新婚約者って?
パーティーから一夜明けてサナはというと……
「リリーナ様、私やり過ぎてしまったでしょうか?」
ヘコんでる。
昨日の兄に対する正当な暴言?と鳩尾に決めた一撃のことらしい。
「サナは悪くないわよ。あれはどう考えてもお兄様が悪いわ。むしろよく鞭を出さなかったと褒めたいくらいだもの。」
私の言葉にちょっとだけ笑ってくれた。
うん、うんサナは笑顔が1番だよ。
そんなサナの笑顔を奪う兄にはサナはやらん!
「そういえばサナ、お父様はいらっしゃるのかしら?」
「はい、旦那様なら今日はお休みのはず。ご自分のお部屋にいらっしゃると思いますよ。」
そっか〜、お休みか。
ならちょっとぐらいだったらお話ししてもいいよね。
やっぱり野次馬じゃないけどレオン様の婚約者さんが気になる。
私は父の部屋を訪ねることにした。
父の部屋のドアをノックすると中から入っていいとの声が。
「失礼いたします」と言って入った。
「ああ、リリーナか。どうしたんだ?」
「お父様お休みのところ申し訳ありません。実は昨日のことなんですが……」
私の言葉を聞き父は疲れた顔を見せた。
いろいろと大変なんだね、父。
「昨日のこと……レオン王子の婚約発表のことだな。すまんなリリーナにも黙っていて。この国の中でもごく一部の者しか知らされていなかったんだ。もちろん絶対問題を起こすはずのレオン王子にもな。」
問題起こすこと前提なんだね、レオン様。
記憶を失っても変わらない部分がそこって……。
「いつぐらいに決定していたんですか?レオン様とスミレ姫の婚約は。」
「そうだな……婚約の話自体はお前が王子の婚約者時代からあったんだよ。だけどレオン王子があんな感じでリリーナしか見えていなかったから側室というのも無理そうだし、何よりあっちの国が側室で納得しなかったんだ。それにほら、王子の女性が苦手な部分も災いしてうやむやになっていたんだ。だけど今回王子とお前の婚約がなくなったのと、記憶を失ったことによって女性恐怖症が和らいだことで一気に話がまとまったんだ。」
あらら、そうしたらもともとはレオン様の婚約者が私になったことが間違いだったのね。
ごめんねレオン様。
「そうだったんですね。ところでスミレ様は私よりも年下に見えましたが何才ぐらいなんでしょうね?」
父は苦笑しながらこう言った。
「ああ、見た目はかなり幼く見えるが安心しなさい。スミレ姫は18歳だ。お前より年上だな。」
な、なんと!
どう見ても私よりも年下だと思ったのに。
そうか……レオン様が幼女趣味疑惑を持たれなくて良かったわ〜。
「あの、レオン様は結局スミレ様とお話しとかはしたのでしょうか?昨日はどうやら婚約発表の時、騎士団に捕まっていたようなんですが……。」
「いや、まだ2人で話してはいないな。ただもう婚約発表までしたからなぁ、もうレオン王子も逃げられないだろう。まあ、かなりの抵抗はするだろうが。」
「もしかして記憶を失ったレオン様に私が会う前からスミレ様のことは決まっていたのですか?」
「……ああ。ただリリーナに会って記憶が戻らない時にスミレ姫との婚約を進めるという話しになっていたんだ。結果は何というか残念だったな。お前に会っても記憶が戻らないのであればこれからも戻る可能性は低いだろうからな。なら女性恐怖症もならないだろうという考えだ。」
私に会ったことでレオン様はスミレ様との婚約が確実になったんだ。
なんか複雑だな〜。
父と話し終えて私は自室でアレン君、アンジュ様、サナとまったりしていた。
「それにしてもリリーナ様を記憶が戻るかの道具に使うなんて……やっぱり1回暴れた方が良かったですね。」とアレン君。
「そうよね〜、リリーナお姉様をわざわざ呼んでおいてそれってどうなのかしら?あんまり使いたくないけど騎士団のあの隊を使ってでも報復するべきかしらね。」とアンジュ様。
この双子は日に日に発言が際どくなっていないかな?
そんな中サナが笑顔で言った。
「でも、これでレオン王子からは逃れられますね。」
まあ、そうだね。
これでレオン様とも会う機会はなくなる。
なんだかんだあったけどレオン様にも幸せになってほしい。
「じゃあ、これで領地に帰れますね。リリーナ様いつ帰られますか?」
アレン君はさあ早く帰ろうと張り切っているようだ。
そうだね、ここにいる意味はないね。
パーティーの時のように変なのが寄って来ても困るし。
私達がいつ帰るか話し合っている時にセバスチャンが部屋にやって来た。
「リリーナお嬢様、お手紙が届いております。」
セバスチャンが手渡してくれた手紙には………あ〜〜厄介ごとの匂いしかしない。
手紙の差出人はレイチェル様だ。
レイチェル様は好きだ。
でもこの時期の手紙は……ちょっと。
絶対何か問題を運んできた手紙だ。




