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子供たちと森の主㉕

〇〇〇


 それから、ヨハン一行は何度か襲撃を受けながらも順調に森に向かった。

 ただ、ヨハンとシモンを除くメンバーには順調である事が不思議に映った事だろう。

 というのも、ヨハンとシモンが段々と本領を発揮し、最早戦闘においては他のメンバーを必要としない程の動きになったのだ。

 これには理由があった。

 ヨハンとシモンにとってはこれは「集団戦闘の学習」であって、自分たちの戦闘能力を試す場ではなかったのだ。

 だからこそ使う魔法は最低限にし、魔力も抑えて戦っていたのだが、遭遇する敵の戦闘能力が上がって危険度が上がってきた事により、現時点では全力で戦って皆を守る事に注力している状況となったのである。

 つまり──。


 ベズィーがその高い索敵能力で何かを見つけた様だ。


「あれは……結構大きな個体が群れてる、危険かも」


 ヨハンが馬を寄せて真剣な顔をした。


「どっちだ?」


「えっと、右前方、見えるかな」


 そこにシモンも混ざる。


「んー、ちょっと見えないかな。お兄様」


「ああ、そうだな。行ってみよう、皆は待っていて欲しい」


 言って二人は馬から降り、凄まじい速さで駆けていき。

 そして、数十分後、何事もなかったかのように帰ってくるのである。

 眩しいくらいの笑顔でヨハンは戦果を口にした。


「アンバー・ハルクだった。初めて戦ったけど、硬いし素早い。強敵だったよ」


 とてもそういう風には見えないと思うベズィー達だが、実際にアンバー・ハルクと言えば、一体だけでもかなりの脅威となる魔物である。

 それは2メートルほどはある身長をした類人猿だが、その特徴は体毛がなく、全身を鎧のような外骨格が包んでいることである。

 更に魔物である特徴として魔力を有しており、個体差はあるがその両腕の力は人間を掴んで容易に引き裂くほどだという。

 ヨハンの隣で、シモンが真面目な顔をして口を開いた。


「森に近づくほどに強い存在が増えてる。森の中はちょっと大変かもしれない」


 言われて一行は周囲に視線を巡らせる。

 現在地は平原から林になっており、もうすぐ森に入るであろう状況である。

 目的は素材の収集、確かに危険伴う森の中で、そう簡単に事が進むようには思えなかった。

 全員が不思議な息苦しさを感じていた。

 木々が視界に増えるにつれ、湿気の濃度も上がっているのだが、それだけが理由とは思えない一種異様な息苦しさである。

 ごくりと、誰かが息を飲む音が聞こえてきた。

 それは誰とのものともつかず、誰のものでもあるといえる。

 そんな雰囲気の中、ヨハンは敢えて明るく言った。


「じゃあ、行こうか」

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