勢揃い
扉が開きまず目に飛び込んできたのは、真ん前にいる玉座に座る王様と王妃様だった。
そしてその両脇にはキラキラした人達が並んでいる。
問題はその後だ。
…………何で土下座の人達がいるの?
っていうか土下座って流行っているの?
目の前の光景に固まってしまった私をよそにお祖父様とお祖母様はずんずん進んでいく。
私も慌ててその後に続いた。
土下座の人達を無視してお祖父様は王様の前に出た。
「剣神殿良く来てくれた。今日は剣神殿の秘蔵っ子も来るということで楽しみにしていたぞ。」
王様はそうお祖父様に話しかけた。
対するお祖父様はそっけなくこう言った。
「土下座の出迎えなんて望んでないぞ。」
すると王様は焦ったように、
「いや、わしだって土下座はやり過ぎだって言ったんだぞ。だが彼らの気持ちは治らないそうだ。どうしても土下座で出迎えたいと言って聞かなかったんだ。」
それを聞くとお祖父様は「はぁ〜〜」っと大きくため息をついて土下座をしている人達の方に向かった。
「一国の主とそれを支える者たちがこんな一前辺境伯に土下座などするもんではないですぞ。」
え?
一国の主?
たぶん私だけがこの土下座の人達のことをわかっていない中で話しが進んでいく。
「いえ、私達の国がしたことは許されることではありません。剣神様が御忠告をされていたのに結局このような事態を招いてしまいました。クリストファー様が動いて下さらなければ今も混乱を極め、剣神様の領地には溢れる程の魔物が現れていたことでしょう。本当に申し訳ございませんでした。」
話している間もずっと土下座をしている。
でも今の話しでこの人達が誰だかわかったかも。
南の国の新しい王様とその側近の人達か……。
「ふう〜〜、謝罪は受け入れます。だから土下座をやめていただけますかな?今日はうちの孫娘も来ています。そのような姿を見せたくないのですよ。」
あ、ちょっとお祖父様がイラッときている。
おーい、南の国の人達〜〜、もう立ち上がろう!
お祖父様しつこいのは嫌いだよ。
お祖父様の不機嫌な感じがやっと伝わったのかずっと下を向いていた南の国の人達がちらっとお祖父様を確認した。
すると一瞬でお祖父様の表情を読み取ったのか、すぐに立ち上がろうとしたのだが…………
うん、足が痺れちゃったんだね。
本当ならピッとカッコよく立ち上がりたかっただろうに。
現実は王様始め側近の皆さん5人がプルプルしている。
何だろう……笑っちゃいけないんだけど、ぷぷ。
見てたら笑うと思い視線を西の国の人達に移した。
だけどみんな同じなんだね。
西の国の王族の方々も真面目な顔をしているけど、なんか顔がヒクヒクしている。
私よりも年下に見える方達は完全に笑っているでしょ。
声は出してないけど顔はもうアウトだ。
「剣神殿、いろいろ許してやってくれんか?」
たまらず西の国の王様が助け船を出したようだ。
「私は最初から謝罪は求めておりませんよ。今日はただうちの孫娘を見せに来ただけですからな。」
お祖父様の言葉にみんなホッとしている。
「ああ、そうだな。すまなかったな剣神殿の秘蔵っ子よ。いや、確かリリーナ嬢だったな。改めて挨拶させてもらおう。私がこの国の王でリリーナ嬢には馴染みのクリストファーの父だ。そして隣にいるのが妃であるクレアだ。」
「初めまして、リリーナさん。姉や甥がいろいろ迷惑をかけているようでごめんなさいね。それにクリスもかしらね?会えてとても嬉しいわ。」
王様も王妃様も笑顔で挨拶してくれた。
でも姉や甥って……あ、そっか、王妃様はレイチェル様と姉妹だったんだもんね。
甥はもちろんレオン様のことか。
「初めまして、リリーナと申します。クリス様にはいつも助けていただいています。」
私の言葉に王様も王妃様も笑顔を返してくれた。
「さて、リリーナの挨拶も終わったし帰るか。」
お、お祖父様?
そんな感じでイイの?ダメだよね。
案の定王様が慌ててお祖父様を呼び止めた。
「け、剣神殿!待ってくれ!いくら何でも早すぎるだろう?それにまだ南の国の王達も復活しておらんではないか。それに王子や姫がリリーナ嬢と話してみたいと訴えかけてきておる。もう少しだけいてくれ。」
王様が必死の訴えをしてきている。
「……しょうがない。少しだけだからな。」
お祖父様のその言葉を合図に今まで王様と王妃様の横に静かに並んでいた方々が、何故か私のところに殺到した。
な、何で?
まず話しかけてきたのは見た感じ1番年下の王子様だ。
「初めましてリリーナ様。僕はクリフって言います。あの…………クリスお兄様のお嫁さんになってくれるんですか?」
いきなり凄い質問きたーーーー!
な、何でそんな話しになっているんですか?
しかも他の方々も興味津々に答えを待っている。
え?え?私は一体なんて答えればイイんですか?




