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転機①

 この世はまさに大ハンター時代!!

 どこかの漫画に影響された奴がそう表現するのも無理はない。


 突如として世界各国に現れた異界に繋がるポータル、いわゆるゲートと言われるものが同時多発的に出現。そこから現れる怪物──モンスターは人間から建物まで無差別に蹂躙を始めた。


 人類はそれに対し、様々な最先端の兵器で立ち向かい、化学兵器まで利用すれば並大抵のモンスターは対処可能だった。


 しかし兵器を多用するほどにゲート周辺が使い物にならなくなり、モンスターの残骸も回収が難しいので資源は失われていく。

 なによりもゲートを消す事ができないのにも関わらず、数ヶ月置きに日本でもゲートは増え続けて行ったのだ。


 事実上、滅亡の危機に立たされたその時──突然人類は特殊な能力と脅威的な身体能力を与えられた。今では人類のほとんどが、かつての数倍の身体能力を持っている。


 そいつらの中で自らの能力を活かし、モンスターの処理をする者たちを人はハンターと呼んだ。

 そしてその中でも突出した力を持っているハンターをS級ハンターと言い、今では核兵器に近い影響力を持つ者も少なくはない。


 そんな世の中で、高校2年生の俺、神崎宇堂(かんざきうどう)は能力なし、身体能力もかつての人間並という神に見放された男だった。

 もちろん能力なしの人間が同じ待遇を受ける訳もなく、両親も4年前のゲート暴走事件した時に亡くしたので頼る所は何もない。


「ただでさえわけわかんねぇ世界なのに」


 せめて能力のひとつくらいくれてもいいだろ。

 そう思う日々を続けて4年。俺はもう立ち直れそうにないので死のうと思う。


 悔いしかないが、さようなら宇堂(おれ)の人生。


 宇堂は手に持った包丁を首元まで持っていく。そして全力を込めて首を真っ二つにするように振り切った。

 壮絶な痛み。だがそれも今までの苦しみに比べれば瞬間的なものだった。そうして俺の意識は彼方へと消えていき、今に至る。


 ここはどこだまじで。


 周囲はアマゾンにあるようなでかい木に囲まれ、何もかもが変わっている。それに対して、切ったはずの首や血は何もかも無事だった。


 そして何より現実離れしているもの──


「なんかゲームウィンドウみたいなやつが見えるんだが」


 目の前に浮かぶ半透明の青い看板だった。




 ーー




 おいおいなんじゃこりゃ。


 目の前に浮かぶ3つの半透明の青い看板。これは明らかにRPGゲームとかでよく見るゲームウィンドウだった。


 [お知らせ]

【魔本ロバリー】のレベルが2に上がりました。所持者が魔本ロバリーを利用できるようになります。


 [お知らせ]

 あなたはユニークスキル【魔本ロバリー】の効果により『神崎宇堂』を盗みました。


 [お知らせ]

 今後は強く念じる事により【魔本ロバリー】を目の前に表示する事が可能です。


 とりあえず何が何やらわからないが、まずは魔本ロバリーと心で強く念じてみよう。


「わおっ」


 すると目の前に、先程の半透明の青い看板が現れた。そしてそこには、ゲームのメニュー画面のようなものが書かれている。


「普通の本とかじゃなく電子書籍(?)だったのか」


 とりあえずその欄には『所有物』『設定』が書かれている。


 今の画面の空欄的にも、まだいくつか項目が追加されそうだが、いま表示されているのはそれだけだ。ユーザーインターフェース悪すぎだろ。


「とりあえず所有物っての押してみるか」


 するとそこには、『神崎宇堂』と『ディリアーナ』の二つが書かれていた。


 俺の名前が書かれてるのは、多分自殺したからだと思う。自分自身を盗むってもはや意味わかんねぇけど。


 まぁそんなことより──


「ディリアーナって何」


 とりあえずその文字を押してみるが、『制限されている為使えません』と出てくるだけで何もわからない。レベルが足らないのか?


 能力を盗む方法も、今のところ使えるのは自分だけというのは自殺前となんら変わらない。なんなら見知らぬ場所にいる時点で生きてるのかも不明だ。でも──


「やっと能力者になれたぁ!」


 俺は4年ぶりの笑顔を浮かべた。


 自らの手で死を選び、能力も手に入れた。見知らぬ場所だろうが、もう怖いものなんて何もない。


 ハンターになって金稼ぎまくって、遊びまくるのも悪くないかもしれない。だがそんな事よりも──


「俺をここまで陥れた奴らをぶっ潰してやる」


 まずは同じ高校にいる生徒全員!特に理事長の息子、樹洞祐希(じゅどうゆうき)は何もかも奪ってやる。


「これから手に入れるのは俺だ」


 そうと決まれば自分の能力について詳しく調べる必要がある。どこまで盗めるか楽しみだ!


 そして数分後、俺は最悪な真実を突きつけられる。


「ここダンジョンの中か異世界だわ絶対」


 目の前に現れた肌が黒く耳が長い人間──ゲームの中でよく見るダークエルフを目の前に絶望する。


「えっとあのー、とりあえず話聞いてもらえません?」


 パシュッ


 そのダークエルフ(仮)から放たれた矢が俺の右足を射抜く。そして次の瞬間、再び目の前に魔本ロバリーが現れた。


 [ダリアの身体の所有権を強奪]

 矢を10発受け切る。


 あなた、ダリアって言うのね!


 いやいやそんな事より……10発はいくらなんでも辛すぎやしませんか?


「まぁでもやるしかないか」


 右足の痛みなど、これまで受けた地獄に比べれば全然耐えられる。やっと前へと進む力を手に入れたんだ。


「とりあえず、このダンジョン全部を入れてやる」


 まずはそこの金髪ダークエルフからだ。さっさと10発撃ってきやがれ!!

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