プロローグ
第二作品目、始動しました。
時刻は午前零時過ぎ。
街に点いている灯りと言えば、二十四時間営業のコンビニエンスストアか、深夜営業の飲食店、夜からネオンライトできらびやかに装飾される繫華街の一画、その他はぽつぽつとある街灯の弱い灯り位だ。
この時間だからこそ、だろうか。日中とは違った華やかさ、賑わいがある。
普段なら。
この日は違った。
辺りは賑やか、ではなく騒然とした、と形容した方がいい空気が真夜中の街に流れていた。
夜の闇の中に、それよりも暗い影があった。
暗闇に覆われて形が捉えきれないが、人に近しい形、という事は分かった。
その影の近くには、人が何人か、血を流して倒れている。
「グ、アア・・・アァァァ!!!」
その影が吠える。
何かにもだえ苦しんでいる様な声だった。
それに共鳴するように、周辺に置かれた看板やベンチ、自転車といった物が浮き上がる。
「く、そ・・・」
重傷ながら、まだ生きていた一人の男が、呻く。
よく見れば、戦闘の跡がところどころに残っている。
何人かと影とが交戦していたらしかった。
その一人を除いては、動く気配がない。もう死んでいた。
その一人ももう瀕死だ。
そして無慈悲にも、その男に、浮き上がった道具の類が降りかかる。
「畜生・・・!」
悔やむように男は吐き捨てる。
その時。
一発の弾丸が、男の頭を通過し、道具に当たる。
同時にそれらの道具から急に勢いが消え、その次には、明後日の方向に飛んでいった。
「な・・・!?」
死を覚悟していた男はその現象に驚愕する。
それだけで終わりでは無かった。
大型のブレードを持った少年が影の懐に突然現れた。
「・・・強化」
少年が呟く。
影が少年に反応して腕を振り下ろす。
その力は、人間でないことは明らかだった。
だがその力より、少年のブレードに乗せられた力の方が上回っていた。
激しい衝撃と共に影の腕が吹き飛ぶ。
「アアアアアア!!!」
影が叫ぶ。そしてもう片方の腕を振るう。
少年は体を逸らして腕を躱し、ブレードを刺突の構えにして、影の腹に突き刺した。
「・・・うっせえよ」
少年は苦い顔をしながら言った。
少年が剣を抜く。影はもう動くことは無かった。
死亡したからか、影が剥がれ、人の死骸が残った。
「・・・」
「あ、終わった?やっぱり早いね」
少年が死骸を傍観していると、壊れた街灯の上で、銀色がかった髪の少女が気さくに笑っていた。
「ああ、問題ない」
そしてもう一人、違う声が、少年の後ろから聞こえてきた。
黒髪黒眼の少年がゆっくり歩いてくる。片手に拳銃、片手に刀を持っている。
「簡単な仕事だったね。全く、この程度で何で死亡者が出るのやら」
「ま、能力者全員が戦闘に長けているわけじゃないしな。どうせ金目的でやったんだんだろ」
「だろうね」
黒髪の少年が肩をすくめて小さく嘲笑う。
「私の出る幕なかったなー・・・あ、でも一つあるんだっけ」
街灯に座っていた少女が二人の少年の所に着地する。
そして負傷している男の方に近づいた。
「・・・な、何者なんだ・・・?」
男が震えた声で言う。
「ん?貴方に言う必要はないし。それに」
突然、男の意識が途絶え、地面に倒れこんだ。
「言っても覚えてないだろうし」
クスッと少女は笑った。
「仕事は終わった。・・・帰ろうぜ」
「「了解」」
三人がその場を去る。
その場には数人の死体と、血だまりと、気絶した男が一人だけが残されていた。
どうも初めての方は初めまして、そうでない方は見てくださりありがとうございます。
ようやく二作品目が始められました。
この作品、メインのキャラクターはとある友人と考えたものだったりします。
今回はプロローグ、短い内容ですが、次からは本編に入りますので、よければまた見て頂けると嬉しいです。
それでは、読んで頂きありがとうございました。