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ぬいぐるみたちのメンタルヘルス  作者: 三森れと
Karte3『コナンとドイルの二者択一』
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Karte3『コナンとドイルの二者択一』4

「意外に感じることって何だい?」


「ゆめのさんのおはなしからさっするに…ゆめのさんは、あまりほんをよまないんだよね?ほんにかんすることぜんぶ、"まひろくんがいってたよ"っていってるもん!だから、ゆめのさんはほんをよまないんだなっておもったんだけど、それがいがいだなっておもったんだ!」


「確かに読まないけど…意外かな?僕って読書が好きそうに見える?」


「みえるー!なんというか、ほんがすきなひとって、ちてきなイメージがあるというか…。ゆめのさんは、いがいとこどもっぽいところもあるけど、ちてきなイメージがあるから、ほんすきそうにみえるよ!」


テディの言葉にメリーさんは「ホッホッホッ!」とおかしそうに笑った。


「たしかに、しごとをしているときのケイイチはちてきにみえるかもしれませんが、()のケイイチはまだまだおこさまですよ!」


「お子様は酷いなぁ…」


そう苦笑する夢野さんだが、否定しづらいのかそれ以上の反論はしなかった。


「僕が知的かお子様かはさておき、テディの言う通りだよ。僕は本を読まないんだ。あまり好きではないんだよね」


夢野さんの返答に納得したのか、テディは大きく頷いた。


「ゆめのさんはゲームとかアニメとか、そっちのほうがすきだもんね!」


「その通り!だから、今度の休みは僕に付き合って一緒にアニメ見てよ、テディ♪テディも楽しめそうなアニメが始まったばかりなんだ」


「うん、いいよ!えへへ、つぎのおやすみがたのしみだなー♪あやちゃんもいっしょにみようね!」


「うん、私も見てみたいな!」


そう答えながら、私は夢野さんのある言葉を脳内で反復させていた。


『僕は本を読まないんだ。あまり好きではないんだよね』


()()ではなく()()()()()()のか。


『苦手』とはその人の得手不得手によるものだが、『好きではない』となると、それはその人の感情的な拒絶だ。


もしかしたら夢野さんは、本に関する嫌な思い出があるのかもしれない。


…………


夢野さんの説明通り、栗栖さんがご家族で営んでいる雑貨屋【ABC雑貨店】は、ぬいぐるみのクローゼットからそこまで遠くなく、徒歩十分程で到着する距離に在った。


『もといた世界』での数少ない趣味の一つが雑貨屋巡りだった私だが、今回の依頼に携わるまではABC雑貨店(この雑貨屋)の存在を知らなかった。


ぬいぐるみのクローゼットの近所であるにも関わらず、これまでこの雑貨屋の存在を知らなかったのは、この雑貨屋がぬいぐるみのクローゼットから南側、住宅街方面にある店だからだ。


『この世界』でプライベートでの知人がいない私は、それこそ仕事でもない限り住宅街に足を運ぶことはそうそうない。


商業施設や飲食店が多く並ぶ北側とは打って変わり、コンビニや個人経営の喫茶店やスナック、コインランドリーが数えるほどしかなく、他は一軒家やアパート、マンションといった様々な住居が並ぶだけの絵に書いたような住宅街。


マーチさんとナツミさんが営むパン屋・はりねずみベーカリーも住宅街の中にある店だが、市のシンボルともいえる中央公園方面にある住宅街ということもあり、同じ住宅街でもやや都会的な空気感があり、個人経営の店や小さな路面店が住宅に混ざって並んでいたので印象が異なる。


ちなみに、ここから更に南に進めばこの市で二番目に人口が多い区域に出るそうで、私たちが住むこの区域とは異なる賑やかさがある場所なのだそうだ。


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