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兄、現る➃

私とサナ、アレク様の3人で兄救出に向かうことにした。

アレク様の話しでは兄の他に2人、兄と一緒にいるらしい。


「隊長がいるから2人も無事だとは思うのですが……。」


心配そうにアレク様が言った。

きっと大丈夫、だって兄が倒されている姿なんて想像出来ない。

残りの2人だって兄が守っているよ。


私達は先を急いだ。

特に、サナが珍しく焦っているような気がする。


「もう少しです……あ!あそこです!」


アレク様が指差す方向を見ると魔物の群れが見える。

数は……数えるのが面倒な程いるみたい。

こんな数の魔物は滅多に出ない。


兄達はと思って目をこらすと、……いた!

どうやら崖を背に戦っているようだ。

良く見えないけど兄以外の2人は怪我をしているらしい。

2人を庇いながら兄が魔物を斬っているようだ……だけど数が多すぎて捌ききれていない。

もしかしたら1人ならいけたのかも。


「リカルド様!」


サナが心配そうに兄の名前を呼んだ。

……ここから兄のところまでかなり距離があると思うけど……今、兄、サナのこと見たよね?

いやいやそんなはずは……。

だって魔物もいるしサナの声が届くわけないんだけど……でも、絶対こっちを見ている。


サナが今にも飛び出しそうにしているが、私が指示を出していないためグッと我慢をしている。

うん、ゴメン。ちょっと兄の聴力に疑問を持ってしまっていたよ。


「サナ待たせてしまってゴメンなさい。さあ、お兄様を助けますよ!アレク様、私達は突撃しますが気にしないでくださいね。ここでは私達の方が魔物に慣れていますから。」



そう言って私とサナは魔物の群れに飛び込んだ。

出来るだけ兄達から魔物の意識をそらす為声を出す。


「はあああああああーーーーーーー!!」


私は気合を込めて普段は戦う時出さない声を出した。

サナはといえば……


「ふっふっふ、リリーナ様とリカルド様に楯突くなんて……100年早いですわ!死んで詫びなさい!!」


そう言うとサナは愛用の鞭を振り回して魔物を打ち倒している。

若干魔物もサナから離れていっているような……。

魔物が逃げるなんて気のせいだよね?


私とサナが注意を引いたおかげか兄達の周りの魔物が減ったようだ。

私はアレク様に声をかけた。


「アレク様!今がチャンスです!お兄様達のところに行って怪我人の様子を見てください!」


アレク様は私の言葉を聞き急いで兄達の方へと向かった。

私とサナはアレク様に注意が向かないように今まで以上に魔物の注意を引くように声を出して戦った。

特にサナが頑張っている。


「おバカさん達ですね……。リカルド様のところには行かせませんよ!行くと言うなら私を倒してごらんなさい!おっほっほっ!」


サナさん……キャラが変わっているよ。

ナニ?その高笑い。どこで習ってきたの?

私は魔物よりもサナが気になってしょうがない。



兄達の様子は………ほっ、無事アレク様は合流出来たようだ。

では、私は魔物をとにかく狩りましょう!

兄達に近づきながら魔物を次々と倒していく。

サナも同様に兄達の方へと歩を進めていた。



『クエーーーーー!!』


その時何かの鳴き声が聞こえた。

どこだろうと周りを見渡してもそれらしき魔物がいない。


『クエーーーーー!』


もう一度声が聞こえた時、サナが「あっ!」と声を出し指差した。

その方向を見ると……崖の上から何かが落ちて来ている?

いや、あれは落ちてきたんじゃなくて飛んできているんだ!

私とサナはとっさに叫んだ。


「お兄様!上!」

「リカルド様!危ない!」


兄が私達の叫び声を聞いて上を見た時には、もう魔物は兄の目の前だった。

兄は持ち前の野生的カンで、アレク様と他2人を庇った。

兄の大きい背中に鳥型の魔物のクチバシが刺さっている。


「ひっ!」


サナが短く悲鳴をあげた。

いくら打たれ強い兄でもあれはヤバい。


私とサナは兄達の方へと急いだ。

しかし魔物の数がまだ多く思うように近づけない。

サナも焦りながら鞭を振るっている為精度が落ちている。


「サナ!お兄様ならきっと大丈夫です。だから少し落ち着きなさい!」


私自身も兄が心配なあまり、動き鈍っている。

自分自身にも言い聞かせるようにサナに声をかけた。


サナは私の言葉を聞き少しだけ落ち着いたが、いつもの調子ではない。

これはちょっとマズイと思っていた時声が聞こえた。



「リリーナ様ーーー!」

「リリーナーーーーー!」


声のした方角を見れば……あっ!アレン君とトーマだ!

2人は馬で爆走してきた。


「大丈夫ですか、リリーナ様?」


アレン君が心配そうに私に声をかけてきた。

もちろんその間にも2人は魔物を相手にしている。


「私とサナは大丈夫です。ただ、お兄様が今あちらで部下の人達を庇いながら戦っている為危険なんです。近づきたくてもあまりにも魔物の数が多くって。」


私の言葉にアレン君とトーマが兄の方を見た。

2人も珍しく劣勢気味の兄を見てヤバいと思ったらしい。


「リリーナ俺達も来たんだ。リカルド様は絶対助ける。だからそんな顔するな。」


トーマが心配そうな顔で私を見た。

思っていたよりも不安な表情をしていたらしい。

うん、でも2人が来てくれれば大丈夫だよね!






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