⑧
ちょっと短め。足踏み状態。
はい、家にたどり着きました!
今日はレイチェル様とお話し出来て大満足。
やっぱりレイチェル様は素敵だ。
屋敷に入るとセバスチャンが出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、リリーナ様。」
「ええ、ただいま帰りましたわ。ちょっと疲れたので部屋で少し休みます。食事の時間になったら声をかけるようサナに伝えてちょうだい。」
「かしこまりました。」
私は自室に戻り今日のレイチェル様との会話を思い出していた。
レイチェル様はレオン様が私のことを気に入っていると言っていた。
正直嘘だと思う。
きっとレイチェル様なりの気配りだ。
だって今までのレオン様の行動は好意と取るにはなかなか難しい。
だいたい、今回の婚約破棄だってそうだ。
もし私を気に入っているのであればする必要がない。
それを実際新たな婚約者を引き連れての婚約破棄だ。
もう間違いようがない。
私だってどうせ結婚するなら仲良くしたいから近づこうとしたさ!
レオン様が剣の練習中に怪我をしてしまった場面に出くわした時は、手当てをしようと近づき怪我をした右手を触った途端振り払われた。
そのまま真っ赤な顔をして走り去って行った。
たぶん顔を赤くして怒っていたと思う。
またある時は家の者が持たせてくれた菓子をレオン様にあげたら、食べることもなく部屋に置きっ放しにして傷ませたようだ。
しかも捨てればいいのにいつまでも部屋に置いておくのは如何なものかと。
最初から受け取らなければイイのに。
何だろう思い出せば出すほど気に入られてる感がない。
むしろ婚約破棄が遅かったんじゃ…。
そんなどうでもいいことを考えているうちに部屋をノックする音が聞こえた。
「サナかしら?入っていいわよ。」
「失礼いたします。」
「もうそろそろ食事の時間かしら?お父様は帰っていらっしゃった?」
「はい、旦那様はお帰りになっておりリリーナ様とお食事をしたいとおっしゃっております。」
ふーん、今日も仕事早く切り上げてきたのね。
レイチェル様との話しの内容が気になるのかな?
私は手早く用意をすませ父のいる部屋へ向かった。
「お父様お待たせいたしました。」
「いや、大丈夫だよ。さあ食事にしよう。」
私達は食事をしながら今日の出来事を話した。
「…という訳でレイチェル様からも領地に帰る許可をいただいたので、明日には出発しますね。」
「そうか、レイチェル様が味方になってくれるか。分かった。ところでリリーナ、帰る手段だが…」
「はい!1人で馬に乗って帰りますわ!」
「いや、駄目だろう…。お前は一応か弱き令嬢という立場なんだから」
「あら、お父様私はもう王子のか弱き婚約者ではありませんわ。腕は鈍っていません。正直護衛をともなっての馬車の旅の方が窮屈です。それに申し訳ないですが、護衛につかれる方より私の方が強いですわ。」
「いや、まあ、それはそうなんだが…」
お父様が困った顔をしている。
でも、馬車なんてずっと座って腰もお尻も痛くなる。
しかも遅い。
私は早く帰りたいのだ。
「では、サナも連れて行きます。あの子なら道中何かあっても活躍してくれますわ。」
「はぁ〜、分かったよ。ではサナを連れて行きなさい。まあ正直お前達2人をどうにか出来る奴なんていないと思うからな。」
でっかいため息をつきながら許可をくれた。
よし!
「リリーナ、リーザへの手紙を書くからそれも持っていっておくれ。」
「ええ、お母様への手紙ですね。分かりましたわ。」
食事も終わり自室へと戻る。
部屋でサナにも明日一緒に行くことを伝えた。
「急にで悪いのだけどサナにも一緒について来てもらうことになったから準備しておいてね。」
「いえ、たぶんそうなると思っておりましたので準備は出来ております。」
あら、さすがねサナ。
私のことを分かってる。
そんなコトを考えていたらサナが変なコトを言い出した。
「でも、よく王子はリリーナ様が領地に帰られることを止めませんでしたね。絶対邪魔してくると思っていたのですけど…」
「うん?何故レオン様が邪魔するの?私が領地に帰れば新しい婚約がスムーズに進むじゃない。それにレオン様は私が明日領地に帰ること知らないわよ。」
「え、知らないんですか?」
「ええ、私が知らせないように頼みましたから」
サナがブツブツ言っている。
『無事たどり着けるかなぁ。王子にバレるのも時間の問題かな…』
何やら覚悟を決めた顔をしている。
「リリーナ様!私頑張りますね、無事領地まで行けるように。」
「え、ええ。大丈夫だと思うけど、そんなに危険な道じゃないわよ?」
サナがなんか燃えている。
まあ、いいか。
やる気があることは良いことだね。
さあ、明日に備えて寝よう。