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Read New World  作者: りのあ
異世界 -Different world-
9/55

八話 「ネイティブ」

 さて皆さん、こんなほのぼのした話にも飽きてきた頃だろう?

 ご安心ください、

 色々と俺たちもヤバいことに巻き込まれたばかりなので…


 ラクスラズルから出発した俺たちは、

 次の町『エリュシオン』へと向かっていた。


「そういえばさ、セトって死んだらどうなるんだ?」

「あぁ~考えたことも無かったなぁ?」

「師匠ってなんかあるんスか?」

「師匠…?」


 いきなりビートに師匠と言われても、

 驚愕以外の何物でもない。


「え?なんで師匠?」

「いや、呼び方決めてなかったんで」

「えぇ…」


 恐らく、

 彼女の中ではそれが呼びやすいのだろう。


「と言われてもなぁ…」

「ってか!リノアちゃん、可愛いッスねぇ!」

「///」

「聞けよ。」


 などど突っ込んでいると、

 ジャンが俺の肩に手を置く。


「なんだ?」

「いや、女の子の戯れる姿はいいのぉ~」

「失せろ」


 って、コイツにかまっている場合じゃない、

 早く町に向かわなくては…


『ドケドケーーーー!!』

「は?」


 振り返ると、

 後ろから勢いよくフォンに乗って荷物を運ぶ集団が、

 こちらに向かってきているではないか。


「うわっとと!あぶねぇじゃねぇか!」


 突き飛ばされそうになり、

 ギリギリでかわせたから良かったものの。

 

「我らは『シュベルク』様の使い、道を開けるのが決まりだろう!」

「ハァ?いやいや、冒険者でもない"NPC"が何を言っているのやら…」


 一人の騎士が馬から降りて告げた、

 どうやら『シュベルク』とかいうやつの手下のようだが…


 『NPC』

 ノンプレイヤーキャラクターの略であり、

 プレイヤーが操作しないキャラクターのことを指す。


「いや、セト。あれはNPCじゃないぞ」

「そうっス、よく見るっス」

「ん?あ本当だ。キャラネームちゃんとあったか」


 いや、でも不可解だ、

 騎士全員のキャラネームが似通っている。


「ナイト1」「ナイト2」「ナイト3」…

 どうもおかしい、

 なぜこんなに同じような名前が…


「ちょっと、行ってみる必要がありそうだな…」


 そのまま追跡することにした、

 しかし、街に入った後はなるべく距離をとる。


「さてと、無駄に広い町だが…」


 町の形は城下町に近く、

 中心部には"城"ではなく"聖堂"が建てられている。


「あれは…?」


 リノアが聖堂を指さす。

「あぁそうか、リノアは知らないんだったな」

「あれは『シュライト聖堂』ッス」


 恐らく、あの聖堂にさっきの奴らは居るんだろうが、

 さすがにいきなり乗り込むわけにはいかない…か。


「おっと!私もせっかくこんなに大きな町に来たんスから、矢の補給をしてくるッス。誰かさんのせいで減ったッスからね」

「いや…あれは違うだろ…」


 セトの話をスルーし、

 ビートはそのまま走って行ってしまった。


「さてと、俺たちはどうする?」

「とりあえず宿屋にでも泊まるか」

「うん」


 こうして宿屋に泊まることになったのだが…


「ハァ!?一泊「1000G」!?いくらなんでも高すぎるだろ!」

「と言われましてもねぇ、お客さん。私らも「税・税・税」で大変なんだよ」

「ん?昔のこの町はこんなじゃなかっただろう?」


『ネイティブさ』


「え?」


 するとカウンターの近くのテーブルに座っていた男が立ち上がる、

 そしてこちらに歩いて話す。


「お前も"ネイティブ"だな」

「俺?」

「そっちのお嬢さんも。」


 男はセトとリノアを指さして言った。


「…ネイティブってなんだ?」

「俺やお前さんのようなプレイヤーのことだよ」

「お前は一体…」


 男は「ハァ」とため息をつきながら、

 椅子から立ち上がり言った。


「まぁ、言うならば…」



 『seto(セト)』だな。



 …またかよ、

 やはりおかしいんだ。


 このゲームで同じキャラネームが使用・登録できない、

 故に、setoが複数人いるというのはおかしいのだ。


「さてと、んじゃ俺はこれで…な」

「お、おい!ちょっとまて…」


 男は出ていってしまった


「ネイティブ…」

「あぁ、恐らく俺たちのようなゲーム内に閉じ込められたプレイヤーのことだろう。」

「ま、とりあえずあとで考えようぜ」

「あとでかよ…」


 俺はベッドに飛び込んだ、

 そして仰向けになると思いだす。


『ネイティブ』…


 俺はともかく、

 リノアはどうなのだろうか。

 記憶を失っているようだし…


「なぁ、セト。せとよぉ、今考えたって仕方ねぇじゃねぇか」

「あぁ、まぁな」


 そして俺はビートに言う。


「頼みがある」

「頼み…?」



―――それから1時間後


「あれ、セトとジャンさん…」

「あぁ、今ちょっと出てるよ」

「…?」


 聖堂前にて、

 二人の男が立っていた。


「さてと」

「行きますか!」


 

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