……」
取り合えず気になった事を質問してみる
「存在を小さくするというのはですね、イエヒサさんの魂を若返らせるということです」
「魂を若返らせる?詳しくお願いします」
「人間年齢を重ねるにつれて、存在の重みというものが積み重なります。存在の重みは、増えるだけ力を得ることができますが、器によって耐えられる限度が決まっています。これが寿命です。これでお判りいただけましたか?」
なんとなく分かったぞ、俺は今まで生きてきた17年分の積み重なった存在の重みを取り除かれたわけか。
「イエヒサさんは現在年齢は何歳でしょうか?」
「17歳です」
「ではイエヒサさんは17年分の存在の重みを取り除かれ、その重みに見合ったスキルを手に入れているのです」
このスキルは俺の人生を代償にして獲得したものなのか
「イエヒサさんが勇者の能力を得ておらず、その状況を神様はよく思わずイエヒサさんにスキルを与えたのでしょう」
一つ疑問に思ったことがある、俺の17年を取り除いていると言っていたが記憶はしっかりとある、これはどういうことだ?
「すみません、俺は自分が17年生きてきた記憶がしっかりありますが存在を取り除かれえても残っているものなんですか?」
「存在を取り除くとは体を一から再構築するものです。魂を再構成するわけではないので記憶が失われるはずはありません」
なんだって?体を一から再構築する?どういう意味だ
「存在の重みは体に乗るものなので、体を魔力で再構築することで存在の重みを増やさずに活動することができます」
「俺の肉体は魔力でかたどられてるって言うことですか!?」
「はい、その通りです」
俺は頭を抱えた、いつの間にか俺は人間をやめてしまっていたらしい。
「どうして残念そうにしているのですか?肉体が魔力でできているということは、不老となったということなんですよ?」
そうか、寿命が存在の重みが増えることによって迎える物なら存在の重みが増えない魔力でできた体に寿命があるはずもないか……
プラス思考にいこう、俺は異世界に来てチート能力(?)を手に入れて不老となった!それでいいじゃないか!
今回は非常にややこしい説明回になっています。
自分の考えをうまく言語化するのって難しいですね……
今回の説明で不明瞭な点などご指摘いただけましたら回答します。
読んでいただきありがとうございました