王子と姫
その知らせはクリス様達に会った次の日に届いた。
今、テーブルの真ん中にその手紙を置いて私達はその手紙を睨みつけている。
この場にいるのは私とサナ、アレン君、アンジュ様、兄、アレク様それからお祖父様とお祖母様に母、後はクリス様とそのお供のライアンさん、ソールさんと結構な人数だ。
手紙は今朝方、王都から届いたものだった。
問題は差出人なのだ。
その手紙の差出人は、な、何とレオン様とスミレ様の連名なのである。
一体どういうこと何だろう?
「「燃やしましょう!」」
双子がまず案を出した。
いや、受け取ったってバレてるんだから燃やしてもしょうがないでしょ。
「埋めたら良いんじゃないでしょうか?」
サナ……だから根本的に解決されないよ、それじゃあ。
とりあえずみんな開けようとしないんだよね。
「もう、面倒くさいから読んでみれば良いんじゃないか?」
兄が飽きてきている。
ただ、どこか投げやりな言い方ではあるけどもそれが1番早いかも。
ちなみに宛名は私になっている……。
「ふむ、こうしていても時間ばかりが無駄になるな。リカルドの言う通り開けてみるのが早いかもしれない。どれリリーナ、まずお前宛だからお前が読んでみなさい。」
ふう、しょうがない……。
開けてみますか。
私はみんなの視線が集まる中、封を開けてみた。
中身は……うん?
中にはまた封筒が2通入っていた。
どうやらレオン様とスミレ様の両名のものらしい。
どちらから開けようか。
まずは先に手に取ったこの手紙……たぶんレオン様のものだ。
『 親愛なるリリーナへ
君が魔物が大量に発生している場所へと向かったと聞いて私は胸が張りさける思いだった。
しかし、リリーナの元へ向かおうとする私の前に屈強な騎士団の精鋭が立ち塞がったんだ。
私は結局君を助けに行くことが出来なかった。本当に申し訳ない。
今回のことでやっぱり私は君のことが大切なんだと再認識した。
記憶は戻っていなくても心が君を求めるんだ。
リリーナ、本当は君を迎えに行きたいのだがどうしても抜け出すことが出来ない。
どうか王都に戻って来てはくれないだろうか?
もっと君と話がしたいんだ。
私に新しい婚約者が出来たということは理解はしているが、受け入れられない。
リリーナ、君以外は考えられないんだ。
王子としてきっと私は間違ったことを言っているんだろう、だけど今何も伝えないまま結婚をしたら後悔し続けることになると思う。
だから恥を忍んでこの手紙を送ることにした。
王都で君を待っている。
レオン』
…………。
私は手紙を読んで、そして固まった。
私が何も言わずに手紙を持ったまま硬直しているのを不審に思ったお祖父様が私の手から手紙を取り目を通している。
そして…………
ビリビリ!!
手紙が真っ二つに破かれた。
あ〜〜あ、やっちゃった。
そしてそのまま火をつけようとしている。
手紙の内容を知らないお祖母様と母が必死で止めている間に兄がその手紙を修復している。
そして修復の後、みんなで覗き込むように読んでいる。
何か恥ずかしい。
私が書いた手紙ではないけども、私のことが書かれている手紙を見られるのはちょっと抵抗がある。
読んだ後の反応はそれぞれだ。
サナ、アレン君、アンジュ様の3人はまた手紙を消去しようと躍起になっている。
一方、お祖母様と母は手紙は保存して何かの時に役立てるべきたと主張している。
クリス様は…………あ、あれは、この前の黒いオーラが再び現れている!
ライアンさんとソールさんが必死でなだめている最中だ。
何だろうこの状況……。
レオン様の手紙だけでこの騒ぎだ。
果たしてスミレ様の手紙にはどんなことが書かれているんだろう。
私は恐る恐るスミレ様の手紙を開けてみた。
『 リリーナさんへ
どうやら魔物退治は済んだようですね。
私のシノビから報告がありました。
どうやらシノビの助けがあったから解決したようですね。
私に感謝してほしいものだわ。
魔物退治が終わったのだったらすぐにでも王都に報告に来るべきではないですか?
そんなことも出来ないなんて家臣失格ですわよ。
私の助力もあったおかげなんですから、もちろん私のところにも挨拶に来られますよね?
犠牲者などは出ていないとのことのようですから、急いで報告に来ることをお勧めしますわ。
スミレ』
…………。
またもや固まった私から今度は母が手紙をとっていった。
そしてお祖父様に破かれる前にと、みんな覗き込むように読んでいる。
するとその手紙を読んだいつもの3人組が競う合うようにその手紙を粉々にしようとした。
顔は………スゴく怖い。
でも、その行動をよんでいた母が手紙を懐にしまい込んだ。
しかも凄い笑顔で。
目は笑ってないよ。
その時今まであまり言葉を発していなかったクリス様の側近のソールさんがボソッと呟いた。
「ねえ、この国の王子と姫っておかしいの?」と。
ああ〜、うん、残念ながら否定は難しいね。
ただ姫はこの国の姫ではないよ。




