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魔物狩り⑤

何とか森の魔物は鎮圧出来たようだ。

すると音もなく私の目の前にシノビの2人が現れた。


「リリーナ様、どうやらこの森にもう魔物はいないようですね。あ、それから渡すの忘れていたんですが…………おっ、あった。これシノビの間で有名な麻痺に効く薬です。症状が重い人に使ってみて下さい。…………あ、だ、大丈夫ですよ!毒なんかじゃないですからね。」


「大丈夫ですよ、そのような心配してませんから。ただ、どうしてここまで親切にしていただけるんだろうとは思っていますが。」


「あーー、そう……ですよね。普通そう思っちゃいますよね〜。うちの姫様ちょっと……いや、かなり捻くれてて、あの〜、たぶん、絶対信じてもらえないと思いますが、あれでリリーナ様のことかなり気に入っているんですよ。あ、本当に本当ですよ。じゃなきゃ私達のことこちらに派遣しませんから。とにかくリリーナ様が怪我しないようにって言われているんで。」


ハンゾウさんがそんな話しをしているとずっと黙っていたサスケさんとおっしゃる人が口を開いた。


「ハンゾウ、お前、喋り過ぎ。姫さん、怒るぞ。」


「あ、そうか。そう言えば黙って助けろって言ってたっけ。うん、でも無理だよ。だって私達がつけていたの気づいていた人がいたしね。まあ、ばれたことだしこれでおおっぴらに助けられるでしょ。」


「確信犯か。」


スミレ様が私の事を気に入っている?

いやいやそれはないでしょう?

私が考えていることがわかったのかサスケさんが一言。


「姫さん、あんたのこと、好きだぞ。」


「えーっと、それは何と言いますか…………ちょっと信じ難いですね。」


「まあまあ、それは今談義しなくいいんじゃないですか?それより早く村に向かわないといけないのでは。」


正論だ。

村の安全を確保しなければ。


「わかりました……まだ納得はしていませんが、どうせついて来るのでしょう?」


「はい、そう通りです。ただ私達は隠れてついて行きますよ。では……。」


そう言うとハンゾウさんとサスケさんは消えた。

私とシノビとのやり取りをサナ達は口を挟まず見守ってくれていた。

一応助けてくれたことは知っていたからだ。

だけどそれと気持ちは違うようだ。



「一応、一応助けてくれたようだから黙っておりましたが、スミレ姫がリリーナ様を気に入っているですって?冗談が過ぎますわ。シノビっていうのは戯言もお上手なんですね。」


「ホント、どういうことなんですかね。リリーナお姉様はそれは素敵な方だから気に入るのはわかりますが、今までのことを考えると疑問ですね。」


「とりあえず様子見でしょうね。危害を加えるつもりならさっきは絶好の機会だったはず。それを逆に助けに入ったくらいだから、助ける気持ちは本当かもですね。」



みんな言いたい放題だけど、たぶんシノビ2人組はどこかで聞いていると思うよ。

でもこの人達のことだから聞いていることをわかって喋っているのか。



私はハンゾウさんにもらった薬をまだ動けずにいる騎士団の人達に渡した。

それを飲んだ人達はビックリする程あっという間に痺れがとれた。

シノビの薬恐るべし。

でも、これは素直に感謝だね。


森を無事脱出出来た私達はそのままサイ村へと向かった。

少し進むと村が見えて来た。

しかし……遠目で見えにくいが村の門が開け放たれている。

うちの領地は魔物が出るため村でも周りに囲いをし門を設けている。

その門が開け放たれているということは………嫌な予感に私達は村へと急いだ。



村は………誰もいなかった。

そう、誰1人として人がいなかったのだ。

だからと言って犠牲者が倒れているということもなかった。

どういうことなんだろう?

村には50人ぐらいの人がいたはずだ。


村から逃げたのかな?

でも私達がさっき抜けて来た森は通れなかったはずだ。

とすると……。

私達が手がかりを探していると意外な人物が現れた。



「遅かったな。」


その一言を放ったのは……お祖父様!

私達はお祖父様へと近づいた。


「ふむ、リカルドとリリーナ、2人とも来たのか。それでもあの森は大変だったようだな。もう少し遅ければ森の中も掃除しようと思っていたが動かずに済んだようだな。」


お祖父様は笑いながらそう言った。

さすがお祖父様、あの森を掃除って。

あ、でもそれよりもサイ村の住人のことだ。


「お祖父様お久しぶりです。挨拶も簡単にで申し訳ありませんがこのサイ村の方達がどうなったのか教えていただけませんか?」


「ああ、そりゃ気になるだろうな。村人はみんな無事だ、安心しなさい。今ちょっと避難させていたんだ。」


「避難……ですか?」


「ここも魔物が大量に現れてな。ちょうど通りかかった私が魔物を狩る間、手負いの魔物が暴れて村に来ても危ないからリーフィアに言って避難させてもらったんだよ。」


リーフィア……ああ、お祖母様だね。

名前で呼ぶのが珍しいから一瞬わからなかったよ。


「それで、そのお祖母様達はどちらに?」


「西の国の世話になっている。あちらも事情は知っていたから快く引き受けてくれたぞ。」


西の国まで避難していたんだ。

まあ、お祖父様が大暴れして狩り損ねた魔物が村を襲ったら大変だもんね。


「たぶんもうそろそろ帰ってくると思うぞ。今頃元凶もクリス王子が取り除いているはずだからな。これで当分は魔物の大量発生はないはずだ。」


「元凶……ですか?」


「ああ、お前達にはまだ話していなかったが魔物が発生する理由があるんだ。詳しい話しは屋敷に戻ってからすることにしよう。ほら、来たようだぞ。」


お祖父様が指し示す方を見ると村人らしき人達が歩いて来るのが見える。

良かった、みんな元気そうだ。


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