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勢揃い②

えーっと、何て答えるのが正解なの?

私が無理矢理作った笑顔がヒクヒクしてきた頃、助けが入った。


「みんな、リリーナをいじめるのはそれくらいしてくれないか?」


おお〜〜クリスさま〜〜、助けて下さい〜〜。

正解がわからないんですよ〜。

しかしクリス様の言葉に皆様反論をし始めた。


「クリスお兄様〜〜僕リリーナ様のこといじめてないよ!」


「クリスったらリリーナさんの前だからって良いカッコしようとしているのね。」


「あのクリスのお気に入りか〜〜、よし私のことはお兄様と呼びなさい。」


上から先ほど爆弾を投下してくれた年下王子、私よりもちょっと年上の姫、クリス様に似た年上の王子。

その他にも兄妹がいる全部で8人。

子沢山だね!

確か側室はいなかったはずだから全員が王様と王妃様の実子だ。

1人くらいうちの国に来ていただけたら良いのに……。



しかしこのやり取りに入り込むのは危険だ。

不用意な一言が取り返しがつかないことになりそうだし……。

どうやってこの場を切り抜けるか。


未だクリス様とその兄妹はじゃれあっている。

あんなクリス様見たことがないから新鮮だ。

なんか楽しそうだから私がいなくなっても気づかれないんじゃ……。

私は気配を消しながらお祖父様とお祖母様のところへそろそろと移動してみた。



ギュッ!

うん、そうは上手くいかないね。

私の腰あたりに何かが張り付いている。

見れば年下爆弾王子と同じくらいの姫様が抱きついている。


「リリーナお姉様〜、どこに行くの?一緒にお菓子食べませんか?」


上目遣いで見上げてくるその目はやっぱりクリス様にどことなく似ている。

それにしても……カワイイなぁ〜〜。

思わずニンマリしてしまった。


それにしても……この状態から抜け出すのは不可能なんだろうか?

こんなカワイイ姫様から誘われたら断れないではないか。

基本カワイイ物が好きな私にこの手は振り解けない……。



クリス様達は何やら揉めて、私は私でどうやって逃げようかと考えている時、部屋の中に誰かが入って来たようだ。

見るとソールさんとライアンさんだった。

確か2人は最初に扉を開けてくれた後は中には入らず扉の前に待機していたはず……。


2人はクリス様のところではなく、王様のところへと足早に近づいていった。

そこにはお祖父様とお祖母様もいる。


2人が王様に何かを伝えている。

それを聞いた王様の顔色が変わった。

非常に顔色が悪い。

そしてお祖父様の方をチラッチラッと見ていた。

これは何か問題が起きたなとすぐにわかる。


王様は意を決してお祖父様に何事か伝えたようだ。

それを聞いたお祖父様といえば……うん?あまり変わらない?

でもちょっとため息をついたあと私の方を向きこう言った。



「リリーナ。ちょっとこっちに来なさい。」


あれ?私に関係あることなの?

私は腰に張り付いている姫様に優しく笑顔で「申し訳ございません。少し祖父のところへ行きますので離していただけますか?」と話しかけた。

姫様はちょっと残念そうな顔はされたが素直に離してくれた。


そして私は姫様が離れたのを確認してからお祖父様達の方へ向かった。



「お祖父様……何か起きたんですか?」


私の言葉にお祖父様は「ああ……」と短く答え王様を見た。

どうやら王様から話させるらしい。

視線を受けた王様はいきなり謝罪から入った。



「リリーナ嬢すまん!」


「え?あ、あの一体どうされたんですか?」


謝られても何に対してなのかわからないよ。


「それが……今、剣神殿にも伝えたのだが、リリーナ嬢の友人達がどうやら行方不明になっているようなのだ。もちろん今探してはいる。」


「行方不明……ですか?何故そのようなことになっているのでしょう?」


その質問にライアンさんが答えてくれた。


「今、リリーナ様の友人達がいらっしゃった部屋の担当の侍女から連絡が入ったんです。なんでも、友人達を連れ出した者がいたらしく、今捜索中です。侍女には自分は王子から頼まれてリリーナ様の友人達をお連れすると話したそうです。その使いの者は侍女も見たことのある者だったようで通したようなんですが、何かおかしいと思った侍女が私達のところに来て判明しました。恐らく目的は旅の途中で助けたユーリ嬢かと。」


やっぱり諦めなかったか……。

まさか城の中まで来るとは、敵さんも切羽詰まっているんだね。

ただ問題は、ユーリさんだけを狙えば少しながら成功確率が上がったかもしれないのに、よりにもよってあの4人も連れ出しちゃったところだよ。


私が話しを聞いても冷静だったせいか王様が不思議そうに問いかけてきた。



「リリーナ嬢、そなたの友人達が行方不明なんだが、その……心配ではないのか?」


「心配…………そうですね、心配はしていますよ。」


「おお、そうだろうな。本当に申し訳ないがもう少し待っていてくれ。すぐに探し出すから。」


うん ?

あ、そうか王様は友人達を心配していると思っているのか。

まあ、普通はそうだよね〜。

でも私が心配しているのは……


「はい、とても心配です。いつもなら私が止めますが、今回はみんな止まらない可能性がありますから。正当防衛って認められますよね。」


私の言葉に王様はポカーンとしている。

はあ〜〜、みんな大丈夫かな?

今までの道中でストレスがたまっていたはずだから心配だ。


どうか連れ出した人、無事でいて下さいね?

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