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黄金の瞳のルカと精霊の呪い  作者: 山口三


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パイ捜索


「パイが逃げそうな場所に心当たりはないのかっ!?」ヘイズ隊長は険しい表情で治安警備隊の隊長室でルカを詰問していた。


「・・ないな。ここはパイにとって土地勘がない場所だ。それに・・それにパイがあんな事をするなんて信じられないんです。俺がパイを見つけて連れてくるまで指名手配を少し待ってもらえないですか?」


 ルカの脳裏にはある場所が浮かんだが、口には出さなかった。


「ルカ・・君の気持ちは分かるが被害は大きく、しかも俺もお前もはっきりとパイの顔を見たじゃないか」

「ヘイズ、すみません。頼む1日だけ待ってほしい。俺がパイを見つけられなかったら後は警備隊と協力してパイを捕まえますから・・」

「分かった・・1日だけだぞ」


 ヘイズに礼を言うとルカは急いで城へ帰った。


 まずキッチンに向かった。ジュードやエレン、ジョージや使用人たちが集まっていて夕食後ののんびりしたひと時を過ごしていた。

 そこでルカはパイの行方を聞いてみたが、夕食後は誰もパイを見ていなかった。


「あらルカ、今日の捕り物はどうだったの? 街をあんな状態にした憎い犯人を捕まえた?」

 ちょうどエマ夫人が伯爵の書斎から出てきた所で、さっそくルカに質問を浴びせた。


「それが、だめだったんです。ところでパイを見ませんでしたか?」

「パイちゃんは夕食の後から見てないわね、最近調子が悪そうだったから部屋で休んでいるんじゃないかしら?」


 (部屋はもう見てきたんだ・・・くそっ誰も見てないとしたらアリバイも無いじゃないか)


 ルカは押し寄せる不安を打ち消そうと必死だった。だがもがいても、もがいてもパイに不利な状況が明らかになるだけだった。


 (やっぱりあそこしかないか)


 ルカは厩舎へ向かった。だがなぜかピータンが後ろからトコトコついて来て離れなかった。


「ピータン、散歩じゃないんだ。お前を連れては行けないんだよ」


 ピータンを抱き上げて中へ戻ると、犬を探していたダンと鉢あった。


「ピータン、どこ行ってたんだ今日はお風呂の日じゃないか」

「俺の後を付いて外に出てしまったんだ、じゃ俺は行くよ」


 ピータンを渡して外に出ようとするルカをダンが止めた。


「こんな時間にどこへ行くんだよ」

「・・パイを探してるんだ」


 ルカのただならぬ雰囲気をダンは察知した。


「僕も行く。探す当てはあるの?」


 (俺一人でパイを説得したほうがいいんじゃないだろうか。いや、まるでパイが犯人と俺は決めつけてるみたいだ。パイじゃない・・でもあそこで見たのは確かにパイだった・・)


 一瞬悩んだが、ルカはダンも連れていく事に決めた。


「一つ、ある。一緒に行こう」


 厩舎へ行くまでの間にルカは手短に事の顛末を話して聞かせた。そしてルカが向かったのは森だった。正確には森の奥の蒸留所だった。


 果たしてパイはそこに居た。真っ暗な森の中、蒸留所の前にうずくまって小さくなっていた。


 


 

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