第26話 共闘
「そんなに心配するな。オレは島津のように上位世界へ行こうなんて誘うことはしねえよ」
ニヤニヤと笑いながら、アキヒデは続ける。
「勿論、お前の楽しみを邪魔することもしねえ。むしろ、手伝いをしてやる。この世界で、お前が存分に楽しめるように、背中を押してやるよ」
まあいい、と平山は考えた。新しいガイドは口が悪いが、島津のような生理的な嫌悪感は抱かなかった。もう少し様子を見てもいいだろう、とも考えた。気に入らなくなれば、また島津のように、自らの分身たちに始末させればいいのだから、と。
「なあ、何して遊ぶよ」
アキヒデが問いかける。
「今日はもう戻る。ちょっと長く居すぎたな」
「そんなこと言うなよ。せっかくオレが出てきたってのに」
平山の手を取り、アキヒデは飛び上がった。
「怪獣と戦おうぜ、カイジュウと」
二人が飛んだ先に、ゴジラのようなゴモラのような巨大な生物が現れた。巨大な生物は、ビルをなぎ倒し、火を噴き飛行機を打ち落としていた。足元では玩具のような自衛隊が、必死の抵抗を見せているが、お約束のように全く役には立っていない。
「あいつを、二人で倒そうぜ」
平山は仕方なく、その巨大な生き物を攻撃することにした。子供の遊びに付き合う心境だった。
以前、同じような状況を何かのゲームで体験したことを思い出す。平山は飛ぶことを止め地面を疾走する。右手に突撃銃、左手にバズーカ砲を担ぎ、巨大な生き物へと向かっていった。