誘拐③
宿屋でお祖父様達を待っている間に少しだけユーリさんから話しを聞くことができた。
「私のお仕えしているお嬢様はとても正義感の強い方なんです。ただ、今回は相手が悪過ぎました。お嬢様のお友達が窮地に立たされた為、お嬢様はその方を救うのに証拠を集めていらっしゃいました。でも、その証拠を提出する前にお嬢様が…………。」
ということは急いで王都を目指さないといけないんだね。
ユーリさんが持っている紙が必要なんだ。
でも……ユーリさん1人にアレだけ人を割くということはまた襲って来そうだよ。
まあ、でも、普通に考えてこのメンバーで負けるところは想像出来ないけどね。
ユーリさんから話しを聞いている間にお祖父様達が戻って来た。
「ユーリさん、安心しなさい。あの覆面達はもうユーリさんの前に現れることはない。そして王都までは私達が責任を持って送ろう。」
「あ、ありがとうございます!皆さんに助けていただけて本当に私は運が良いです。」
ユーリさんがやっと笑顔を見せてくれた。
さて、じゃあ王都まで無事ユーリさんをお連れしますか。
私達は王都を目指して村を出発した。
…………結果から言うと、その後襲撃はあった。
しかも15回も。
ちょっと多過ぎやしないかい?
もちろんそのどれも全部叩き潰している。
正直学習した方が良いと思うのだが。
私とサナ、アンジュさんにアレン君だけならもしかしたら話しは違っていたかもしれない。
私達は戦うのは得意だけど偵察というか諜報部隊を見つけるのはプロではないのだ。
でも今回は違う。
お祖父様とシノビのサスケさんがいるんだもん。
毎回ことごとく隠れている監視係を見つけ出してはグルグルに仕上げている。
はっきり言って倒すよりもその後の処理の方が面倒くさかった。
いちいち信頼できるところに預けなきゃいけないんだもん。
アレン君やアンジュさんは5回目あたりから「ここで亡き者にした方が……」なんて言ってたけど、とりあえず聞かなかったことにしておいた。
……でも、ついに王都へと着いたのだ!
私達はお祖父様について王城へと向かった。
そういえばユーリさんが大事な証拠を渡したい王子って誰なんだろう?
確かクリス様の上にお2人お兄様と、下にも弟様がいたはず。
「ところでユーリさん、紙を渡したい王子様ってどなたなのかしら?」
「はい、お嬢様からは第3王子のクリストファー様にと託されました。」
おや、クリス様でしたか。
なら話しは早いはず。
と思っていたんだけど、どうしてこうなっているの?
「さあ、早くその娘をこちらに渡してもらおう!」
王城まであとわずかというところで、変な人達に絡まれた。
ちなみにその娘というのはユーリさんのことらしい。
こんな王城近くでも襲ってくるなんてよっぽど証拠が大事なものなのか、それともただの馬鹿なのか。
「何をしている!早くしないか!もしも逆らうようならお前達も捕らえるぞ!」
今回は覆面じゃない。
なんかわかんないけど警備隊っぽい服装の人達だ。
だけど私達に従う義務などない。
「ふむ、荒っぽいな。何でこの娘さんを捕らえようとするのだ?私達はこの子を王城に連れて行く途中なんだ。正当な理由がなければこのまま先を急がせてもらうぞ。」
「理由なんてお前達に言う必要などない!ええい、面倒だ。この者たちごと捕らえろ!」
そう言うと警備隊らしき格好の人達が私達を取り囲んだ。
こんな街中で何をしてくれるんだか……。
何でこんないろんなのが寄ってくるんだろう?
認めたくはなかったけど私ってば実はトラブル体質なのかしら。
考えている間にも剣を構えた人達が近づいてくる。
王城も間近だったので馬車は宿に預けて徒歩で向かっていたのが災いしたのかな。
ユーリさんを守るように私達は構えた。
住民の皆さんも遠巻きにこちらを見ている。
うんうん、巻き込まれないようにしてね〜。
私達はいつものように向かってくる人達を一撃で気絶させている。
手加減しなきゃいけないから意外と疲れるのだ。
あら方片付けた頃、馬に乗った偉そうな人が現れた。
「おい、お前達何をしておるのだ?」
ヒゲだ。
立派なヒゲだ。
なんかピョーンとなっている。
偉そうに出てきたおじさんは警備隊らしき人の運よく残っていた人に何やら話しかけている。
「話しはわかった。おい、お前達。この国の人間ではないようだが、この国ではこちらの法に従ってもらうぞ。これ以上逆らうのであれば軍が出てくることになるぞ。」
ヒゲがなんか言っている。
正直、さっきからアレン君とアンジュさんが飛び出していこうとしてて気が気じゃない。
まあ、私的にもこのヒゲは気に入らないけど。
そんな時お祖父様がヒゲの前に出た。
ピョッン、ガッ!ッドスン!
…………説明するとお祖父様がピョッンと飛んでヒゲの馬の上に飛び乗り、ガッ!と首根っこをつかまえ、ッドスンと馬から引きずり落とした。
いや〜、やっちゃったね〜。
「な、何をするのだ!私が誰だかわかっているの……か?」
後半勢いが落ちた。
お祖父様の顔を見たら何故か急に動きがおかしくなったのだ。
「誰かわかっているかだと?……ああ、知っているさ。お前も私が誰か気づいたんだろう?」
ヒゲがその場で土下座しだした。
近くにいた警備隊らしき人もビックリしている。
「あ、あ、あ、す、す、すみません!ま、ま、まさかこんなところに剣神様が居られるとは思いませんで。お、お、お許し下さい!」
ヒゲが震えながらお祖父様に許しを乞うている。
お祖父様……一体何をしたのかしら。




