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問題児登場③

私の怒りの鉄拳によりテーブルは木っ端微塵。

お祖父様とお祖母様は良くやったとばかりに笑顔を見せてくれた。


しばらくボーッとしていたナターシャさんとその父親はようやく現実に戻って来たようだ。

私とテーブルを何度も見ている。

少々顔を引きつらせながらも、もう一度喧嘩を売ってくるのはさすがとでも言えばいいのかな。



「こ、こんな乱暴者を王族に近づかせるなんて正気の沙汰じゃない!さ、さあ、早くこの者たちを捕らえよ!何をしている、ほらそこの兵士どもボーッと突っ立っているんじゃない!隣国の辺境伯ごときに大きな顔をさせておいて良いのか?この国の公爵である私が言っているんだ、早くしろ!」


公爵は必死に兵士の皆さんに訴えているが誰1人動こうとしない。

むしろお祖父様達から距離を置こうとしている。

うん、それは正しいね。

だって、お祖父様からはヤバい雰囲気がにじみ出ている。

ある程度鍛えている人なら分かるぐらいに出ている。



「何故誰も動かんのだ!クリストファー王子!こんな暴力的な女を何故放って置くのですか?」


誰も動かないとわかると今度はクリス様に訴えることにしたらしい。

そんな公爵をクリス様はとーっても冷たい目で見ている。

さて、そろそろ私の大切な友人達もイロイロし始めてその効果が出ている頃かな?

ちょっと聞いてみようかな。



「興奮中に申し訳ありませんが……私、とっても心配なんです。私の大切な友人達のことが。どうやらナターシャさんが居場所を知っているようなんですが教えていただけませんか?」


私の言葉に公爵は大きい声で反論してきた。


「なんで私の娘がお前の友人の居場所を知っているんだ!いい加減なことを言うな!」


まあ、認めないか。

それがますます自分の首を絞めることになるんだけどね。


「そうですか……では知らないのですね。……ふう、今頃きっと捕らえられていた場所は破壊されているでしょうね。もしどこかのお屋敷に捕らえられていたとしたら……家の中は滅茶苦茶になっていることでしょう。もしかしたら何故自分達が捕まったのか調べる為に家の中でいろいろしているかもしれませんね。」


私の言葉にお祖父様とお祖母様が笑っている。

クリス様も『うんうん』と大きく頷いていた。

そんな中、公爵はまた大きな声を出してきた。



「な、たった5人で何が出来る!」


「あら、人数を知っているなんてとてもお詳しいのですね?」


「私のところにはいろいろな情報が集まってくるのだ。聞いたところによると対した抵抗も見せていなかったようではないか?そんな連中に何が出来る!」


「抵抗しなかったのは……おそらく暇つぶしですわ。先程私のことを乱暴者とおっしゃられましたが、私の友人達もとても私に似ているのですよ。私の本来の得意な武器は剣なんですが、そんな私でもテーブルぐらいならこんな感じですわ。私の友人の中には私の何倍も素手での戦いが得意な者がおります。女性も2人おりましたが……そうですね〜、彼女達も魔物を1人で狩れますよ。」


私はとびっきりの笑顔でそう言ってやった。


「ふ、ふん!そんな見え透いた嘘に引っかかるものか!我が国より国力が劣る国のいち辺境伯の知り合いがそんなに強いわけないだろう!暴力に加えて嘘まで重ねるとはどれだけ私達を馬鹿にすればいいのだ!」


……もう、本当にどうしようもない人だね。

いいよ、じゃあたっぷり後悔してちょうだい。

ちょうどさっきからちらちらと私の視界に入る人がいることだし。


「では、本人に登場してもらいましょうか?ちょうど1人はこちらに来たようなので。」


「そんな大ボラを吹きおって。ふん!どこにいるというのだ。」


「…………サスケさん、出てきて良いですよ。」



私の言葉と同時に目の前にサスケさんが現れた。

突然現れたサスケさんに公爵はかなりびっくりしたようで腰を抜かしている。

私とお祖父様、お祖母様以外もみんな驚いている。



「サスケさんお帰りなさい。お怪我はありませんか?」


「ああ、ただいま。もちろん、みんな、無事だ。土産、あるぞ。」


そう言うとサスケさんは私に何か分厚い書類を渡してきた。

結構重い。


「えーっと、これは何かしら?」


「だから、土産。じーさん、見れば、わかる、はず。」


ふーん、お祖父様に見せれば良いのね。

私はやたら重い書類の束をお祖父様に手渡そうとした。

しかし、サスケさんショックから多少回復した公爵がその土産を見て顔色を変えた。

そしてそれを私から無理矢理奪い取ろうとしてきたのだ。


「っく、それを寄こせ!」


あらあらこのお土産とても効果的みたいね。

今まではそこまで追い詰められている感はなかった公爵が面白いぐらい慌てている。

でも〜、それならなおのことこれは渡せないな〜〜。

私は本人的には力一杯引っ張っている公爵を無視して、公爵ごと引きずってお祖父様にお土産を渡した。

もちろん公爵もついている。


お祖父様は面倒くさそうに公爵の襟首を掴むとポイッと軽く投げ飛ばした。


ダーーン!!


うん、軽くなんだよ。

……だけど公爵は気持ちよく壁まで吹き飛んでいった。

あ〜〜あ、やっちゃった。




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