第46話 復活
アキヒデが片手を上げると、周囲の景色は一変する。
校舎も、生徒達も消えた。代わりに、360度地平線を見渡すことができる荒野が現れた。
「今度は、どんな痛みを味わいたいんだ?」
不敵に、アキヒデは笑っている。
平山は意識を集中すると、乾いた大地から次々に分身が生み出される。
「単純な攻撃を繰り返す気だな。学ばない奴だよお前は」
平山は集中を続ける。10人、20人、50人、100人。最終的に300人の分身が出現していた。
「数が多けりゃ、なんとかなるとでも思ったか」
アキヒデは手近な分身から殴りはじめた。アキヒデの拳を打ち込まれた平山の分身は、次々に風船のように破裂してゆく。
だが、分身たちもただ消えてゆくわけではない。10人にひとりの割合で、アキヒデを攻撃している。
アキヒデは、そんな攻撃ではダメージを負わない。
手を休めることなく、分身たちをなぎ払う。
それでも、気分は害しているようだった。アキヒデの表情には、憎しみの色が濃くなっている。
平山も絶やすことなく、分身を産み続けていた。
「おい、いい加減にしろ。こんなことは無駄なんだよ」
平山の限界は近づいていた。分身たちの質も落ちてきている。子供が書いた下手な絵のような、平山とは似ても似つかぬ分身も入り混じっていた。
「遊んでんじゃねえぞ」
気炎を発してるアキヒデに、残っていた分身たちは一斉に襲い掛かる。
しかし、瞬く間に分身たちは叩き潰された。
「無駄だ無駄無……」
高らかに笑いかけたアキヒデの顔色が変わる。
背後から、アキヒデを羽交い絞めに捕まえた者がいた。
それは、平山の分身ではなく、消え去ったはずの島津であった。