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Read New World  作者: りのあ
過去の産物 -Past of product-
15/55

十三話 「壊世・解放」

 シュライト聖堂から宿屋への帰り道をジャン達は歩いていた、

 夜中ではあったがシュベルクがこの町から消えたのが早くも広がり、町はお祭り騒ぎだった。


「ほー、一度賑わってみれば。結構、根は明るい街だったのな」

「そうッスねー、夜店まで出してるッスよ~」


 ジャン達は周りを見回して、

 改めてこの町の賑やかさを実感する。


「どうだリノア、まわってみるか?」


 しかしリノアは首を横に振ってうつむく。


「まぁ…確かにセトは消えたがよぉ、本当に死んじゃあいないと俺は思うぜ?」

「…」


 ジャンのフォローも虚しく、

 リノアにはどんな言葉も届かない。


 ただ、

 リノアは宿屋につくまでsetoのコートを離さなかった。




 ◆ ―世界樹― ◆


「そういえばsetoの奴、リノアを怖がらせてねぇかな?」

『見てみますか?』

「みれるのか!?なら見るぜ!」


 そこにはセトとリンクが会話をしていた、

 セトの身体には特にキズなどもなく普通であった。


「まさか消えないで済むとはなぁ~」

『えぇ。わたくしも驚きました、まさか精神は一体化しても実体は残るとは…』

「リンクにわからないんだから、俺たちにわかるわけがないよな」


 そう少し茶化すと、

 セトはそのままリンクの出した"現世界を見られる水晶"を覗き込む。


「setoは気づいてるんだろうか…」

『もう一人のあなたに…ですか?』

「あぁ…」




 ◆ ―ルーラー・岬― ◆


 暗く、

 濁ったような空しかない岬。

 そこには二人の男が武器を持って睨みあっていた、

 片方はラルゴ、もう片方は…


「貴様…ほかの奴の目はごまかせても俺の目はごまかせんぞ…!」

「ハハッ!流石、今まで一緒に居ただけあるねぇ!」

「前にルーラーで話した時、貴様は「ちゃんと進んでるみたいだね」と言った。そこの時点で俺は気づいたんだ!だから今、貴様をこうして追ってきた!」

「へぇ…」


 なるほど…といった顔でラルゴの正面に立つ少年は笑う、

 しかしその瞳はやはりラルゴを見てはいない。


「貴様…どこをみているッ!」

「君に言っても…わからない場所だよ!」


 ラルゴの突進を素早くかわし、

 ナイトメアソードを懐へと突き刺す。


「やっぱりいいよねぇ…"フラッシュスタンス"…!」


 剣をそのまま抜くと、

 ラルゴの腹部からは血が出る。


「ぐっうっ!不覚…」


 そのままナイトメアソードでとどめを刺そうとしたとき、

 ラルゴの背後から声が聞こえる。


「コピー技で満足か?」

「…ッ!?」


 声に過剰反応を示すように、

 勢いよく後ろへと飛び間合いを取る。


「ラルゴ、ご苦労だった。だが無理はするな」

「す、すまないな…」


 そこにはsetoがいた。


「へ、へぇ…生きてたんだ?」

「お前と過去に戦ったほうは死んだがな」


 そう、

 setoはとっくに気づいていた。

 自分の姿・スキル、

 このすべてをコピーしたキャラがいることを。


「ジャンの奴には「仲間に言われたから」と言ってごまかしたが、ずいぶんと面倒なことをしてくれたな」

「フフフ、まぁそう怒るなよ。僕は聞きたいこともあるんだから…さ」

「ほう…なんだ?言ってみろ」


 setoと同じ姿をしたソレに、

 setoは微笑を浮かべながら問う。


「"世界樹"ってどこかなぁ?」


 その答えを聞いた瞬間、

 setoは剣を引き抜く。


「やっぱりな、テメェが…」



『デリトかッ!!』


 そう叫びながら地面を蹴るように走り出す!


「ピンポンピンポーンッ!!大正解だよ~!!やっぱり賢いねぇ~」


 デリトはsetoの振り下ろしたナイトメアソードを

 同じく持っていたナイトメアソードで綺麗に受け止める。


「そろそろ…本当の姿を見せたらどうなんだ?」

「それもそうだね、同じパワーとかじゃあ埒があかないし」


 そう言うとみるみる姿が変わっていく、

 髪の毛は深い青に変色し、身体も女体へと変わる。


「女だったのか」

「あたりまえだろう?言ってしまえばリンクとは姉妹だからな…」

「プログラム上での話か?」

「このゲームにプログラムは……無いッ!」


 デリトが切り込む、

 下からsetoが切り払う。


「そうこなくてはな、"フラッシュスタンス"!!」

「フラッシュスタンス!!」


 デリトが光速化するとともに、

 setoも発動する。


「さて、どうする?私は実の身体に戻って、パワーアップしてる。同じ武器で戦っても無意味だぞ?」

「チートみたいなBossだな」

「"みたい"じゃなくてその通りだ、だって世界の創造者なのだからな」

「破壊者じゃなくてか?」


 戦いは更に激しくなる、

 周りの土は風圧だけで削り飛ばされ、岩は一瞬にして豆腐のように切り裂かれる。


「どうした?HPがドンドン減ってるぞ?」

「フ…、おめでたいな。」

「!?」


 同時に後ろへ飛び、

 距離をとる。


「勝算はあるって、言ったんだ」

「へぇ…?見せてもらおうか!」


 するとsetoは何かの選択ボタンを表示させる、

 その内容はこうだ



 カイホウシマスカ?[50.0%]  YES/NO



 「解放…開始ッ!」


 するとデリトの目の前からsetoが消える


「強制的に、フラッシュスタンスが解かれた!?」


 そして数秒と経たないうちにその姿をもう一度目の当たりにする、

 ただし黒い光をまとった姿を。


「解放…完了ッ!」

「そ、それは…ッ!!」


 setoの手には、

 先ほどの西洋染みた"剣"とは違い、"刀"が握られていた。




「『神刀 ―壊世―』…!!」

「り、理解した…その壊世の解放には50秒かかる、だから私のフラッシュスタンスを強制的に解いて光速化させたんだな?」

「ご名答。あんたのフラッシュスタンスは『スキルクラッシュ』で簡単に解けたぜ?」


 デリトの口が勢いよく月のようにゆがむ、

 満面の笑みである!


「その刀…ソイツゥッ!!壊す…壊すッ!!ヒヒヒッ!!」

「やってみろよ…ただし、そう簡単には壊させないけどなぁぁあああ!!」


 デリトのナイトメアソードとsetoの壊世がぶつかり合う!

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