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王子再び➃

レオン様の部屋から何とか脱出成功した私は謁見の間に向かった。

そこにはどうなったか気になってしょうがない3人が待っていた。

私が気持ち焦りながら謁見の間に入ったものだから余計気になっているようだ。

私はさっきあった出来事を簡潔に説明してみた。


「ふっ、ふふ。」父よ笑い声が出ているけど目が怖いよ。


王様は父のその様子を見て逃げ腰になっている。


レイチェル様は愛用の扇で口元を隠しながら「まったくあの子は……教育するなら今ね。」と言いながら目がキラッと光った気がする。


さて、説明もしたし長居は無用。

逃げるが勝ちだ。

私は父の方を見た。

父も私の方を見て安心させるような顔で頷いた。



「王よ、今日はこの辺でリリーナは連れて帰ります。リカルドはキリのいいところで解放してやって下さい。まあ、あいつなら何とか自力で抜け出せると思いますが……ただ、レオン王子のリリーナに対する執着が強すぎてリカルドに根掘り葉掘り聞いて離さない可能性もあるので様子を見てやって下さいよ。」


そう言うと父は王の返事も待たずに私を引き連れて謁見の間を後にした。

王様無視していいの?

とりあえず帰れるなら何でもいいかな。

私は父と共に屋敷へと戻ることにした。



屋敷に戻ると待ち構えていたサナ、アレン君、アンジュ様に迎えられた。


「「「お帰りなさいませ、リリーナ様!」」」


父と一緒に帰宅したのにお帰りの挨拶は私にだけだった……。

一応、主は父だよ。

そんな挨拶に気を悪くすることもなく父は笑っていた。


「リリーナは皆に好かれているのだな、味方がいっぱいいて良かったよ。」


父はそう言って自分の部屋へと向かった。

私はみんなの視線から何があったか説明しないといけないんだなぁと感じ、連れだって私の部屋へと移動した。



部屋に着くとサナとアンジュ様がお茶の準備をしてくれた。

そういえば喉が渇いているかも。


私は出されたお茶を一口飲んでやっと一息つけた。

私が無意識に「ふ〜〜」とため息をついたのをアレン君が気づいた。


「リリーナ様お疲れ様でした。かなりお疲れのようですが大丈夫ですか?」


サナやアンジュ様も心配そうに私のことを見ている。

私はみんなのことを安心させるように笑顔で話した。


「みんな心配してくれてありがとう。私は大丈夫よ。」


そう言って、今日あった出来事をみんなにも説明した。



「やってくれましたね……王子。」とサナ。


「リリーナお姉様を見て光が差したっていうのは同感だけどいきなり求婚はないわ〜。」とアンジュ様。


「……手をずっと握っていた?手を握りたいなら俺が握り潰してやるのに……。」とアレン君。


ちょっと待って。

アレン君のはダメだって。

アレン君の力だと本当にグシャってなるから。


概ねレオン様批判だった……。

その後もレオン様に対する罵詈雑言の嵐。

正直そこまで言っていいの?と頭を抱えたくなるような暴言が飛びかった。



しばらくして部屋をノックする音がした。

返事をする前にドアが開き入ってきたのは……兄だった。

なんかちょっとヨレヨレになっている。


「リリーナ〜〜無事帰って来れたようだな。」


兄は疲れたようですぐに椅子に座り込んだ。

サナが気を利かせて冷たい飲み物を準備してくれた。

さすがサナ!


「リカルド様、こちらをどうぞ。」


「おっ、サナありがとな!」


兄は笑顔で飲み物をを受け取ると一気に飲み干した。

飲んで少し落ち着いたのかレオン様とのやり取りを話し始めた。



「リリーナを何とか脱出させた後ひどい目にあった。レオン王子がリリーナの情報を少しでも俺から聞き出そうと離してくれないんだ。ずっと腕を掴まれていて………ほらっ、痕が残っている。」


おおー!

この兄に痕をつけるなんて凄いことだよ。

基本傷はすぐに回復する兄だからね。


「そして、すぐにもう一度会わせてくれってうるさい……いやしつこくって。困っているところにレイチェル様が来てくれて助かったよ。」


「レイチェル様がレオン様のお部屋まで来てくれたんですか?」


「ああ、そうなんだ。でも本当に助かった。力ずくなら何とかなるだろうが王子に乱暴出来んしな。あそこでレオン王子を止められるのはレイチェル様ぐらいだろう。実際一撃だったし。」


「え?一撃……ですか?」


「ああ、一撃だ。俺も目で追うのがやっとなぐらいの速さで扇をレオン王子に叩きつけていた。一撃で落ちたぞ。」


さすがです、レイチェル様。

やっぱり憧れの人なだけある。


「で、レイチェル様が沈めてくれたからやっと抜け出せてきたんだ。」


「ええっと、お疲れ様でした。」



兄はちょっと疲れたと言ってフラフラしながら自分の部屋へと帰っていった。

その後ろ姿を心配そうに見つめるサナ。


「……サナ。心配だったらお兄様を見てきても良いのよ。」


「心配だなんて!ただ……今まであんなに疲れた姿見たことなかったものですから……」


もう、素直じゃないんだから。

たぶんあの兄のヨレヨレ具合は力技を使えなかったからだ。

記憶のないレオン様をどう扱っていいのか兄も迷っているのかな。

今後どうしていけばいいのかよくわからない。

レオン様元気そうだしあのままでも良いんじゃないかなぁ。

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