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  作者: 堀 雄之介
40/50

第40話 地獄の門

 苦しみは一瞬だった。頸が吊られ血管が伸びると、意識は薄れていった。


 真っ暗な世界に漂っている感覚があった。やがて小さな光が見える。平山はその光に向かって泳いだ。


 近づいてみると、光はトンネル状だった。平山はその光のトンネルをくぐってゆく。


 心地よかった。暖かい光に包まれ、平山は心から安堵する。


 これで、ようやく苦しみから解放される。


 そう、信じていた。




 しかし、気が付くと平山の目の前に、アキヒデが立っていた。


 平山はドアに背をあずけたまま、アキヒデを見上げた。


 彼は、満面の笑みを浮かべている。


「逃げられるとでも思っていたか?」


 平山は、口だけ動かした。「ドウシテ」と。


「お前、夢の世界は単なる頭の中の空想、妄想だと信じてるみたいだけど、違うよ。この世界は、現実世界の裏側みたいなもんだ。言い換えれば『あの世』だよ。お前はオレから逃げようとしたみたいだけど、逆にオレのもとへと帰ってきただけだ」


 アキヒデは笑顔を消し、真顔になって続ける。




「そして、今度は目が覚めることがないぜ」




 平山は震え出す。ガクガクと、体中が痙攣するように震え出す。


「お前が地獄だと感じた世界。これが永遠に続くわけだ。楽しいじゃないか。時間制限なし、フリータイムだ。これからずーとずーと永久に、一緒に遊ぼう、な?」


 アキヒデは再び笑い出す。唇を左右に伸ばした笑顔は、やがて大口を開けた哄笑となり、嘲笑となる。




―― 嗚呼、嗚呼、誰か助けてくれ……。


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