第15話 召喚
緑の多い美しい公園で、平山は一人でベンチに座りソフトクリームを舐めている。
4人の美女達を陵辱したあとは、流石に精神的な疲労を感じていた。静かな環境にて、次第に体力が回復するのを待っていた。
「十分楽しんだようだね」
また背後から島津が現れる。
「さっさと教えろ、<召喚>と<創造>だったな」
平山の隣に座り、島津は足を組む。
「君は既に<召喚>は殆ど自分の能力としているんだよ。さっきもタレントたちを呼び出してるし、僕を攻撃するときには武器を空中から掴み取ってるだろ。ああした行為を、より恣意的に行うことが<召喚>だよ。自分が会いたいと思う人物や、手に入れたいと思う存在を目の前に呼び出すってこと」
「それは、どうやったらいいんだ?」
「簡単さ。ただ念じればいい。より具体的にその呼び出す対象を、強く強く思い描けば、自然と目の前に現れることになるよ」
平山は食べかけのソフトクリームを目の前に放り投げた。くるくると回転しながら、ソフトクリームは宙を進む。そのままアスファルトに向かい落ちる。しかしその先には、突如としてゴミ箱が現れた。
「そうそう上手い上手い。ただ、物を召喚することは比較的容易なんだ。人物となると、結構苦労するかもよ」
平山は意識を集中させる。思いついた会いたい人物を思い描いた。
「あれ? なんだここ。あれ?」
平山の目の前に、毎日のように平山を叱り付けている上司が現れる。
「ああ、平山じゃないか。お前、昨日も言ってたことやってないじゃ……」
平山は渾身の力で上司の顔を殴りつける。その上司は鼻血を噴出しながら空を飛ぶ。手足をバタつかせて、先ほど平山が作り出したゴミ箱へと落ちた。
「飲み込みが早いなあ。しかもほぼ完璧な再現じゃないか」
島津が手を叩く。
そんな島津を無視しながら、平山はゴミ箱へ入り込んだ上司の胸倉を掴み立ち上がらせた。
「すまん、すまん平山。許してくれ」
平山は泣いて詫びる上司の顔に、無数の拳を繰り出していた。上司の顔は歪み、最後には萎んだ風船のように縮んでしまった。
「アハハハハ。これでいつでもそいつを痛めつけることができるね。アハハハ」
島津の乾いた笑い声が、美しい公園に響いていた。