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新婚約者って?➂

その後レイチェル様に口答えした私は控えていた護衛の兵士に捕らわれたが、見事に撃退し逃走を図った。



……などということはもちろんない。

なんでそんなことを言い出したかというと、目の前の状況についていけず妄想でもしないとやっていられないからだ。



目の前でスミレ様が号泣している。

その、年上なのに幼い容姿でそんなことされると罪悪感が半端ない。

私の表情というかちょっと出した殺気もどきに当てられたのだろう。

はあ〜、カエリタイ。

誰でもいいからこの状況を何とかしてくれないかな。



私のそんな些細な願いが届いたのか誰かがやって来る気配がする。

ただ庭園とはいえレイチェル様が開いたお茶会に乱入できる人なんているのかな?

ここからでは見えないけどやはり護衛している人に止められているようだ。

まあ、でもここに来れる人って言えば限られているよね。

考えなくたってわかっていたはずなのに……どうやらイライラで頭が働いていないようだ。


わかっていたはずなんだよ。

そうだよね、来るっていったらこの人しかいないよね。



「母上!こちらにリリーナ嬢が来ていると聞いたんですが……」


うん、やっぱりレオン様だ。

なんか余計面倒なことになっている。


号泣していたはずのスミレ様がレオン様の声を聞いて泣き止んだ。

ひとまずホッとしたのもつかの間、スミレ様がありえない速さでレオン様のところに移動した。


「レオン王子……嬉しいですわ。やっとお会いできましたね。それにこのタイミングに来てくださるなんて……私、とても怖かったんですの。レイチェル王妃様とリリーナ様とお茶を楽しんでいたのですが、どうやらリリーナ様がご機嫌がよろしくないようで、とても怒ってしまいましたの。あんなに怖いお顔初めて見たので私、泣いてしまいましたわ。」



おお〜〜。

スゴイ、まあ間違ったことも言ってないところがスゴすぎる。

ただ今のセリフで完全にうちのサナさんを敵に回した。

顔が無表情過ぎて怖いよ。


対するレオン様はスミレ様に腕を取られて困っている様子。

こちらを見てくるけど私から何か言うつもりはない。

むしろ今のスミレ様のセリフで私に幻滅してくれればいいかも、なんて思ってみたり。

そんな中レオン様がスミレ様に何か言っている。



「ええっと、スミレ姫?ですね。申し訳ないが手を離してくれないか。私はリリーナ嬢に用事が……」


「レオン王子!リリーナ様は今ご機嫌が良くないですわ。お話しされるのはおやめになった方がいいですよ。凄く怖いお顔で睨まれてしまいますわ。」


スミレ様は必死にレオン様の腕を握って止めている。

何なんだろうね、この状態。

帰ってもいいかな?


「レイチェル様……申し訳ございませんが私はこれで失礼させていただきます。非礼なことは重々承知しておりますが、これ以上この場にとどまることはレオン様とスミレ様の為にならないでしょうから。」


レイチェル様はフーッとため息をついてこう言った。


「……そうね。これ以上こんな幼稚なやり取り見ていられないわよね。ごめんなさいリリーナ、巻き込んでしまって。あとは私が何とかするわ。」


レイチェル様から許可が下りたので席を立った。

それに気づいたレオン様がスミレ様を引きづりながらこちらに来ようとしている。

うん、でも私は話すこと何もないの。

私はサナに目で合図を送って庭園を後にした。

後ろからレオン様が何か言っている声が聞こえるが、護衛の皆さんがイイ仕事をしているおかげで追ってくることはなさそうだ。

私はサナと2人屋敷へと急いだ。




ただ今帰って来てサナの淹れてくれたお茶をみんなで飲んでいる。

サナが今日の出来事をみんなに報告している。

ちなみにメンバーは私、サナ、アレン君、アンジュ様、それから双子に会いに来ていたアレク様とアレク様をダシに参加してきた兄がいた。



ビシッ!

パキーーーン!


話しを聞いた双子の手元から何かが壊れる音が聞こえた。

見ると……うわ〜、カップが壊れているよ。

アンジュ様のはヒビだけみたいだけど、アレン君のは完全に粉々だ。

サナが素早く片付けている。


「リリーナ様……俺ちょっと城に忍び込んで1発やって来ます!」


「アレン、それは止めて下さいね。」


ここでふざけていいよ〜、なんて言っちゃったら本当にやってしまいそうだからね。

止めよう。


「リリーナお姉様……わたし、私!あの隊を使う時が来たんだと思います!城攻めしちゃいましょうよ!」


「アンジュ様、それはもっと駄目ですよ。」


この2人は今冗談が伝わらない状態だ。

おかしいこと言ったら暴走すること間違いなし。


「アレン、アンジュ、2人ともリリーナ様を困らせては駄目だよ。だいたいバレるようなことはしては駄目だ。やるならきちんと計画を立てて秘密裏に進めねば……。」


眼鏡をクイっと上げてそんな事を言ったアレク様。

それも駄目でしょう。










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