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  作者: 堀 雄之介
45/50

第45話 先制

 ぞろぞろと、学生たちが屋上へと上がってきた。それぞれ手製の弁当や購買で買ったパンを持っている。


「さあやろうぜ。本当は小学校へ行こうかと思ったんだが、お前にはまだ刺激が強いと思ってな。オレは優しいだろ? 段階を踏んでから、ガキんとこ行こうな」


 生徒達は、小さなグループにまとまり、食事を始めている。高校生らしく、ケタケタとみな笑っていた。


「うるせえよな、あいつら。今に泣き喚くくせになあ」


 アキヒデは背中にナイフを隠し、生徒たちへと歩いてゆく。


「先に始めさせてもらうぞ。競争で負けた方は、小指切断な」


 平山は青ざめつつ、殺されるであろう生徒達を見た。


 そこには、平山の高校生時代のクラスメイトがいた。時間を越えて、友人達がいる。何も構えず、何も怯えず、何も疑うことなく過ごせていた時間がそこにはあった。


 平山がひそかに思いを寄せていた女生徒もいた。弾けるような笑顔で、笑っている。




 平山は駆け出していた。


「ようやくやる気に……」


 振り向いたアキヒデのわき腹に、平山はナイフを深々と突き立てる。


「なんだこれ?」


 アキヒデは苦しんではいない。痛みは感じないようだ。しかし、驚いてはいた。


「なんのつもりだよ、これは?」


 怒りの色が、顔に浮んでゆく。


 平山は恐れたが、怯みはしない。


「……殺してやる」


 アキヒデと平山の二人は、同時に叫んでいた。


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