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魔物狩り

私達が領地の屋敷へ戻る途中にも魔物は現れた。

普段、街道沿いは魔物が出ることはほぼ無い。

しかし、今回は屋敷へ戻るまでに3度も戦闘があった。


でも、メンバーがメンバーだから苦にはならなかったけどね。

むしろ私以外の3人がやたら気合いが入っていて私の分は残っていなかった。

ちょっとぐらいは狩らせてほしい。



領地の屋敷へとたどり着いた私達を母が出迎えてくれた。



「リリーナ!良く戻って来てくれたわ。みんなもありがとう。」


母が笑顔でそう言ってくれたが、その顔には疲労も見えていた。


「お母様、だいぶお疲れのご様子ですが大丈夫ですか?私達も急いで領地の魔物討伐に向かうので少しはお休みください。お兄様も後から騎士団の方達を連れて来てくれるようですわ。」


「ええ、大丈夫よ。ありがとうリリーナ。ここで頑張らないで辺境伯なんてやってられないわ。私はここで情報収集と指示を出さなければいけないから動くことが出来ないの。あなた達に頼ることになってしまい申し訳ないわ。お父様とお母様がたぶん戻って来るでしょうから、そうしたら私も体を動かさせてもらうわ。」


お祖父様とお祖母様も来るのね。

それなら大丈夫だ。


「ではお母様、私達はどこに向かえばよろしいですか?」


私が母にそう問いかけた時、料理長が慌ただしくこちらにやって来た。


「お、奥様!と、トーマが戻って来たんですが傷がヒドくて、同じ部隊の奴らもみんな大怪我をしてます!それでトーマが奥様に何か伝えたいようなんですが来ていただけますか?」


え!トーマが大怪我?!


「わかりました!今行きます。リリーナ、あなたもついてきてちょうだい。それからリリーナ例の傷薬はまだ持っているかしら?」


「お兄様専用の特別濃縮傷薬ならまだありますわ。でも、塗っても大丈夫かしら……。」


「トーマならきっと大丈夫よ。でもトーマの部隊の他の子達には普通のがいいわね。サナ!準備をお願い。」


サナは「はい!かしこまりました。」と言うとあっという間に見えなくなった。

きっとああいうのがシノビだと思う。


私は母の後に続きトーマがいる部屋へと向かった。



部屋に入るとトーマがベットに横になっていた。

見るからに酷い傷だ。

応急手当はしてあるようだがまだ出血も止まっていないようだ。

顔色も血が足りないせいか酷く悪い。


母がトーマに声をかけた。


「トーマ、トーマ、聞こえるかしら?」


母の声にトーマが閉じていた目をどうにか開けた。

そして苦しそうに声を出した。


「あ、お、奥様。っく、す、すいません……こんなかっこうで。」


「トーマ、無理せず起き上がらなくていいからそのまま寝てて。リリーナ、トーマに例の薬塗ってちょうだい。まず血を止めないと。」


私は母の言う通りトーマに薬を塗る為ベットに近づいた。


「トーマ、今薬を塗りますからね。ちょっとしみるかもしれないけどごめんなさいね。」


私は傷口に兄専用濃厚傷薬を塗りつけた。


「くぅぅーー!!」


あ、やっぱり痛いよね。

ご、ごめんねトーマ、でもほら血は止まったよ。


「さすがリリーナが作った傷薬ね。もう血が止まったわ。トーマ、どう?」


「あ、あ?あれ?さっきの激痛が嘘のようです。痛みがだいぶ薄れています。これをリリーナ…さまが、あ、ありがとうございます。」


「良かったわ、トーマにもこの薬が効いて。でもまだ無理はしないでね、お兄様とは違うんだから。」


「そうね、リカルドは我が息子ながら恐ろしいほどの回復力ですからね。さて、まだ安定していないのに話しをさせて悪いけど、何を伝えたかったのか教えてくれるかしら?」


するとトーマは私と母の方を見て話し始めた。


「はい、わかりました。俺の部隊は西にあるサイ村に救援に向かう予定でした。しかし村にたどり着く前の森で魔物に襲われたんです。最初は普段通り討伐していたんですが、途中でおかしなことが起きたんです。隊のみんなが身体が痺れて満足に動けなくなってしまったんです。現れていた魔物は見たことのある狼型でした。奴らの攻撃に痺れをもたらすものがあるなど聞いたことがありません。そして俺たちは何とか全滅はまぬがれ戻って来た次第です。」


「痺れね……リリーナは知っているかしら?」


「いえ、狼型は牙での攻撃を主にしてきますが痺れを起こすようなことは今まで報告されていません。考えられるのは何か他の魔物ということだと思いますが……トーマ、他に何か気づいたことはないかしら?」


トーマは少し考えるような素振りを見せた後こう言った。


「俺は見なかったんですが、俺の隊の1人が何か宙に浮かぶフワフワしたものを見たと言っていたような……。でも、すぐに見えなくなってしまったようです。」


宙に浮かぶ魔物か……。

何だろう?

でも痺れるのは嫌だね。


「トーマ、教えてくれてありがとう。後はゆっくり休みなさい。まずは傷を治すことが第一よ。」


母がそう言って、私と共にトーマのいる部屋を出た。




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