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散策

ーー次の日



昨日決めていた通り今日は母のお土産を選ぼうと思う。

華美な格好は避けて町娘風に装って行くことにした。

一緒に行くのはサナとアレン君とアンジュ様だ。

ある意味、最強過ぎてどんなトラブルに巻き込まれても大丈夫だと思う。



「キャ〜!リリーナお姉様はどんなお姿でも素敵ですわ!」


私の姿を見てアンジュ様が騒いでいる。

そ、そんなに感動してもらえるような姿ではないんだけど……。

しいて言えば髪型がいつもは下ろしているのにお下げ髪っていうことかな。


「町娘の格好をしていてもリリーナ様だと高貴な感じがしますね。でも可愛いですね、お似合いですよ。」


アレン君、真顔で褒めるのはやめて。

恥ずかしいよ。

私はアレン君の言葉に頬に熱が集まるのを感じた。




途中まで馬車に乗って行き、メインの通りに出る前に降ろしてもらった。

私はこの辺あまり詳しくないが、もともと住んでいた2人がいるから案内してもらうことにしたのだ。

2人は私に案内出来ることを大層喜んでくれた。


「リリーナお姉様のお役に立てるなんて嬉しいですわ!何でも気になるものや、欲しいものがあったら言って下さいね。すぐに案内しますから!」


アンジュ様が鼻息荒く燃え上がっている。

少し落ち着こうね、せっかくカワイイのにイロイロ台無しだから。


私達はプラプラと辺りを散策した。

こんなにのんびりお買い物を楽しんだことって王都ではないんだよね〜。

仮にも王子の婚約者が護衛も付けずにただ歩くなんてありえない話だったから。

うん、こういうのも楽しいんだね。

しかもこの4人でまわっているからきっと余計にそう思うんだ。

私がニコニコしているのに気づいたアレン君が話しかけてきた。


「リリーナ様、ずいぶん楽しそうですね。」


「ええ、とっても楽しいわ。だって王都にいた頃はこんな風に出歩くことなんて到底出来なかったもの。だから今回みんなとお出かけすることが出来て本当に嬉しいのよ。」


私の言葉にアレン君も嬉しそうだ。


「ならいっぱい楽しみましょうね!まだまだ案内したいところがいっぱいあるんですよ。」


そう言うとアレン君は私の手を握りしめてきた。

私が不思議そうにアレン君を見ると……


「えーっと、アレです!結構混んでいるのではぐれないように手を繋ぎましょう!ダメですか?」


うっ、そんな捨てられた子犬のような目で見ないで!

断れるわけがないじゃない!


「いえ、いいですよ。こんなところではぐれてしまったら見つけるのが大変ですものね。」


私の言葉にアレン君が笑顔を見せてくれた。




と、まあ、そんなやり取りをしているうちにアンジュ様とサナとは、はぐれてしまったわけで……。


「見当たらないわね……。」


「……そうですね。」


お互い困った顔で見つめ合う私とアレン君。


「あっ、でもアンジュとはもしもはぐれた時に落ち合う場所を決めていたんです。」


でかした!アレン君!

さすが出来る男は違うね。


「それなら良かったわ。出来ればアンジュ様とサナが一緒にいてくれたら良いのだけど……。」


「大丈夫だと思いますよ。最後に見た時は2人が話している姿でしたから。」


なら、平気かな?

まあ、サナならこの辺も分かるだろうし何とかなるよね。


「リリーナ様。せっかくだから散策を楽しみましょう!こういうアクシデントも醍醐味ですよ。」


「アレンは前向きですね。でも、それが良いところなんですよね。そうよね、こんな機会滅多にないことだしアレンとのデートを楽しみますね。」


ちょっとからかってデートという言葉を使ってみたのだが……思いの外ダメージを与えてしまったようだ。


『う、うわ〜〜!リリーナ様がデートって思ってくれているよ。ど、どうしようすっげー嬉しいんだけど。この喜びをどう表したら良いんだ?』


アレン君が小さい声でブツブツ言っている。

困らせちゃったかな?


「あ、あのアレン、デートなんて言って気を悪くしたならごめんなさい。ちょっと、その楽しかったからつい……。」


私の言葉にアレン君がブンブンと首を横に勢いよく振っている。


「気を悪くなんて!あの、俺すっげー嬉しくて……リリーナ様!デート楽しみましょう!」


私とアレン君はそれからいろいろな店を見て回って行った。

もちろん当初の目的の母への土産も無事ゲット出来た。

アレン君が言うには知る人ぞ知る名店というやつで、試食させてもらったがとても美味しい焼菓子だった。

サナとアンジュ様、ついでに兄の分も買ってみた。

こういうのって良いね。




ところでさっきから妙な視線を感じるのだが……気のせいかな?

殺気ではないのだけど……うーん?

アレン君もちょっと周りを気にしているらしい。


「リリーナ様、お気付きですよね?」


私は軽く頷いた。


やっぱりトラブルは転がり込んでくるらしい。

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