誘拐
次の日、王都へ向かう前にお祖父様が用事があるとかでお祖母様と一緒に出かけて行った。
時間が出来た私達はやることも無いので散歩に出てみたのだが……。
何でこうなるかな?
私達の目の前では堂々と誘拐事件が起きようとしている。
ことの発端は散歩中、ちょっと小道でも通ってみようよという安易な考えだった。
知らない土地でウキウキしてたんだよね〜。
そうしたら、あら不思議。
目の前で怪しい男?達が若い女の子を連れて行こうとしている。
何で怪しい男?かと言うと覆面をしていてわかんないからだ。
どう考えても誘拐だよね〜。
どうやら覆面軍団は私達に気づいていない。
このままだと女の子が連れ去られるのも時間の問題だ。
別に正義の味方を気取るわけではないけれど、このまま見過ごすことは出来ないね。
「あの〜、何をされているんですか?」
単刀直入に質問してみた。
すると覆面軍団は明らかにビクッとなった。
私達に本当に気づいていなかったんだ……。
まあ、確かに気配は消してはいたけどさ。
「…………何処から出てきた?ふんっ、迷子か?しかし運が悪いな。見られたからにはお前達には消えてもらおう。」
あらら、敵認定か。
そりゃこんなところ見られたらそのまま帰すわけにはいかないよね……。
覆面軍団は絶対私達を、迷子の良いとこの嬢ちゃん達としか認識していないんだろうな〜。
まさか全員が魔物を1人で狩れる集団とは思っていないはず。
私はサナ、アレン君、アンジュさんをちらっと見た。
サスケさんは別行動だけど……もしかしたらその辺にいるのかな?
3人は私の視線に小さく頷いてくれた。
じゃあ、軽く運動しますか。
私はためらいなく覆面の前へと歩き出した。
覆面の近くに良いものが落ちていたんだよね〜。
覆面軍団はあまりにも無防備に私が近づくせいか逆に戸惑いを見せている。
あ〜〜あ、せっかくのチャンスだったのにね。
じゃあ、これは取らせてもらうよ。
私は拾った木の棒を構えた。
ちょうど私の剣の長さと同じくらいでバランスが良い。
それを見た覆面軍団が顔は見えないけど、どうやら笑ったようだ。
「おいおい、お嬢さん。そんな木の棒で何をする気だい?そんなんじゃ俺達は倒せないぞ。」
「あら、御心配ありがとうございます。でも……大丈夫ですよ。私、強いですから。」
私の言葉に覆面軍団がまた笑ったようだ。
せっかく強いって自己申告してあげたのに……。
もうそろそろやりますか?
さっきから捕まっている女の子が不安そうにこちらを見ている。
私は安心させるように、その子に向けて笑顔を見せた。
覆面軍団は全部で10人。
女の子1人を捕まえるのにしては大所帯だ。
でも、私達にしてみれば……ねえ?
「じゃあ、やりますね。」
私の言葉を合図に3人が覆面軍団に襲いかかった。
まさか本当に自分達に向かって来るとは思っていなかったであろう覆面軍団は戸惑っている。
その隙に、私はダッシュで捕まっている女の子のところへ向かった。
女の子を捕まえていた覆面はダッシュで近づいた私に剣を向けてきた。
剣を抜いたということはどうなっても良いってことだよね?
私は向かって来る覆面の剣を棒でいなし、隙の出来た背に勢いよく蹴りを入れ、トドメとばかりに木の棒で気絶させた。
女の子を無事救出出来たのでもう大丈夫。
みんなを見てみれば想像通りの光景が広がっていた。
アレン君がその拳で覆面の鳩尾へ重い一撃を放ち、サナがいつもの愛用の鞭(兄のプレゼントでパワーアップ済)で覆面の背に鞭を打ちつけ、アンジュさんが隠し持っていたロッドで覆面の剣を弾き飛ばしていた。
みんなイキイキとしているね〜。
ん?
あら?いつの間にか現れたサスケさんが地味に覆面達を縄でグルグル巻きにしている。
心なしか楽しそうな気が?
うん、あっという間に終わっちゃった。
覆面軍団は仲良く気絶中、もちろん全員グルグルだ。
私は捕まっていた女の子に怪我はないか尋ねてみた。
「あ、は、はい!大丈夫です!あ、あの、ありがとうございました。わ、わた、し、こわかった。」
女の子は安心したのか泣き出してしまった。
そうだよねいきなりあんな覆面に連れ去られそうになったら怖いよね。
私は安心させるように女の子の背中をさすってハンカチで涙を拭いてあげた。
何故かその時アンジュさんが「う、羨ましいぃ〜〜!」と叫んでいたのは聞き流しておこう。
グルグル覆面をどうするかお祖父様に相談しようと思い、アレン君にひとっ走りお祖父様のところに行ってもらおうと思っていたらサスケさんが動いた。
「俺、ジイさんの、居場所、知ってる。」
そう言って消えた。
おお〜〜、シノビだね〜。
そしてアンジュさんも興味深そうに消えた場所を眺めていた。
おお、シノビに興味津々だね〜。
ただアンジュさんの目は何かこう……獲物を狙うような感じが…………うん、気のせいだよね!




