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  作者: 堀 雄之介
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第1話 小さな男

自身のブログで連載していた作品です。http://ameblo.jp/h-yunosuke/

 平山健太郎は小さな男だ。


 身長は180cmを超え、体重も80kg以上ある偉丈夫であるが、心が誰よりも小さかった。




 目覚まし時計が鳴ったら、腹を立てる。


 雨が降っていたら、腹を立てる。


 勤め先のオフィスまで地下鉄で僅か二駅という距離であるが、座れないと腹を立てる。


 対面から歩いてきた歩行者が道を譲らなかったら、腹を立てる。


 エレベーターが下りてくるのが遅れたら、腹を立てる。


 別の人が違う階で降りるために、自分と違うフロアのボタンを押したら、腹を立てる。


 後輩の挨拶がなかったら、腹を立てる。


 パソコンがなかなか機動しなくても、腹を立てる。




 こうして平山健太郎は、常に腹を立てながら今日も仕事をはじめることとなる。


「おい平山、昨日言ってておいた報告書、まだあがんねえのか」


 上司に声をかけられても、平山は二回までは無視を決め込む。


「お前だよオマエ。聞こえてんだろコラ」


 ようやく平山は重い腰をあげ、上司の前に立った。


「まだできてません。今日中には仕上げます」


 気だるそうな声で平山は伝える。その際、平山の視線は上司の頭の上を通り越え、背後にある窓からの景色を眺めていた。


「今日中じゃ遅いんだよ。昨日のうちに仕上げとけって言っただろ。言ったよなあ俺?」


「そうですね」


「そうですねじゃねえだろ。午前中までに絶対しあげろよ。次の仕事もつまってんだからな」


 まともな返事もせず、わざとゆっくりした動作で平山は自分のデスクに戻った。


 なにもかもが腹立たしかった。


 平山は、今の勤め先が五度目の転勤先となる。入社後二日で辞めた会社もあった。彼はどのような業種、どのような企業に勤めても、必ずといっていいほど周囲の人間とトラブルを起こしてしまう男だった。先ほどの上司も特別厳しい人物ではない。現に、今はもう他の社員たちと朗らかに談笑している。すべては平山の人間としての器の小ささが起こすトラブルだった。


 そんな問題児である平山と親しくしようなどという社員もなく、彼にはプライベートでも友人は殆どいない。もちろん、恋人もいなかった。


 そして、上手くいかない人生の原因を、平山はすべて他人のせいにしていた。




 だが、そんな平山にも楽しみにしていることがあった。その楽しみこそが、現在の彼の全てであり、生きがいとなっている。


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