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母からの手紙

何とか合流した私達は屋敷へと戻った。

馬車の中でアンジュ様が私とアレン君が2人っきりだった時の話しを聞きたがったが、ここで話すといろいろ面倒なことになりそうだから屋敷についてから話すということでひとまず落ち着いた。

まあ、アンジュ様とサナに話すのはもちろんのこと、父にも一応報告はしないとね。

もしかしたらレイチェル様から何か言われるかもしれないし。



屋敷に到着してセバスチャンが出迎えてくれたので父のことを聞くと、今日は遅くなるとのこと。

とりあえずセバスチャンには遅くなってもいいから父と話す時間を作ってほしいとお願いしておいた。



………それでだ。

今から部屋で今日の出来事をアンジュ様とサナに話すのだが。



テーブルの上に壊れそうなもの………なし!

近くに壊れやすいもの………なし!


サナには話しが終わるまでお茶の準備は待ってくれと言ってある。

不思議そうにしていたが素直に従ってくれた。

毎回食器を壊すことになるのも如何なものかと思うので、今回ははじめからチェックしてみた。


では、始めますか。




バキバキ!

………ああ〜〜、そうか、このテーブルって結構年数経ってたのかな?


まさかテーブルに犠牲が出るとは思わなかった。

私の予想より2人の力が強かったらしい。


「リリーナお姉様!今からでも遅くはありません!そのシノビとかいう人達殲滅しましょう。情報を間違って認識している諜報部隊なんて国の恥ですわ。この国にいるということは、この国で裁いても問題ないですよ。リリーナお姉様を尾行したうえに暴言まで吐くなんて……消えてしまえばいいのに。」



こ、怖いよアンジュ様。

でも、私の為に怒っているんだもんね。


「リリーナ様、私もアンジュ様に賛成です。リリーナ様のことを何も知らないのにそのようなことを言うなんて……。私に任せて下さい!必ず仕留めてみせます。」



だ、だから仕留めちゃダメだって!

しかももし間違って、『いいよ』なんて言った日には2人は速攻潰しに行っちゃうことだろう。

もちろんアレン君も嬉々として付いていくに決まっている。

冗談でも言っちゃダメだ。



「あのね、2人とも私は大丈夫よ。それにアレンが怒ってくれたから私はそこまで怒ってないわ。」


しかし私の言葉にアンジュ様はキッとアレン君の方を向くと


「アレン!何でそのシノビってアホにトドメささなかったのよ!あんただったら潰せたでしょう?」


「俺だってそうしたかったさ!でも……それはリリーナ様が気にするだろう?シノビの命に興味はないけどその死がリリーナ様の心の負担になるなら俺には出来ない。」


………アレン君あの場でそこまで考えてくれていたんだ。

そうだよね、アレン君がフルパワーで蹴ってたら一発昇天だもんね。



「みんなありがとう。みんなが私の為に真剣に考えてくれることがとても嬉しいわ。でも今回のことはダン先生にお願いしたから大丈夫よ。さすがにもし今後も何かしてくるようなことがあった時は私も怒るわよ。」



ハンゾウさんが3人組の保護者ならもう関わってはこないでしょう。

ダン先生も大きく釘を刺してくれただろうから。




私たちがようやく落ち着きお茶を飲み始めた頃、何やらドアの外が騒がしくなった。

誰か来たのかな?

サナが様子を見に行こうとした時、ドアがノックされると同時に開いた。


入って来たのは兄と父だった。

兄よ、確かにノックはしただろうけどノックと同時に開けるのは駄目だって。

なんてのんきに考えていたけど兄と父は何やら焦っているようだ。



「どうしたのですか?そんなに慌てて入って来るなんて。」


すると父が慌てたように答えた。


「た、大変だ!さっきリーザから急ぎで手紙が届いたのだが、領地に大量の魔物が発生して被害が出ているらしい。手紙には至急リリーナたちに戻ってきてほしいと書かれていた。」


え!大量の魔物が?!

わざわざ手紙で報せてくるということはかなりマズイ状況なのでは?


「わかりました!今すぐ準備をして領地に向かいます!」


「ああ、頼む。それから王にも報告をして騎士団にも行ってもらう。ただ魔物と戦える者は限られているだろうから少数だが。もちろんリカルドも行く。」



こんなこと今までなかった。

何でそんなに急に魔物が大量に発生したの?

確かちょっと前にレオン様が魔物の発生原因を調べていてくれていたようだけど、いろいろドタバタし過ぎて曖昧なままだ。


でもここで考えている暇なんてない。

私が父と話しをしているうちにサナ、アンジュ様、アレン君は各自準備に入ってくれていた。

みんな頼りになる。


大丈夫だ。

兄もいるし、頼りになる仲間もいる。

魔物になんて負けない。


私達は準備を慌ただしく終えてその日のうちに屋敷を出発した。

兄は騎士団の精鋭を引き連れて後から追ってくる。

私達は焦る気持ちを抑えながら領地へと向かった。

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