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助け船

私が内心オロオロしていると部屋のドアがノックされた。

ナーーイッス!

どなたか存じ上げませんがありがとうございます!

ちなみに部屋の中の人達は何やらみんな腹の探り合いをしていて忙しそうなので、もちろん私がドアの外にいる人とお話しさせていただいた。


「はい、どなたですか?」


すると外からサリーの声が聞こえた。


「サリーでございます、リリーナお嬢様。中にクリストファー様がいらっしゃると思うのですが、お供の方達が到着致しましたのでご報告に上がりました。」


あらら、例の置いてけぼりにされたお供の方達だね。

意外と早くついたんじゃない?

さすがはクリス様のお供ってところかな。

でも、本来ならば主人に置いてけぼり食らったらダメだよね。


とりあえず私は部屋のドアを開けた。

すると目の前には大きな壁が…………あっ、人だ。

視線を上に持っていくとようやく目が合った。

この人がクリス様のお供かな?


私があまりの大きさにジッと見つめていると、後ろからクリス様がそのお供の人に声をかけた。


「ああライアン、それにソール、思ったより早かったようだね。」


ライアンと呼ばれた人がたぶんこの目の前の大きい人で、ソールというのは…………あ、いた。

ライアンさんのちょうど真後ろで見えなかったがもう1人前髪が長くて目が見えない人がいる。

別に背が低いわけではないけどライアンさんが大きすぎて小さく見える。


「クリス様思ったより早かったな、じゃないですよ!何でお一人で行くんですか?」


ライアンさんが困った顔でクリス様に文句?を言っている。

それに対してクリス様はまったく気にするそぶりも見せず笑顔でこう言い切った。


「うん?お前達が遅いだけだろう?」


おおう、それはその通りなんだけどさ……ほら、お供の人、特に大きいライアンさんが目に見えて凹んでいるよ。

小さい声で「申し訳ありません」って言ってるよ。

何だろうこの気持ち?

見た目は大きいのにちょっと涙目になっているライアンさんが可愛く見える。

なんかかわいそうになってきたし、さっきナイスタイミングで部屋を訪ねて来てくれたからちょっと助け船を出しますか。

私が何か助け船になりそうなことを言おうとする前に、それまで黙っていたソールさんが口を開いた。


「クリス様、いい加減にしといて下さいね。ほらライアン、お前も何いじけてんの?こんなのいつものことだろう。クリス様、国を出る前に約束してましたよね?俺たちと必ず一緒に行って下さいって。どんなに心配でも1人で飛び出さないで下さいって言いましたよね?それを、やっぱり勝手に1人で飛び出しやがって…………本当に今後やんないで下さいよ。次やったら俺たち味方しませんからね。」


「…………ああ、悪かった。お前達に甘えていたようだ。次は守るよ。」


す、スッゴーーー!

あのクリス様相手に一歩も引かないなんて。

さすがはクリス様のお供。


「ええ、次はないですよ。で、そのクリス様を珍しく感情的にさせるリリーナ様にご紹介いただけませんか?」


「ふう、お前は相変わらずだなソール。わかったよ。じゃあ改めてリリーナ、私の側近のライアンとソールだよ。さっきリリーナが見上げていた大きなのがライアンで、私に怒涛の勢いで責め立ててきたのがソールだ。昔から私に仕えていてくれているから遠慮がないんだ。びっくりしただろう?」


ええ、びっくりしましたよ。


「初めまして、ライアンさん、ソールさん。なんと言いますか……私のせいでいろいろ申し訳ございません。」


とりあえず謝ってみた。

だって私を心配して単独行動をクリス様がしちゃったのは事実だからね。

でも、私が謝ったのに2人はびっくりしたようだ。


「あ、あのリリーナ様が謝る必要なんてございません!」とライアンさん。


「ふーん、貴族の御令嬢でもきちんと謝れるんだ……いや、申し訳ありません。私の言い方が悪かったようです。悪いのは約束を守れないクリス様なのでリリーナ様は関係ないですよ。」とソールさん。


ソールさんは貴族の令嬢に何かされたのかな?

何か含みのある言い方だ。


「あー、リリーナ、ソールに悪気はないんだ。不愉快にさせたらごめんね。ほらソール、お前が相手にしている貴族の御令嬢とは違うんだからその態度はないだろう。ひとまず到着したことをリーザさん達にも報告してくるよ。じゃあ、また後で。」


そう言うとクリス様と2人は部屋を出て行った。


さて、この後はどうしようかなと思い振り返ってみたら兄がいなくなっていた。


「あら?お兄様はいつの間にいなくなっていたのかしら?」


「リカルド様ならお供の人達が来たぐらいの時にそっちの窓から抜け出して行きましたよ。何か『サナはどこかな〜〜』とか言いながら出て行きましたけど。」


……サナに会いに行ってどうする気よ、兄。

どうせ話しにもならないと思うから放っておこう。


「それにしてもなかなかいい性格の側近でしたね?リリーナお姉様にケンカ売っているのかと思って危なくこのちょっと壊れたカップ投げるところでしたわ。」


アンジュ様は誰の影響か最近やたらと武闘派になってないかな?

黙っていたら可愛いお嬢さんのはずなのに……。

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