233 写真集……パンフレット発売
12月の中旬。
職員室で、担任から刷り上がったばかりの『学校紹介パンフレット』を受け取った。しかも5冊。
「はい、これは宗谷くんの分です」
「ありがとうございます。もうすぐ発売ですね」
「ええ……予約だけで書籍ランキングのトップになっているのだけど、なにか思い当たることないかしら?」
「さあ。動画で何回か宣伝しましたけど、それくらいですね」
「それくらいって……」
担任は頭痛持ちだろうか。ときどきそんな姿を見る。
しかし、5冊か。自分と母と姉、それに萌ちゃんと咲ちゃんで決まりだな。
申し訳ないが、美奈代さんは我慢してもらおう。
そんなことを考えていると、担任がじっと俺の顔を見てきた。
「なんですか?」
「一宮高校から学校経由で問い合わせがきたので、一応聞きますけど、あそこの生徒さんに無理やり何かをやらされたってこと、ないかしら」
一宮高校というと、真琴たちが通う女子校だ。
「ないですね。友達が結構できたので、すごくお世話になってますけど」
「お世話……具体的には、スポーツセンターでの出来事ですけど」
「スポーツセンター……? というと、あれかな。この前、温泉旅行に行ったじゃないですか」
「奉活ですね。それで」
「普段お世話になっているんで、そのときのお土産を渡しにいったんです。みんなで集まれる場所って、あの辺少ないんですよね。ファミレスくらいしかないし」
「……そうですね」
「で、みんな自分の予定をキャンセルしてまで会ってくれたんですよ。ファミレスでも妙に盛り上がって……地底人の襲来かと思いました」
「……地底人?」
「いい感じに盛り上がったし、せっかくだからどこか行こうってことになって、二次会にスポーツセンターへ行ったんですよ」
「……要約すると、お土産を渡したあとで一緒にスポーツしたわけね」
「そうですね。なにか問題ありました?」
「私も聞いた話なので詳しく知らないのですが、一宮高校のある生徒が校則違反をして、スマートフォンを没収されたそうです。待ち受け画面にちょっとここでは言えない画像があったので、本人同意のもと、ストレージをすべて確認したら、宗谷くんの写真がいろいろ出てきたわけです。生徒の説明は聞きましたが、どうしても本人から話を聞きたいと連絡があったのです」
「そういうことですか。ここでは言えないということは、上半身を脱いだときの写真かな」
「しぃー! お願いだから、そういうのは」
「ああ、そうでしたね。ええと……どう言えばいいのかな? その人は、俺の……妙に肌色の多い写真を待ち受けにしていたんですか? そういえば、シャッター音がありましたね」
「………………」
やはり担任は頭痛持ちのようだ。
「撮られることに抵抗は……ないですよね、宗谷くんの場合」
「抵抗ですか? まったくありませんけど」
「やっぱり距離感が……できることなら、BBQを止めさせたいところだけど」
「そんなこと言ったら、クラスの子たちが泣きますよ。楽しみにしているみたいだし」
「分かっているわ、分かっているのだけど……コホン、それで一宮高校には問題ないと伝えておきます。それでいいかしら」
「はい。よろしくおねがいします」
俺は頭痛持ちの先生になるべく負担をかけないよう、朗らかな返事をしてから職員室をあとにした。
数日後、学校案内パンフレットが発売された。
俺の周囲は、いたって静かだ。みんな予約していたらしい。
周辺中学校は一括購入のため、大きな混乱はなかったと思う。
毎年予約し忘れた生徒が出るようだが、逆にそういう人たちは、発売前までに書店予約に走るそうな。
凪だったのは俺の周囲と周辺中学校だけで、それ以外ではちょっと凄い有様になっていた……らしい。
「朝の登校途中に見たのですけど、駅の本屋さんで並んでいる人がいましたよ」
と菊家さん。菊家さんは始業の一時間以上前に電車に乗ると聞いている。いったい何時から並んでいるのやら。
「限定生産だしな。とくに今年は、買い逃すやつが多いんじゃないか?」
遠野さんは「転売屋がさぞ儲けることだろ」と笑っている。
そう、この写真集……げふんげふん、学校案内パンフレットの問題点は、限定生産品であることだ。
写真集としての需要は高いものの、学校案内のパンフレットであるため、期間限定商品。
需要に応じて、再販するらしいが、特区外のすべての書店に並ぶわけではない。
そもそも願書提出期限までしか売り出されないのだから、再版するとしても年内までだろう。
いま買い逃すともう、手に入らないのだ。
「来年は来年の方が登場しますし、買えなかった方はさぞ悔しい思いをしていることでしょう」
橋上さんが煽るようなことを言っている。
買えなかった場合は、転売屋から高値で買うのだろうが、それも業腹だろう。
「男子高校生の写真集って、他にないんだよね? だったらみんなで作って出せばいいんじゃない?」
青野さんが面白いことを言った。
もとの世界でいえば、カリスマ女子高生の写真集みたいなものだろう。
出せば十分に需要が見込める。
「おもしろそうだし、あのカメラマンに連絡すればすっ飛んでくるだろうけど、ここで写真集を出すのも二番煎じだよな」
いい案だが、すでに学校案内パンフレットがあるのだ。それでいいじゃないかという気分になる。
「でしたら、動画をディスク販売とかでしょうか」
「日頃撮影しているから、その延長線になるんだよなぁ……もっと、インパクトのあるものってないかな」
別段、そこまで商売っ気があるわけではない。
ただ特区外の女性たちのことを思えば、なにか残るものを提供してあげたいと思えてくるのだ。
「私は写真だけでも満足ですけど」
「そういえば菊家さんは、俺の写真を飾っているんだっけ?」
「はい。その節は許可をいただきまして、ありがとうございます」
「いや別に、写真を飾るくらい、いくらでも許可するから……ん?」
以前、みんなで写真撮影をしに行ったとき、菊家さんが巨大パネルにして勉強机の上に飾ってもいいかと聞かれたことがある。
当然、問題ないと答えたのだが……。
「ポスターとかいいかもしれない」
「なんですか?」
「写真集だと毎回、本棚から出して見なくちゃならないじゃん。ポスターだったら、壁に貼ればいつでも見られるし」
「おっ、それいいじゃん」
「いいですわね」
「動画のチャンネルで告知すれば、それなりに売れる気がする」
また撮影場所借りて、撮ろうかな。
読み込みが遅い問題ですが、一度でも読み込むと2回目からは一瞬なんですよね。
ただ、「新着通知」に「感想」とかが出るとやはり読み込みに時間がかかります。
問題はその辺なのかなと思っていますが、たとえばこの『男女比』だと現時点で感想の数が1100件超えていますので、それが悪さをしているのか、それとも……。
あと毎回マイページのどこにもない「お気に入りユーザーの活動報告を読み込み中」とか「お気に入りユーザーの小説を読み込み中」と表示されますけど、それが原因でしょうか?
以前は作品を大量削除&別の小説投稿サイトで活動中に、なろうでの読み込み方法が変わったため、結局原因が特定できず症状が治まったので、戻ってきたりします。そしてまた今回、読み込みに時間が……。




