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黄金の瞳のルカと精霊の呪い  作者: 山口三


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22/88

カフェでのお茶、3人は踊る


 ルカは気を取り直し菓子屋探しを再開した。と、後ろから聞き慣れた声がした。


「ルカ様、お買い物ですか?」

「やあエレン、君もお使いらしいね。そうだ! 美味しいお菓子屋を教えて欲しいんだけど」


 エレンは街一番と言われている高級菓子店へルカを案内した。

 

 至る所に花が飾られ、華やかな装飾が施された煌びやかで見るからに女性好みの店内にはカフェが併設されており沢山の女性客で賑わっていた。


 焼き菓子を適当に見繕い、案内してくれたお礼にカフェでお茶をご馳走しようとルカがエレンに提案した。

 エレンは顔を輝かせた。―こんな高いお店でお茶できるなんて滅多にないことだわ!


 窓際の席に案内され着席すると、奥の方にダンとマリーナの姿があった。ダンはルカに背を向けていたのでダンたちに気づいていなかった。


「さ、好きなものを頼んでよ」

「ありがとうございます! わぁ、迷いますね。クレープのフランボワーズのソルベ添えが美味しそう! あ、でもこのダブルチーズのスフレ&ピスタチオムースっていうのも食べてみたい! あああどうしよう」


 (女の子っていうのはホント可愛いよな)ルカは楽しそうにエレンを見ながら思った。


「両方頼んじゃいなよ、俺はアップルパイにしようかな」

「きゃーそれではお言葉に甘えて!」


 エレンはデザートを美味しそうに頬張りながら色んな話をした。ロージアン伯爵のおしゃべり、夫人の尻にすっかり敷かれている事、レナードのウイシュケ蒸留所も経営が厳しい事・・などなど。


「ダニエル様は10年ほど前にロージアン家に養子に入られたんです。なんでも奥様の遠縁にあたる方らしいんですが、事故でご両親を亡くされたそうで。」


「そうだったんだ。ダンはレナードとも伯爵夫妻とも結構似ているから本当の家族だと思っていたよ」

「そうなんです。親類ってあんなに似るものなんですね」


 ルカたちが帰る時もダン達はまだ話をしていた。

 マリーナの表情は『恋する乙女』そのものだな、とルカは微笑ましく思いながら店を後にした。



―――



 その翌日ルカが蒸留所に行こうとしているとパイも付いていくと言ってきた。

 ウイシュケの精霊との会話をルカから聞いたパイが、自分への態度と随分違うことに憤慨したらしい。

 

 (今度こそあたしも情報を聞き出してやる)


 蒸留釜がある部屋に二人が行くと、精霊は立ち上がり手招きした。

 ルカは何も言われずとも精霊の横に立った。真面目な顔をして頷く。準備OKだ。


 パイは口をあんぐりと開けて、目の前で繰り広げられるルカたちの踊りを眺めていた。‥‥踊るなんて聞いていない。


 ルカは踊りながらパイを手招きした。


(えっ、まさかあたしにも踊れって言ってるの? ウソでしょあんな恥ずかしい踊り、絶対無理)


 パイが首を振ると、今度は精霊が手招きした。プルプル‥パイはまた首を振った。するとルカも手招きした。二人でパイを手招く無言の圧力にパイは逆らえなかった。


 精霊を真ん中にして踊る3人。


 そこへ工員の何人かが顔を覗かせた。だが蒸留所の工員たちには2人にしか見えない。筋骨隆々の逞しいイケメンと可愛らしい少女が何やら珍妙な踊りを踊っている‥‥。


 これは近付かない方がいい‥。見なかったことにしよう‥。工員たちは蒸留釜の用事を先延ばしにすることにしてその場からコッソリ立ち去った。


「ふむ。悪くない」


 また床に座り込んで精霊は深く頷いた。


 

 


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