Karte3『コナンとドイルの二者択一』5
ABC雑貨店は私が想像するヨーロッパの片田舎のようなレトロな外観で、オレンジ色の瓦屋根が特徴的な店舗兼住居は、改装工事により新築のように洗練されたモダンな造りの住居も少なくない住宅街ではよく目立つ。
外観同様内観もレトロな雰囲気で、瓦屋根と同系色のレンガが所々に設けられたアイボリー色の壁が店内を暖かい印象にしている。
木製のダークブラウンの長テーブルに壁と同色のレースのテーブルクロスが敷かれ、様々なヴィンテージ雑貨が並んでいる。
後から聞いた話によると、ABC雑貨店ではアンティークには満たないヴィンテージ雑貨を中心に、一部若年層でも手に取りやすい安価なヴィンテージ風雑貨を取り扱っているのだそうだ。
恐らく普段は大型雑貨の発送手続きの際に使っているのであろうカウンターテーブルに案内された私たちは、私たち全員の姿が見える位置に丸椅子を置き座る栗栖エルーー本名を栗栖エリさんというその女性と挨拶を交わした。
「こちらの都合によりご足労いただくことになってしまい申し訳ありません」
そう謝罪する栗栖さんは少女と見間違えるほど幼い容姿をしており、腰より長く量の多いふわふわのウェーブヘアが、彼女の小柄な身体をより際立たせている。
天使のようなホワイトブロンドの髪色は、ついつい見惚れてしまう美しさだ。
幼い容姿に反し声色は大人びており、年齢を明かされなければ実年齢が分からない。
まるで二次元の登場人物のような印象を受けるが、身に纏うのは白いTシャツとベージュのカーゴパンツ、その上には朱色のエプロンと働きやすさに重きを置いたもので、生活感がある。
「お気になさらないでください。早速で恐縮ですが、ご依頼の内容を改めてお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」
忙しい栗栖さんに配慮してか、夢野さんはあえて早々に切り出した。
「分かりました。私のもとには二人のぬいぐるみがおりまして、名をドイルとコナンというのですが」
「ドイルとコナン…ですか?」
私は思わず栗栖さんの話をさえぎってしまったが、栗栖さんはそれを単に名前の復唱程度に捉えたのか、特に気にすることもなく話を続けた。
「はい。ベースのぬいぐるみに双子の兄弟設定があるからなのか、私のもとに一緒にやって来たからなのか…ドイルくんもコナンくんも、お互いを双子と認識しています。二人に命が宿ったのも同じ瞬間でした。見た目は似ていないんですけどね」
今は栗栖さんに代わり体調不良の栗栖さんのご両親の看病をしているそうで、この場にはいない。
栗栖さんは立ち上がるとレジカウンター内に手を伸ばし、そこに置かれていた写真を私たちに見せ、二人を紹介してくれた。
写真には、栗栖さんに抱かれる形でドイルさんとコナンさんだと思われる犬のぬいぐるみが写っていた。




