始まりの黒と白
初めての投稿です
温かい目で見てくださると嬉しいです
コツ、コツ……
辺りに足音が響く
「さーて、やってきました!ダンジョンでーーす!!」
黒い色の鎧を着てボブヘアーで銀髪の騎士が叫ぶ
「『ダンジョンでーーす!!』じゃねぇ、お前の声が響いてうるさいんだよ………」
白い服を着て少し伸びた銀髪を1つに結んでいる男が呆れながら言った
「洞窟型ダンジョンはよく響くんだよ、頼むから静かにしててくれ」
「えー、ノワ酷くない?」
白い服の男は“ノワ”、暗殺者としてその界隈では知らない方が珍しいほど凄腕と言われている
「酷くねぇ、事実を言っただけだ」
「それでも十分酷いよっ!」
騎士がノワに抱きついた
「うおっ!?」
ノワは少しよろける
「急に抱きついたらあぶねぇだろ、ブロンシュ!」
黒い鎧の騎士は“ブロンシュ”、元気で天真爛漫なその性格とは裏腹に仕事には真面目で自身の足の速さを活かしてかなり活躍している女?騎士だ
「ははっ」
「『ははっ』じゃねぇよ、お前マジで何がしてぇんだ………」
「照れるなぁ〜」
「褒めてねぇよ」
ノワからため息が溢れる
「お前、ホントに“あの時の”女騎士様かよ………」
「そうだよ?」
「うわ、信じらんねぇ〜」
ノワはブロンシュへと疑いの眼差しをする
「ひどっ!!?」
ブロンシュの大きな声にノワが眉をひそめる
「ねぇ、謝罪は?私に謝罪は??」
「へーへー、すんませんでしたぁ」
「それ絶対思ってないじゃん!!」
はぁ、とノワはまたため息をついてブロンシュは頬を膨らませている
「つか、いつまでくっついてんだ……ほら、もう行くぞ?早くしねぇと置いて行くからな」
ノワはブロンシュを優しく引き剥がし、ダンジョンの奥へと進んで行った
「あ、ちょっと待ってよ!」
ブロンシュは急いでノワの後を追いかけた
ブロンシュとノワはダンジョンの最奥へ向かって進んでいく
ブロンシュを先頭に2人は進んでいるが、先程から同じ景色を何度も見ているような……
そう思ったノワは足を止め、ブロンシュに話しかけた
「…………なぁ」
「どうしたの?」
「さっきから同じ場所を回ってる気がするのは俺だけか?」
「そ、れは…………」
ブロンシュの目が泳いでいる
「…………気のせいじゃない?」
「おい!」
笑って誤魔化そうとしたブロンシュにノワは思わず突っ込んだ
「だって、歩いてる内に分かんなくなっちゃったんだもん…………」
「………お前、クエストの受付けでもらった地図は?」
「無くした☆」
「おい!!」
予想外の事態でノワはさらに大声で突っ込んでしまった
「ノワ、どうどう…………」
「誰が馬だ!!」
「ごめんごめん……」
そうやって話しているが、ここは洞窟型で更にはダンジョンだ
声が響いてモンスターが2人の元へ寄って来てしまった
「あちゃー、来ちゃったね」
「お前のせいだな」
「半分はノワのせいでしょ!」
と口論しているが、モンスターは歩みを止めることは無く、じりじりとこちらに来ている
「あーもう、うるせぇからお前は引っ込んでろ!」
そう言うとノワは腰にあったホルダーからナイフを取り出してモンスターへと攻撃した
「はっ!!」
ノワは急所を的確に刺していき、モンスターを倒した
「ノワ、案外強かったんだね…………」
「おいどういう意味だよ」
「だって“あの時”、手も足も出せて無かったじゃん」
「………俺は水が嫌いなだけだ」
ノワは記憶を追い出すように「あー、クソッ」とこぼしながら頭を叩いた
「水が嫌い、か………」
ブロンシュはそう呟いたあと
「あ、ねぇ!あっち行ってみよ!」
と奥へ走って行ってしまった
「あ、おい待て………ったく、マジで足速ぇなアイツ」
ノワはブロンシュの後を追って行った
「うーん、こっちに何かありそうな気がするんだよね……」
先程とは違った雰囲気の場所へとたどり着いた
歩みを進める度に、澄んだ空気へと近づいてる気がする
「ホントかよ………」
「失礼な、私の嗅覚は宛にならないんだぞ!」
「ならねぇのかよ!!そんで犬か!!」
「犬じゃないもん!」
ブロンシュの言葉にノワは何度目かもわからないため息をつく
「ったく、お前は毎度──」
ノワが言いかけた時、どこからか声がした
「あの、誰がいるんでしょうか!??」
切羽詰まった声を聞いた2人は、急いで声が聞えた方向へ走り始める
見てくださり、ありがとうございました