暴走の果てに②
公爵の屋敷の近くまで来た。
……煙は出ているけど火は見えない、セーフかな?
屋敷の周りには人だかりが出来ている。
その人達の話しに耳を傾けるとどうやら爆発音がしたらしい。
私はサスケさんを見た。
するとサスケさんは私から視線をそらして
「あー、双子に、敵の注意を、引きつけろって。だから、持ってた、火薬玉、投下。」
ここに爆発音の犯人がいま〜〜す。
「でも、すぐに、消火。問題ない。」
…………あるわ!
こんなに目立っちゃって、どうすんのこの野次馬。
この中をかき分けて屋敷に乗り込まなきゃいけないなんて。
どっかに隠し通路ないかな?
サスケさんはどうやって戻って来たんだろう。
「サスケさん、どうやって屋敷から出て来たんですか?正面ではないですよね?」
私の質問にサスケさんが屋敷の方を指差した。
「あの、2階、窓から、コッチに、飛び降りた。」
なるほど、シノビらしいね。
でも、侵入には不向きだ。
一応私スカートだしね。
こんなに人がいなければ木を登って行っても良いんだけど、さすがに恥ずかしい。
諦めて正面から行くか。
私は野次馬をかき分けて正面の入り口を目指した。
後ろからサスケさんもスッとついて来ている。
どうやら門は開け放たれているようだ。
さすがに野次馬も公爵家の敷地内には入り込んでいない。
私とサスケさんは門から公爵家に入り込もうとした。
すると近くにいたおじさんが話しかけてきた。
「お嬢さん、悪いことは言わない。中には入らん方がいいよ。さっきは爆発音がしたがその後は叫び声も聞こえるんだよ。何人かがすごい勢いで出て行ったのも目撃されている。この中は危険過ぎる。警備隊がコッチに向かっているようだからここで待っていた方が安全だよ。」
おじさんは私のことを心配してくれて話しかけてきたようだ。
だけど警備隊はまずい。
正当防衛が認められる範囲の暴走ではないような気がする。
出来れば警備隊が来る前にサナと双子を回収したい。
「ご親切にありがとうございます。でも、この中に私の友人達がいるんです。迎えに行かないと帰って来れないと思うので、ちょっと回収……いえ、迎えに行って来ます。」
おじさんに心配をかけてしまったがしょうがない。
ここで待ってても帰って来ないと思うから。
私とサスケさんは野次馬の視線をビシバシ受けながら公爵家へと入って行った。
どうやら開け放たれていたのは門だけではないようだ。
屋敷の扉も開けっぱなしになっている。
…………中はどうなっているんだろう?
恐る恐る入ってみる。
お邪魔しま〜す、と中に入った途端うめき声が聞こえた。
こわっ!
声のする方を見るとズタボロ雑巾のようにやられている男達が5人転がっている。
死んではいない。
私はとりあえず見なかったことにして捜索活動を開始した。
結構広そうだけどどこにいるのかな?
「サスケさん、みんながどこにいるか知っていますか?」
「それぞれ、好き勝手、暴走。行方不明。」
好き勝手、暴走って。
ああ、わかったよ片っ端から探せばいいんでしょ!
どこから探そうか考えていたら何か音が聞こえた。
耳を澄ませると………
ビシッ、バシッ!
『ギャーーーー!!』
ドタッドタッ!
えーっと、誰かな?サナさんかしら?
うん、迎えに行くか……。
私はサスケさんと一緒に音が聞こえた方へと屋敷内を進んでいった。
だんだん音が大きくなってくる。
何やら声も聞こえてきた。
『そんな腕で私達に挑んで来るなんて大馬鹿なのかしら?根性鍛え直してあげるわ!さあ、逃げれるものならお逃げなさい!そのかわり死ぬほど後悔させてあげる。』
あ〜〜、サナさん鞭効果の女王様モードですか……。
こうなるとなかなか戻らないんだよね。
たぶんこの目の前の扉の中にいるんだと思う。
サナの声の他に野太い声の悲鳴も聞こえるから。
いつまでもここにいるわけにもいかないから恐る恐る扉を開けてみた。
ビシンッ!!
今まさに鞭が振り落とされていた。
いい年の男性が5人涙目になりながら、それでも剣を構えている。
すごいなぁ〜、まだあのサナに立ち向かえるなんて。
でも……サナの鞭が振り落とされるうちに1人ずつ倒れていく。
ついに最後の1人もバタンと倒れた。
よーし、今がチャンス!
「サナ!」
「リリーナ様?」
サナは鞭を構えながらこちらを振り向いた。
「サナ、迎えに来たわ。さあ帰りましょう。」
サナは私の姿を見ると鞭をしまった。
良かったすぐに落ち着いてくれて。
「リリーナ様ご無事で何よりです。ここの家の者がリリーナ様にも危害を加えるつもりのようなことを言っていたので。」
「そうだったのね……ところでアンジュさんとアレンを知らない?」
「あのお2人でしたら大暴れしていましたよ。特にリリーナ様にも危害をのあたりで切れてしまって、2人ともこの屋敷を壊すぐらいの勢いで走り回っていましたが……まあ、元気だと思いますよ?」
うう〜、サナが面倒見てくれていると思っていた双子が野放しとは……。
あと2人の回収頑張りますか。