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ふあ〜〜っと。

あーよく寝た。

久しぶりに昔の夢を見た。

あの頃はマナーの授業を抜け出しては魔物狩りに行ってたな〜。

王都に来てからは、それ出来ないから代わりに勉強に精を出していたら、いつの間にか周りからは優秀な王子の婚約者だと思われちゃったんだよね〜〜。

まいった。まいったと。


さて、着替えますか。

そう考えた時、タイミングよくノックの音がした。


「リリーナ様、失礼いたします。」


「起きてるわ、入っていいわよ。」


そう声をかけるとサナが入ってきた。


「おはようございます、リリーナ様。」


「ええ、おはようサナ。今日は天気良いのね。」


私はカーテンを開けるサナの方を見てそう言った。

これなら出掛けるのに最適ね。

どうせなら快適に旅をしたい。


サナに着替えを手伝ってもらい、身支度を整えた。

それから食事に向かう。


部屋には父がいた。

あら、いつもはとっくに出かけているのにね。

珍しい〜。


「お父様、おはようございます。」


「ああ、おはようリリーナ。」


父は私が来るのを待っていたようで、私が席につくと父の分の朝食も運ばれてきた。


「リリーナ、お前今日中に領地へ行くつもりかい?」


「ええ、早い方が良いかと思いまして。」


「ふむ、しかし勢いに任せて行っても良いのかい?何か大事な事を忘れてないかな?」


うん?大事なこと?

うーん、何かあったかな〜。お友達には挨拶したし。

レオン様は婚約破棄した相手に会いたくないだろうし。

私が首をかしげて考えていると、父が深いため息とともに言葉を発した。


「リリーナ。お前………レイチェル様に御挨拶したのかい?」


⁉︎

ひ、ひえ〜〜。

そ、そうだよ。真っ先に言わねばならない人がいたじゃないか!

何故忘れていた!

うん、たぶん言いづらかったからだ。


レオン様のお母様であるレイチェル王妃。

私の王妃教育も時たま見てくれていた方だ。

レイチェル様も忙しい方なので会う機会はそこまで多くなかった。

だけど、レイチェル様は私のことを可愛がってくれていた。

なのに私は婚約破棄されたのだ。

会わせる顔がない。


別に婚約破棄を残念には思わないが、レイチェル様を失望させるのは心苦しい。

なんて言えばいいのか。

私が焦っているのが分かったのか、父は一つの案を出した。


「なあ、リリーナ。領地に行く前にレイチェル様に一度会いなさい。お前も世話にはなったのだから。」


うん、もっともなお言葉。

そうだよね、いくら何でも何も言わずに領地に戻ったら礼儀知らずもいいところだ。

私はレイチェル様に会う事に決めた。

でも、忙しいレイチェル様にそんなにすぐに会えるかな?

私がその疑問を父にぶつけると。


「ああ、大丈夫だろう。お前が会いたいと言えばすぐに会ってくれるさ。無理にでも予定をあけると思うよ。」


いや、無理しなくてもいいです…。

とりあえず手紙で確かめてみよう。

今日は領地に行くのは無理そうだ。


自室に戻りレイチェル様への手紙を書く。

一言、忙しいと思うので少しでも時間が取れる時でいいことを書き添える。

そして手紙をセバスチャンに託す。

父はすぐに会えるって言ってたけど、いくら何でも急には駄目だろう。

それに、レイチェル様は今回のこと知ってるのかな。

レオン様は独断で決めたようだけど…。

昨日は勢いで父と王様に話せたけど、レイチェル様相手だと勝手が違う。

王妃教育を受ける中、実際に憧れ目標にしていた方だ。

厳しい王妃教育で心が折れそうな時、そっとかけてくれる優しい言葉に癒された。

ちなみにレオン様は私が王妃教育で凹んでいると、何故かやたらと周りをウロウロしていた。

通常はちょっと遠くから眺めてくるのに。


あまりにもウロウロしている時は何か用事でもあるのかと思い、ジッと見つめてみたが慌てて離れていった。

最初の頃は嫌われているのかと思い父や兄に相談もしたが、それはないと言われたのでそういう人なんだと思う事にした。


コンコン

部屋のドアがノックされセバスチャンの声がする。


「リリーナ様失礼いたします。」


「どうぞ、入ってちょうだい。」


セバスチャンは部屋に入って来ると私に手紙を渡してきた。


「リリーナ様、レイチェル王妃より御返事でございます。」


「え!もう?」


「はい、リリーナ様の手紙を読まれて直ぐに書かれたようです。」


いくら何でも早すぎる。

まだ、1時間も経ってないんじゃないかな?

とりあえず読んでみよう。

ん?え!

今から時間が取れるから王宮に来てって!?

あまりの早さに私がビックリしているうちに、セバスチャンはサナを呼び出して私の準備に取り掛かろうとしている。

みんな仕事が早いね!

あれよあれよと言う間に支度が整い、私は追い立てられるように家を後にした。





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