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発生原因

私達は村人が無事村へ帰るのを見届けてから屋敷へと帰還した。

お祖父様と、村人に付き添っていたお祖母様も一緒だ。




「お帰りなさい!……まあ、お父様とお母様もご一緒だったのですね。」


屋敷では母が出迎えてくれた。

お祖父様とお祖母様も一緒の為、驚いている。


「ああ、ちょうどこっちに戻ろうとした時にサイ村が魔物に襲われそうになっていたから対処してきたんだ。どうやら他のところもほぼ片付いたようだな。」


「はい、見回りに行っていた者達も魔物は見なくなったと報告してきました。」


「うむ、そうだろうな。原因も取り除かれたはずだから今のところは大丈夫そうだ。」



原因?

やっぱり魔物が大量に発生した理由があるのね?


「どれ、説明するからリカルドとリリーナ部屋に来なさい。もちろんリーザもな。」


私と母と兄はお祖父様に呼ばれてお祖父様の部屋へと向かった。

申し訳ないけどサナ達には待っていてもらった。



部屋に入るとお祖母様がお茶を準備してくださった。


「ふう、やっぱりリーフィアの淹れるお茶は美味いな。さて、一息ついだところで魔物の大量発生の原因を教えるか。リーザは気づいていると思うが今回の原因は南の国が西の国に戦争を仕掛けたのが原因だ。」


うん?

南の国が西の国に戦争を仕掛けたのが原因?

どういうことかな?


「ふむ、リカルドとリリーナはピンときていないようだがそりゃそうだ。魔物が何故発生するかを教えていないからな。お前達は不思議に思わないか?何故この領地にだけ魔物が出現するのか。」


うーん、そうだね、気にしないようにしてたけど確かに魔物ってこの領地にしかいない。

それっておかしい事だったのね。


「この事は代々この辺境伯を継ぐ者とその家族でも信頼の置ける者、また各国の一部の者しか知らない。魔物は人の負の感情が高まった時発生するんだ、この領地にな。」


「お祖父様、俺はこの領地内で何匹も魔物を狩っていますが発生する瞬間は見たことありませんよ。」


兄がお祖父様にいいこと聞いた。

それは私も思った。


「ふむ、そうだな私も見たことがない。一説によれば魔物は、この領地内の人気がない場所にひっそりと生まれるそうだ。代々辺境伯は若いうちに家督を譲り旅に出るのが習わしなんだが理由は各国の調整だ。争いが起きれば人々の負の感情が大きくなり魔物が出現する。それを防ぐ為に各国をまわっているんだ。各国に協力関係の者がいるからな、王族だったり、それ以外もな。今回南の国が西の国に戦争を仕掛けたのも止めるはずだったんだが上手くいかなかった。……南の王族がやっぱり馬鹿でな。ったくあいつらは昔から変わらん。今回クリス王子がだいぶ痛めつけていたようだから当分は馬鹿なことはせんだろう。」



そんなことがあったんだ。

あまりに壮大な話で信じ難い。

まだスミレ姫が私のことを好きだという話の方が信憑性がある。

でも、お祖父様が嘘つくはずないし……本当なんだね。


「お祖父様、魔物はこの領地から出ることは出来ないのですか?」


「魔物は基本的にこの領地から出ていかん。目には見えないが何か特殊な技法が用いられているようだ。大昔のことだから詳細はわからんがな。しかし放っておくことも出来んのだ。一定数が超えるとどうやら外に漏れ出すらしい。今から200年前に一度大きな戦争が起きて世界各地で争いが続いた時魔物が今以上に大量に発生して各国にも現れ大惨事になった。それ以来各国でも大きな争いは起こさぬよう暗黙のルールが出来た。ただそれでも見回りは必要だからな、私達が目を光らせているという訳だ。」


ふう、えらいことだ。

そんな秘密があったとは。

私が魔物狩りに夢中になるのは案外ご先祖様の血がそうさせるのかもしれないな〜。



コンコン


部屋のドアをノックする音が聞こえる。

誰かな?


「お話の途中申し訳ございません。クリストファー様が到着致しました。いかがなさいますか?」


部屋の外から声をかけてきたのはサナの母のサリーだ。


「おお、クリス王子が来たか。今出迎えに行こう。」


お祖父様がそう返事を返したが、ドアの外が何やら騒がしい。

私達が部屋から出ようとしたところで部屋のドアが開いた。



「出迎えはいりませんよ。申し訳ないがこれ以上待てなかったので来てしまいました。ああ、リリーナ!良かった、怪我はなかったかい?」


そう言うや否や、私はクリス様の腕の中にいた。

え?え?何?


「魔物が大量に発生したと聞いて心配していたんだ。南の国の王族は叩きのめしてきたからもう大丈夫だよ。こちらには海の生物の魔物が出たんじゃないかな?どうやら人々の不安が顕著に現れた地域の生物の魔物が出るみたいだからね。」


クリス様は話している間も腕の力を緩めてくれない。

苦しくはないけど、恥ずかしいよ〜。


「あ、あのクリス様!私はどこも怪我などしておりませんよ。あの〜もうそろそろこの体勢は恥ずかしいのですが……。」


私の言葉にクリス様はその美しい顔でニッコリ笑ってこう言った。


「ダメだよ、リリーナ。やっと久しぶりに会えたのだからもう少しリリーナに触れていたいんだ。だからもう少しこのままにさせて?」


ひ〜〜、ムリだよ〜。

もう恥ずかしくて穴に潜りたい。

だってあの兄にすら生暖かい目で見られているんだよ!

やめてそんな目で見ないで!



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