表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 堀 雄之介
21/50

第21話 太陽

 光が消えると、空を覆っていた黒雲も暴風も同時に霧散した。


 空中には、ただ黒い塊が浮いている。人の形をした塊だ。


 平山は期待しながら、その黒い塊を見つめる。


 島津はこの世界同様、自分自身の産物だ。自分が産んだものを、自分自身が破壊できないわけがない。そう信じていた。


 ポロポロと、黒い物体から燃えカスが落ちてゆく。


 そして、全く無傷の島津が現れた。そのスーツには、焦げ痕ひとつついていない。


 平山は絶望した。


「何度言っても理解しない君には、少し灸をすえたほうがいいのかもね」


 そう言うと、島津は平山よりも高い位置まで飛んだ。


「アレが見えるかい?」


 島津が指差す先には、煌々と輝く太陽が見える。


 そのとき、平山は全身に圧し掛かる強烈な重力を感じた。何とか浮力は保っているが、それ以上動くことができない。


 重力は更に重くなる。じりじりと下降し、海面すれすれまで平山は落ちた。


 島津が指差す太陽は、巨大化している。普段の十倍ほどの大きさになり、その分光も強くなっていた。


 太陽は益々大きくなる。


―― 成長している?


 違った。地球が、太陽に近づいているのだった。


 太陽は既に天球の半分を占めるほどにまで大きくなった。


 目を開けていられない。


 大きさに伴い、気温も急速に上昇している。平山は、皮膚が焼け焦げる臭いすら嗅いだ。


 地上は灼熱の地獄と化している。海面が沸騰し、猛烈な湯気をあげていた。


 平山は自分の周辺に結界を張り、なんとか身を守ろうと試みたが、全く効果はなかった。


 海は終に干上がった。ひび割れた大地が広がる。


 空一杯に太陽があった。僅かに開く平山の目に、プロミネンスが飛び狂う姿が映る。




 そして、地球そのものが太陽に飲まれた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ