なんだこれ?・・・1
初投稿です。
ほぼほぼ実体験を元になにか書いていこうと思いました。
出身は熊本なので、本当は全部熊本弁だけど、標準語で書いております。
新宿二丁目の第三天香ビルの『ATLANTICA』というゲイバーを一人で酒を飲む。金曜ということで、満卓の端っこ酒を飲んでると、名前も知らないし、名前を聞くこともないであろう若いヤツに暇つぶしに話掛けられる午前2時前。
「おいくつなんですか?」
でた。もう何千回と繰り返してきたこのやり取り。
「32歳だよ。」
「えーっ!もっと下だと思ってましたー!お若く見えますねっ!」
「何?舐めてんの?」
と笑顔で返すと急激に表情がひきつる若いヤツ。
「あっはっはっはっ!冗談冗談!」
と若いヤツをおちょくって満足したところでお会計する。
「ごちそうさまでーす!」
「なすびさぁぁあん!ありがとうございましたぁぁあん!」
「なすび」という名前は源氏名で、名前は矢嶋辰也という。二丁目という飲み屋街では、もうババアと言われる年齢だ。
「眠い。眠すぎる。」
酔うとか気持ち悪くなるとかではなく、眠気という体力的な問題で帰るような年になってしまった。思い返せば、俺はいつこんな輩みたいな奴になったんだろうなぁ。
*
中学3年の5月の英語の授業中。
トントン。後ろの席の奴が俺の肩を叩く。
「えっ。何。怖い。」と思いながら、後ろを振り向くと「この英文ってどういう意味?」と教科書の一文を指差して、倉岡崇が言った。
「―――は?」
倉岡くんのことは、中学1年の頃から知っていた。
「倉ちゃん」と呼ばれていること。野球部であること。
坊主で切れ長の目で、眼鏡かけてるけど、その眼鏡もなんか柄悪くみえる。
学年集会になれば、必ず眉毛を剃っていることで立たされていたし、裏ボタンもしてたし、学ランも標準のものではない気がする。
とにかく校則違反の塊、すなわち不良だと思っていた。
不良は苦手だったので、なるべく距離をおいていた。
プリント回すのも目を合わさずにやっていたくらいだ。
「不良が英文の意味なんかに興味があるんだ。」と強く思った。これが倉岡くんとの初めての会話だった。
そこから仲良くなるのは早かった。
すぐ「倉ちゃん」と呼ぶようになったし、倉ちゃんは友達はさほど多くないようで、二人でつるむことも多くなった。
そんな中、俺の中の異変は急にやってきた。