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子供たちと森の主㉑

〇〇〇


 僕たちは結局、チェルシーさん達と一緒に一度父の待つ家に帰る事になった。

 万病に効く薬の件は内緒にしてくれるそうだが、僕達が素材を採集しに行っている間、チェルシーさんとギヨームさんが家の事と父の看病をしてくれると申し出てくれたのだ。

 ただ、気になる点が一つ。

 チェルシーさんの荷物には明らかに片手剣が入っており、更にナイフも一本収納しているのを見かけた。

 森に付いてくるつもりなのだろうかと少し警戒したが、何度探ってみても笑顔で「私はペトロの看病を優先します」と返ってくるのみだ。

 そういえば、僕達は村の人と関わる事は殆どないし、父と村の人の関係性もわからない。

 だけれど、父が病気だと知った時のチェルシーさんの態度を思い出すと、もしかすると僕達が思っているよりも繋がりが深いのかもしれない。

 とはいえ、それはあまり推測するのはよくない気がしたので、それ以上考えないようにして家に向かった。


 家に到着した後は、荷物を適当に置いてもらい、父の部屋にチェルシーさんとギヨームさんを案内する事にした。

 シモンは急な来客で父を疲労させてしまうのではないかと心配していたが、流石にここまで来て会わせずに帰すわけにもいかないという事もあり、全員で赴いた。

 父の部屋へは、シモンを先頭に、僕、ギヨームさん、チェルシーさんと続く。

 僕達が部屋に入ると、父は目の下にクマの出来た血色の悪い顔に驚いた表情を浮かべて起き上がる。


「おいおい、これはどういう事だ? チェルシー、それにギヨーム村長まで」


 その言葉に、チェルシーさんは笑顔で返す。


「ここに来れば、弱り切った珍しいペトロが見れると聞いたものですから」


「……そうか。君には俺の情けない所ばかり見られている気がするよ」


「あら、そうでしたっけ」


「ああ、そうだ」


 そう言って二人は笑いあった。

 父は苦笑、チェルシーさんは満面の笑みという違いはあったが。

 そこに、シモンが笑顔で切り込んだ。


「ねえ、お父様とチェルシーさんはどういう関係? もしかして勇者繋がり?」


 父は、眉間に皺を寄せて、呻くように言う。


「……いや、チェルシーは俺よりも遥かに実力があったんだがな、事情あって勇者一行には加わらなかったんだ」


「関係ですか。そうですね、強いて言うなら、姫と騎士ですかね」


 眉間の皺を深くした父が続いて口を開く。


「騎士をボコボコにして突撃する姫だがな……」


「あら、いつまでも騎士様の迎えを待っていたんですけどね」


「待ちきれずに単身フル装備で森を抜けてきたくせに、よく言うよ」


「ふふふ、ペトロは相変わらず面白い事を言いますね」


 相変わらず満面の笑みのチェルシーさんと苦い笑いをしている父なのだが、心なしか、二人とも本当に楽しそうに感じた。

 僕たちの知らない父を見た様な気がして、少し寂しい気分になる。

 シモンも顔こそ笑顔だが、明らかに不機嫌そうな視線をチェルシーさんに向けている。

 僕達のその雰囲気を察してか、父は思い出したようにギヨームさんに向かって口を開いた。


「ギヨーム村長、なにやら顔色が優れないようだが」


 腕を組み、背筋をピンと伸ばして仁王立ちをしていたギヨームさんだが、その顔は確かに青い。


「うむ、貴殿のご子息とご息女にこっぴどくやられてな」


「ヨハンとシモンが?」


「うむ、故あって模擬戦をしたのだが、貴殿のご子息とご息女は化け物だな」


 これには、僕もシモンも、父も苦笑した。


「申し訳ない、ギヨーム村長。俺の子供たちはまだ対人での模擬戦をやったことがないんだ」


「いやいや、こちらが無理を言って手合わせ願ったのだ。これでも腕に覚えはあったのだがな」


 ここで、思い出したかのようにチェルシーさんが「ちょっと二人を借りますね」と言って僕とシモンを連れ出した。

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