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『フォークダンス♪』は競技ですか?

「旅行は、ローラに任せておけば良いとして・・・」

また、麗子が突然話しを変え始めた。

「麗子ちゃん、今度は何?」

呆れ顔でローラが言った。


「体育祭、どうする?」

そう口にすると、麗子の目は夢見る少女の、うっとりした潤んだ目になった。


そんな麗子に、ローラはまた呆れた顔をするのかと思いきや、

「やだ~、麗子ちゃんのH~♪卑猥~♪」

「煩いわね~ローラ。ローラだってお目当ての男がいるんでしょ?卑猥~♪体育祭の話ししたら、嬉しそうな顔しちゃって」

「そ、そんな事無いよ~。」

顔を真っ赤にしながらローラは、弁解し始めた。


そう、実は超リッチな学園春色スワン学園の体育祭には、女子も男子も、心中穏やかではいられない、ある競技(競技?)があるのだ。


まず、春色スワン学園では、共学の高校ではあるが、実際には、男子、女子別々にクラス分けされ、学園生活を送っている学園なのだ。


ただ、学園行事の時には、男女がそれぞれ関わり、行うのが学園の方針になっている。


体育祭も然り、なのだが、ただ、体育祭には、大きなイベントが一つ用意されていて、それが、超大金持ちの子供達ですら、浮足立たせてしまうのだから、学園の名前通り、年中春ののんびり陽気に包まれている、お花畑状態な学園なんだろう。


話しを戻し、ローラに麗子を、夢見る可愛いらしい少女に変えてしまう体育祭のイベント、競技(競技?)とは、実は、『フォークダンス』♪


「ねぇ、ローラ、あんた確かジョー・リン様に憧れてるんでしょ?」

「ちっ、違うよ!何言ってるの!麗子ちゃんの破廉恥!」

「だって~、あんたが隠れてジョー様の写真とかグッズ買ってるの、私、見たんだから!」

「!やだ、追跡してたの、麗子ちゃんったら!・・・、あれっ?って事は、そこに麗子ちゃんも何か買いに来てたって事だよね?」

「(ゲッ!ヤバい・・・)」


ローラの素早い反撃に、麗子は、たじろきながらも上手く翻そうと、あれこれ口にし始め様としたが、ローラの口から、麗子をノックダウンする名前が飛び出して勝負有りになってしまった。


「麗子ちゃん、どうせ、漆丸様の最新写真買いに来てたんでしょ?(ニヤニヤ♪)」


その言葉に、麗子の頭は真っ白になってしまった。


「・・・。」

「やった~、大正解~!」


ローラの嬉しそうに笑う顔とは反対に、麗子は、次第に顔が真っ赤になり始めたのだった♪


「やっ、な、何言ってんの、ば、馬鹿ねぇ、この私が、何でわざわざ自分の足で・・・、それより、な、何で私がっ、」

「はい、はい。真っ赤になった麗子ちゃんの顔が答えだからねっ♪ねっ、ヒロリちゃんも、そう思うでしょ?♪」


二人のやり取りを静観していたヒロリは、少し笑いながら、


「漆丸様、カッコイイからね♪麗子ちゃんでも、気になっちゃうかも。」

「!ちょっ、ちょっと、ヒロリ、あんた、まさか、漆丸様の事っ・・・」

「違う、違う、それは無~い。」


ヒロリは、麗子を庇ったつもりだったが、麗子には、違った解釈をされたらしい。


「あっ、そう。ふ~、良かった、安心した。」

「やっぱり、麗子ちゃんは、漆丸様が好きなんだね~♪」

「煩いわね!否定はしないでおいてあげるわっ!」

「麗子ちゃんらしい感じ♪」


麗子の白旗で、ローラ対麗子の一戦は、一旦収まった。


この三人のやり取りから、春色スワン学園の体育祭の一大競技(?)、『フォークダンス♪』には、実は、特別な意味合いがあるのがわかる。


超リッチな春色スワン学園の、体育祭の全員参加競技(?)、『フォークダンス』は、実は、学年、クラス、関係なく、憧れ、好きな、先輩、後輩、男子、女子、に分かれて、幾つかのグループでフォークダンスを踊る事ができる、春真っ盛り、お花畑だよね♪な、共学でありながら、実質、男子校、女子校な学園方針で生活する学園生には、嬉しくて心踊るイベントなのだ♪


それで、麗子にローラの会話が、ジョー様だの漆丸様だの意中の男子の名前を出して、はしゃいでいるのだった。


「ねぇ、だったらヒロリのフォークダンス踊りたい相手って誰なのよ?」


麗子の質問に、予想はしていたものの、ヒロリはギクッてしてしまった。


(参ったな~・・・)


すかさず、ローラからも同じ質問がヒロリに突き刺さった。


「そうそう、教えなさいよ、ヒロリちゃん。誰が好きなの~、ヒロリちゃんは♪」


ローラに麗子の熱視線に、ヒロリは更に動揺したが、


「う~ん、良くわかんないけど、確か、ジョー・リン様に漆丸様は、いつも三人で行動してるって聞いた事あるから・・・」

「うん、うん♪」

「ローラちゃんはジョー・リン様でしょ?麗子ちゃんはうるし丸様でしょ?」

「だから?」

「私は、もう一人の西森様で、ちょうどバランス良くなるよね?」

「え~っ、何だかはぐらかされた感じがする~。」


ローラが、不満気にブー垂れだしたら、麗子も、


「確かに、私達二人だけ、好きな相手がバレた感がするよね。」


「良いでしょ、別に。これで三人なかよく『フォークダンス♪』に取り組めるでしょ。気にしちゃダメだ。」


ヒロリが、上手くかわした。


「まっ、いっか。ヒロリの言う通り、好きな相手がお互い被らなかったから良かったよね~。」

「そうだね。これから、三人で力併せて、『フォークダンス♪』を成功させなくっちゃいけないね♪」


ローラに麗子も、とにかく、体育祭の『フォークダンス♪』で、大好きなジョー・リン様に漆丸様の手を握り、しあわせな一時を過ごす事に、今は、テストより大好きなケーキより、夢中になっていたのだった。



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