Break1『消えたポップコーンの行方』4
「おかしなところなんて、ありましたかねぇ…?」
メリーさんは、分からないと首をかしげた。
私もメリーさん同様分かってはいないのだが、ある疑問が浮かんだので口に出してみる。
「えーと…夢野さんの勘違いじゃなければ、夢野さんは真宙くんにお菓子のストック置き場…つまり、ポップコーンの置き場所を教えていたってことだよね。それなら真宙くんはポップコーンがストック置き場にあることを知っていたはずだから、メリーさんがゲームコントローラーを取り出した時点でポップコーンがないことを疑問に思っても良さそうだけど…」
「そう!そのときしてきしなくても、メリーさんがポップコーンたべようっていったときに『そういえば、ポップコーンなくなってない?』って、ふつうならいうよね!だけど、まひろくんはいわなかった。いわなかったけど、どこかからポップコーンをもってこようとしてた。まひろくん、ポップコーンもってくるよっていってたんでしょ?」
「ええ、たしかにいっていました!」
「えーっと…つまりそれって、真宙くんがどこかにポップコーンを移動させてたってこと?それなら、ポップコーンがなくなってることを指摘しないこと、どこかから持ってこようとしていたこと…両方の説明がつくよね。よく考えたら、持ってこようとするイコールどこかにポップコーンがあることを知ってるってことだもんね」
「うん、そうだとおもう!まひろくんがポップコーンをもってくるっていったあとの、ゆめのさんことばからさっするに…まひろくん、ポップコーンをいどうさせたこと、ゆめのさんにつたえるのわすれちゃったんだろうねー」
夢野さんの言葉というのは『ここにないならストックはないから、また買っておかないとね』の部分だろう。
移動させたことを伝えていたのであれば、ストックはないとは言わない筈だ。
「なるほどなるほど…そういうことでしたか!つまり、まひろさんがうっかりさんだったってことですね!うっかりさんだということがバレてしまうのがいやで、ワタクシにはじぶんじゃないといったんでしょうかねぇ…まひろさんがほうこくをおこたることはよくあることですし、それとくらべれば、いいわすれなどかわいいことですのに。なにはともあれ、テディさんのおかげですっきりしました、ありがとうございます!」
メリーさんはテディの手を両手で取り握手をすると、「ワタクシはケイイチにこのことをつたえてきます!」と晴れやかな表情でリビングから出ていった。
メリーさんは納得したようだったが、私は更に分からなくなった。
「ねぇテディ。真宙くんが移動させたんだとして、何であの時そのことを言わなかったのかな?ポップコーンを取りに行こうとした真宙くんを夢野さんが制止した時に移動させたことを言っていれば、今みたいな混乱も生まれなかったよね?そもそも、何でポップコーンを移動させたんだろう。何より、メリーさんに自分じゃないって言い張ったのはどうして?」
疑問をぶつける私にテディは「うーん…」と、困ったような表情を浮かべた。
私の疑問への答え、それをどのように伝えれば良いのか分からず困っているようだった。
テディがこのような表情をするのは珍しいので私も何と声をかければ良いのか分からず、テディを見つめることしか出来なかった。
テディはしばらく何かを考えると、
「うーんと…まひろくんがいわなかったのは、まひろくんなりのやさしさというか、なんというか…じぶんじゃないっていったのも、やさしさというか…。とりあえず、まひろくんのところにいって、まひろくんのくちからきこう!」
と、真宙くんの部屋に向かうべく私の手を引いた。
これはテディの持ち主である私の勘ではあるのだが、
『まひろくん、ポップコーンをいどうさせたこと、ゆめのさんにつたえるのわすれちゃったんだろうねー』
そう言ったテディは何かを隠しているような、ーーいや、真宙くんを庇おうとしているような気がする。
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