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王子再び⑦

どうしても兄が気になり視線がそちらに向かってしまう。


「信じられないものを見たような目をしていますね、リリーナ様。」


アレク様が面白そうに言ってきた。

そりゃそうだよ、あの兄だよ?

ノックもまともに出来ないし、ましてやご令嬢を喜ばせる会話なんて無理だから!


「ええ、少し驚いてしまいました。お兄様がその……女性に囲まれている姿を初めて見たので……。」


「ははっ、隊長はああやって黙って立っていれば目を惹きますからね。まあ、中身がわかると大抵サッといなくなりますよ。」


ああ、やっぱり……。

ということは今、兄を囲んでいるご令嬢方は兄のことをあまり知らない人達なのね。

うん、そんな顔だけしか見ていない人達にうちのサナは負けないよ!

なんて勝手に盛り上がっていたら後ろから声をかけられた。



「リリーナ!」


うん?

あ〜〜、我が友じゃないですか。


「キャサリン!ロザリンド!お久しぶりですね。」


「もう!お久しぶりじゃないわよ。手紙も送ってくれないし心配したのよ。」


2人とも口では怒っているけど、心配していてくれたようだ。

いろいろありすぎて手紙書くの忘れてたよ……。


「ごめんなさい。ちょっといろいろな事が起きてしまって手紙を出せなくて……。」


2人はしょうがないわね〜、と言って笑ってくれた。

ありがとう〜〜。


「そうそう、リリーナに会いたいっていう子がいるのよ。」


私に会いたい人?

はて?誰かな?

キャサリンが誰かを呼んでいるようだ。

そして人混みの中から1人の令嬢があらわれた。


見たことはあるけど話したことはないなぁ。

するとその子は私の目の前まで来て……え?泣いてる?

私は突然の出来事にビックリしてしまった。

このままでは私が泣かせたみたいになっちゃうよ。


そこでキャサリンが助け船を出してくれた。


「ほらっ、せっかく会えたのに泣いてどうするのよ。言いたい事があったのでしょう?」


キャサリンの言葉にやっと涙を止めて、話し始めた。


「あ、あのリリーナさんお話しするのは初めてですね。私はカルディナ伯爵家のイリアと申します。あ、あのですね、実は私……うっうっ、ぐすん。」


あらら、また涙目になってるよ。

私なんかしちゃったのかな?


「あのイリアさんまず涙を拭いてください。さあ、このハンカチをお使いください。それで、あの、私が何かしてしまったのかしら?」


「あ、はい。」


って、しちゃったの?!

でもまともに話すの今日が初めてだよね?

何をしたの!私!


私が内心焦っているとイリアさんが私の両手をギュッと握ってきた。


「リリーナさん!本当に、本当に、ほんと〜〜うにありがとうございます!私、本当に嫌でしょうがなかったんですが、断れない縁談で。でも、相手側から婚約をなかったことにして欲しいと言ってくれて丸く収まったんです!リリーナさんは私の恩人です!」


……どういうこと?

よく分からないけど、なんか感謝されているよね。


「イリアさん落ち着いて下さい。あのよく分からないのですが私が何かしたせいで婚約がなくなってしまったのかしら?」


私とイリアさんのやり取りをキャサリンとロザリンドが笑いながら見ている。

そしてあまりの噛み合わなさにしびれを切らし口を挟んできた。


「もうイリア、それじゃあリリーナはわからないわよ。しょうがないわね〜、私が説明してあげる。」


どうやらロザリンド先生が説明してくれるようだ。

お願いします!


「こほんっ。では説明しますね。事の発端はリリーナとレオン王子の婚約破棄なの。リリーナがレオン王子から婚約破棄されたと知ったイリアの婚約者とその親がバカなこと考えたのよ。婚約破棄されたリリーナと婚約を結ぼうと。もともとイリアとの婚約はその婚約者の親が無理やりねじ込んでいて、イリアもその家族も嫌悪感をいだいていたけど家の力の関係で断れなかったの。」


ほうほう、それは嫌な婚約だったんだね。

しかも私と婚約したいからって一方的に破棄するって……。


「そしてリリーナと婚約をしたいと思ったその男と家族はイリアに婚約破棄を言い渡したということ。」


「そうなんです!ロザリンドさんがおっしゃった通り婚約破棄出来たんです!もう私嬉しくって、嬉しくって、どうしてもリリーナさんにお礼が言いたかったんです。顔はそれなりに整っていたんですけど私のことを見下していて、乱暴な言葉遣いで貶してきたり、時には暴れたり……。」


うーん、つい最近そんな人に会ったような……。


「そういえばさっきこの会場で見かけたんですけど、何故か5人くらいの男性に取り囲まれて外に向かって行きましたね。取り囲んでいた人達はみんな笑顔だったんですけど友人ですかね。」


…………あ、ビンゴだ。

うん、婚約破棄成立おめでとう!


「でも、私だけではないんです。他にも何人かそういう方がいて……みんなリリーナさんに感謝しているんですよ。」


「いえ、私は何もしていないので……。」


………おい、まともな男性は私に求婚してこないのかい?

まさかあの見合いの絵姿送ってきた中で、婚約者がいたという人達はみんなそんなんなの?




ふう〜、なんか疲れた。

キャサリン、ロザリンド、イリアさんと別れて今はアレン君待ちだ。

アレン君が気を利かせて飲み物とフルーツを取りに行ってくれている。


そういえばアンジュ様はどうしたかな?

会場に入ってすぐ離れてしまったアンジュ様は未だに行方不明だ。

まあ、騎士団の人達と一緒だろうから安全だとは思うけど……。





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