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  作者: 堀 雄之介
13/50

第13話 深夜の電話

 程よく酔っていた平山は、アパートへ帰るとネクタイを解いただけで布団へと転がり眠り込んだ。


 酔った日には体外離脱は出来難い。今晩はもう諦めていた。いや、諦めようという意識すらなく入眠していた。


 真っ暗な世界で、平山は眠り続けた。




 音が聞こえる。うるさかった。平山は無視する。


 また音が聞こえる。


 平山はなんとか目を開けた。


 床に転がっている彼の携帯電話が鳴っていた。


 唸りながら、平山は電話に出た。


「おお平山か。真夜中に悪いな」


 電話は先ほど別れた御木からだった。


「なんすか?」


 擦れた声で平山は応答する。デジタル時計を見ると、AM03:16の表示が光っている。


「いやさ、できたんだよ体外離脱。さっき俺できたんだって。すげえなこりゃ」


 電話の向こうで、御木は興奮していた。


「普通に寝てたらさ、金縛りにあったんだよ。そんでお前に言われたとおり転がったらさ、体から抜け出ちまったんだよ。向こう行ってたのは短い時間だったけどさ、ホントリアルだったわ」


「そうすか。良かったすね」


「すまんな。嬉しくてさ、真っ先にお前に知らせたくて。おもろいこと教えてくれてサンキューな」


 電話は一方的に切れた。


 意識を完全に覚醒させる前に、平山は再び布団に寝転がる。


 二度寝も離脱のチャンスだった。薄れ行く意識のなかで、平山は僅かに期待していた。


 やがて、体が震えはじめる。振動は次第に大きなものになってきた。金縛りの前兆だ。


 平山は意識の中で転がった。


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