第1章「演奏のお仕事」
昨日はいつの間にか眠りについていたようだ。目が覚めてすぐに秘書から質問をされた。
「昨日していた「えんそう」というのは何だったんですか?とても感動しました。」
演奏の説明なんてしたことがない。
「まあ、人を感動させるものだよ。」どうだ。かっこいいだろ。なんて思っていると
「そのままですね。」冷たい目で見られてしまった。続けて秘書に言われた。
「隣国の王様も「えんそう」をしたそうです。そこで王様に依頼がありました。もしよかったら、一緒に演奏をしてほしいと。隣国の王様が噂を聞いて言ってきたそうです。」
すぐに行こうと思ったが、この国の人間が演奏自体知らなかったのになぜ隣国の王は知っていたのか。気になって仕方なかった。
「ここから隣国はどのくらいかかる?」返答次第では断ろうとした。
「馬車で35分くらいです。」
車で言うと15分から20分くらいだろうか。「よし行こう!」乗り気になり、向かおうと提案した。
「気持ち悪い・・・揺れすぎだろ。」35分間ずっと気持ち悪かった。
馬車の中で隣国の話を聞いた。この間まで王様が失踪していて、この間見つかったらしい。どこの国も一緒だなと思った。
そしていよいよ隣国の「ダイレーン」に着いた。
街並みは「エノーン」とあまり変わらないがこっちの方は治安が悪い様子だった。
流石に隣国の王様となると変なことをしてくる輩はいないが少し奥の路地裏を覗くと何かの取り引きのようなものも目についた。ダイレーンに着いてから10分ほど歩いたところに大きな城があった。
城に入ると、インチキ臭い服を着ている王様が出できた。
「こいつほんとに王様?」
小声で秘書に聞くと、「なんか王様って感じしないですね。」なかなかに辛辣なコメントを頂いた。
奥の自室に連れてかれて、話を聞くとどうやら西の森で狩った猪の皮を桶で洗っていた時に手を抜いて上に被せて乾かそうとしたらしい。その時にたまたま叩いて音が鳴ったということだった。
「こいつ気が狂ったことしてるな。」
なんて直接言えないので心の中に秘めておいた。
すると隣国の王様は二人で話したいと言って両方の秘書を外へ出した。
隣の国王様が 「これを見てくれ。」 と言い、小さな紙切れを渡してきた。そこには
「日本」と漢字で書かれていた。
「は?え?なんで?え?」
何があったかわからなかった。立て続けに質問をした。
「なんで知ってるの?」異様に懐かしい感じがして、友達のように接してしまった。
「やっぱりか。ギター弾けるんだよな?」
この人はギターを知っている、絶対にみんなと違う。そう思っていると続けて質問された。
「お前、孝太だよな?梵孝太だよな?」なぜか俺のことを知っていて興奮した。
「もしかして、仁か?」自信があった訳じゃないが、この際だから聞いてみた。
「そうだよ。やっぱり孝太だったか。ギターの話を聞いてピンときたんだよ!」知り合いがいてよかった。
「なんでそんなインチキ臭い服着てんだよ。」ちょっといじりで言うと顔を真っ赤にして、言い返してきた。
「これしかないんだよ!」王様も大変だなって思った。俺もだけど。
話を聞くと、あのハウリングのあと4人でいたギター梵孝太ドラム大鳥仁ボーカル中浦美菜ベース三上隆斗がこの世界に飛ばされ、他の国の王様に転生したらしい。この4人のバンド以外のバンドも転生したらしい。
「そんなことあり得るのか?」よく考えたけど、理解ができなかった。
「俺もわからないけど多分バンド同士で戦いが始まると思うんだ。」焦った顔で言ってきた。
「とりあえず隆斗のところに行こう!」俺がにやけ顔で言うと真顔で返してきた。
「演奏しにここにきたんだろ?」そうだった。別にしたくないなんて言えないな。
どうもこんにちは、加和伊。です。
この第1章はまだ続きます。