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黄金の瞳のルカと精霊の呪い  作者: 山口三


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妖精国からの返事


 次の日は昼頃、地下の牢屋にパイを訪ねて行った。


「ちょっと!あんた昨日、寝起きでぼんやりしてるあたしに何飲ませたのよ!」

 ルカを見るなりパイは噛みついてきた。


「仕方ないだろ、普通に聞いたってどうせ本当の事を言わないんだから」

「あら、ここから出してくれたらいくらでも本当の事を話してあげるわよ」

「それより、ほら昼飯だ」


 ルカは5人前はあろうかという魚のフライを差し出した。そして自分もひとつつまみながらパイの様子をじっと伺っていた。


「ねぇ、昨日のお酒はもうないの?」

「ない、あれは本来なら規則違反だ」

 後ろからロッシが声をかけた。


「フン、つまんないの。でさ、何のお酒なのよ?」

「あれはマタタビ酒だ。人間が飲むと滋養強壮になる」

「ふ~ん、そんなものがあったのね。で、あたしを何時ここから出してくれるの?」

「ここから出したとして、逃げ出さないという保証は?」

「ないわね。あたしを信じるしかないと思うわ」


 ルカはロッシとパイのやり取りを黙って見ていたが立ち上がって言った。


「悪いが俺は疑り深いんだ。もう少し様子を見させてもらう」

「いいけど、食べ物だけは忘れないでよ。パンと野菜スープなんて絶対に持ってこないでよね」



 それから3日ほど経った日のことだった。


「ルカ、返事が来たぞ」


 訓練場で剣の稽古をしていたルカにロッシが手紙を手渡した。

 

 俺、誰かに手紙なんて出したっけ?首を捻りながら開封すると妖精国からの手紙で、パイについての返答と書いてあった。


 パイが犯した罪状について、A級犯罪ではあるが


 1.初犯であること。

 2.生命・生命維持にかかわる重大な被害が出ていないこと。

 3.情状酌量に値する理由があること。

 4.ルカの監視下の元、5年間という条件つき。

 5.ルカと誓約を交わすこと。


 という条件つきで管理局行きを免除すると書かれていた。


 回数限定・誓約魔法と書かれた別紙がもう1枚入っていた。逃げないように、俺との約束を守るように誓約させる訳か。


 ルカはロッシに手紙を返しながら

「この間の手紙って妖精国宛てだったんだな」

「そうだ、もしかしたら、と思ったんでな」

「こういう方法もあったのか。さすが年の功だな」

「年の功は余計だ」


 ルカはハハッ、と笑いながら稽古で流れた汗を拭いた。


 二人はどんな誓約を課すか相談してから牢屋に降りて行った。


「パイ、これ読めるか?」


 パイは鉄格子に顔を近づけた。

「この情なんとか、が分からない」


 ロッシの説明を聞いたパイは目を輝かせた。

「あんたと誓約を結べば自由になれるんだね!」


「自由じゃないぞ。俺の手下として働いてもらうし、勝手に遠くへ行かれても困る。5年の間は俺と一緒だ」

「誓約を破れば即、管理局行きと書いてあるぞ」


(どうやって管理局に連行されるのかは謎だがな・・・)ロッシはそのことについては言及しなかった。


「5年なんてあっという間よ!」

「お前、ロッシに感謝しろよ。妖精国にわざわざ手紙を出してくれたんだから」

「あら、見た目の割に気が利くのね。ありがとうロッシ」


 パイはチュッと投げキッスをしてみせた。





 






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