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  作者: 堀 雄之介
38/50

第38話 逃避

 平山は目覚める。深夜の1時だった。


 失禁こそ免れたが、全身は冷や汗で濡れている。




―― 気が、狂う。




 強制される体外離脱に対して、もはや対抗すべき策はひとつしかない。


 寝ることを止めるしかなかった。


 平山は布団の上に座り、ただ朝が来るのを待った。


 朝が訪れるまでの長い時間、彼はアキヒデを殺す方法を考え続けた。


 しかし、何ら思いつかぬまま、夜は明けてしまった。




 寝不足で意識が朦朧とするなか、なんとか出社したが、普通に業務をこなすことができる状態ではなかった。頭痛と吐き気が止まらない。目眩もしていた。


「平山ぁ! 心を入れ替えたのは一日だけかコラ」


 上司の叱責も、耳に入ってはこなかった。


 トイレの便座に座っているとき、不意に激しい眠気に襲われた。




―― 遊ぼうぜ。




 確かに、アキヒデの声が聞こえた。瞬く間に眠気は吹き飛んだ。それは幻聴なのか、本物のアキヒデの声なのかは分からないが、二度と聞きたくない声だった。


 平山はトイレから這い出るように逃げ出した。


 デスクに戻った平山を見て、上司が珍しく優しい声をかける。


「お前、顔が真っ青だぞ。今日はもういいから、早退しろ」


 平山は素直に退社した。


 電車に揺られ、アパートに戻る途中、彼は眠らないという対策の他にも、もうひとつこの地獄から抜け出すための方法を思いつくのだった。


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